日本化学療法学会雑誌
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45 巻, 6 号
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  • 藤岡 利生, 那須 勝, 長谷川 美幸, 戸田 陽代, 原田 由紀子, 小林 寅哲, 成宮 徳親, 田中 照二
    1997 年 45 巻 6 号 p. 413-417
    発行日: 1997/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    マーロックス®懸濁内服用 (MLX-G) は世界的に繁用されている制酸剤であるマーロックス®の用時懸濁用顆粒剤である。今回我々は酸性領域におけるMLX-G存在下での臨床分離Helicobaaer pyloriに対する抗菌薬とMLX-Gの併用効果をin vitroで検討した。その結果MLX-Gのsub-MIC存在下でclarithromycinのMICが低くなる傾向が認められた。特にclarithromycin耐性株にその傾向は顕著で, そのうちの1株であるOTR 10株のMICは32μg/mlから0.5μg/mlまで低下した。また, amoxicillinのMBCについてもMLX-Gの存在によって低くなる成績が得られた。今回の検討で認められたMLX-Gのsub-MIC存在下での抗菌薬の生活増強効果は, MLX-G添加によるpHの上昇が主な原因と考えられた。しかし, amoxicillinとの増強効果に関しては他の要因の関与も示唆された。
  • 血中濃度動態における抗菌効果について
    長谷川 裕美, 乙黒 一彦, 清水 喜八郎
    1997 年 45 巻 6 号 p. 418-424
    発行日: 1997/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Pseudomoms aeruginosaに対するcephem系薬 (eefplrome [CPR]) とearbapenem系薬 (meropenem [MEPM], imipenem [IPM]) の抗菌効果を殺菌作用, Pestantibiotic effect (PAE), および, 薬剤前処理の有無によるsub-MICでの抗菌効果より比較検討し, 血中濃度動態での薬剤作用時の抗菌効果との関連性について検討した。
    (1) P.aeruginasa臨床分離20株に対するMICは, MEPM, IPM, CPRの順に優れた感受性を示した。
    (2) 臨床分離20株, ATCC 27853, PAO-1に対する3薬剤の2MC作用の短時間殺菌作用は, IPM>MEPM>CPRの順に強力であった。また, PAEは, CPRでは認めなかったが, MEPM, IPMで全株に認められ, IPMでより長い傾向を示した。
    (3) 3薬剤のsub-MIC効果を同薬剤前処理の有無により比較すると, CPRでは両者に差を認めなかったが, MEPM, IPMでは前処理をすることにより.殺菌作用, 増殖抑制作用 (postantibiotlc sub-MIC effbct [PASME]) の増強が認められ, この傾向はIPMで箸明であった。
    (4) 血中濃度動態で薬剤を単回投与した場合, CPRでは, time above-MICを過ぎ2~4時間後には再増殖を開始したが, MEPM, IPMでは, その後も殺菌作用, 増殖抑制作用を認めた。
    以上より, P aeruginosaに対する殺菌効果は, 同しβ-lactam系薬でもcephem系薬とcarbapenem系薬では殺菌効果, PAEおよびPA SMEの有無の点で異なり, これらは実際の治療における投与量, 投与問隔を決定するうえで重要な因子となることが示唆された。
  • 小林 宏行他
    1997 年 45 巻 6 号 p. 425-441
    発行日: 1997/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ニューキノロン系合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX, OPC-17116) の呼吸器感染症に対する至適用量を検討する目的で, 慢性気道感染症を対象にofloxacin (OFLX) を対照薬として用量比較試験を実施した。投与薬剤群は, GPFX200mg×1回1B投与群 (L群) および300mg×1回1日投与群 (H群) を二重盲検法にて比較検討し, OFLX200mg×3回1日投与群 (O群) を非盲検下の対照薬とした。なお, 投与期間は14日間を原則とした。総症例127例中, 臨床効果の解析対象例数は121例 (L群37例, H群41例, O群43例) であった。
    1) 臨床効果: 有効率は, L群89.2%(33137), H群97.6%(40/41) およびO群88.4%(38/43) であり, 3群間に有意差は認められなかった。
