緑膿菌およびMethicillin resistant
Staphylococcus aureus (MRSA) に対するsparfloxacin (SPFX) とfosfblnycin (FOM) との併用効果を
in vitroおよび
in vivo実験系を用いて検討した。
In vitro併用効果はcheckerboard法およびtime-killing曲線により,
in vivo感染防御効果は実験的白血球減少マウスを用いた上行性腎孟腎炎および全身感染モデルで検討した。緑膿菌22株およびMRSA32株に対するSPFXとFOMのFIC indexは0.127~1.0で相乗または相加効果を示した。Time-killing曲線の結果から, SPFXとFOMの併用は緑膿菌4株およびMRSA3株に対して著明な殺菌作用を示し, 両剤の
in virto相乗効果が確認された。白血球減少マウスにおける
in viivo感染防御実験では両薬剤の経口投与で以下の成績を得た。キノロン耐性
Pseudomoms aerusinosaKP-62およびMRSAK. 1株の実験的腎孟腎炎においては, 単独投与ではほとんど効果の認められないSPFX12.5mg/kgとFOM 3.13mg/kgとの併用で両菌株共に70%の菌消失率を示し, 有効性が認められた。両菌株による全身感. 染実験では, 上述の投与量の併用でやはり単独投与では効果の乏しかったのに対し, 両者同時投与では
P.aeruginosa P-62モデルは70%, MRSAK-1モデルは60%のマウスが生存し, 併用は有効であった。SPFXの
P.aemginoss KP-62およびMRSAK-1の菌体内への取り込み実験ではSPFXとFOM の同時添加およびFOM2時間前処理後にSPFXを添加した場合, SPFX単独処理に比べ, 高濃度のSPFXが菌体内へ取り込まれていた。以上, SPFXとFOMの
in vitroおよび
in vivo併用に関する基腱的研究において優れた有効性が示されたことにより, ヒトでのキノロン耐性株を含む緑膿菌およびMRSA感染症に対し, 本併用療法を応用できることが示唆された。
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