    2) 細菌学的効果: 菌消失率は, L群75.0%(15/20), H群93.3%(14/15) およぴO群85.7%(18/21) であり, 3群陶に有意差は認められなかった。
    3) 安全哲: 副作用の発現率は, L群2.6%(1/39), H群7.3%(3/41) およびO群9.1%(4/44), 臨床検査植異常の発現率は, それぞれ5.1%(2/39), 5.1%(2/39) および49%(2/41) であり, いずれも3群間に有意差は認められなかつた。
    4) 有用性有用率は, L群86.5%(32/37), H群94.9%(37/39) および0群854%(35/41) であり, 3群間に有意差は認められなかった。以上の成績から, 慢性気道感染症に対するGPFXの臨床的有用性が確認され, 呼吸器感染症に対するGPFXの至適用量は, 1回300mg1日1回投与が妥当と考えられた。
  • 小林 宏行他
    1997 年 45 巻 6 号 p. 442-462
    発行日: 1997/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ニューキノロン系合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX, OPC-17116) の肺炎に対する有効性, 安全性および有用性を客観的に評価する目的でofloxacin (OFLX) を対照薬とした二重盲検比較試験を実施した。用法・用量は, GPFX1回300mg1日1回, OFLX1回200mg1日3回とし, 原則として14日間経口投与した。
    1) 総症例256例中臨床効果解析対象225例の臨床効果は, GPFX群96.4%(108/112), OFLX群92.9%(105/113) の有効率であった。両群問に有意差はみられず, 有効率の差の90%信頼区間は-1.4%~8.4%であり, 同等性が検証された。
    2) 細菌学的効果は, GPFX群96.4%(27/28), OFLX群97.0%(32/33) の菌消失率であり, 両群間に有意差はみられなかった。
    3) 副作用の発現率は, GPFX群2.4%(3/125), OFLX群5.0%(6/120), 臨床検査値異常変動の発現率は, それぞれ15.8%(19/120), 11.4%(13/114) であり, いずれにおいても両群間に有意差はみられなかった。また, 安全性は, GPFX群81.8%(99/121), OFLX群83.5%(96/115) の安全率であり, 両群間に有意差はみられなかった。
    4) 有用性は, GPFX群94.5%(104/110), OFLX群91.0%(101/111) の有用率であった。両群間に有意差はみられず, 有用率の差の90%信頼区間は-22%~9.3%であり, 同等性が検証された。
    以上の成績より, 肺炎に対してGPFX1回300mg1日1回投与は, OFLX1回200mg1日3回投与と同等の臨床的有用性が確認された。
  • 小林 宏行他
    1997 年 45 巻 6 号 p. 463-483
    発行日: 1997/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ニューキノロン系合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX, OPC-17116) の慢性気遵感染症に対する有効性, 安全性および有用性を客観的に評価する日的でofloxacin (OFLX) を対照薬とした二重盲検比較試験を実施した。用法・用量は, GPFX1回300mg1日1回, OFLX1回200mg1日3回とし, 原則として14日間経口投与した。1) 総症例203例中臨床効果解析対象190例の臨床効果は, GPFX群90.3%(84/93), OFLX群90.7%(88/97) の有効率であった。両群閥に有意差はみられず, 有効率の差の90%信頼区間は-7.3%~6.5%であり, 同等性が検証された。
    2) 細菌学的効果は, GPFX群72.9%(35/48), OFLX群84.2%(32/38) の菌消失率であり, 両群間に有意差はみられなかった。
    3) 副作用の発現率は, GPFX群8.3%(8/96), OFLX群4.1%(4/98), 臨床検査値異常変動の発現率は, それぞれ122%(11/90), 6.7%(6/89) であり, いずれにおいても両群間に有意差はみられなかった。また, 安全性は, GPFIX群79.3%(73/92), OFLX群88.8%(79/89) の安全率であり, 両群間に有意差はみられなかった。
    4) 有用性は, GPEX群86.8%(79/91), OFLX群87.5%(77/88) の有用率であった。両群間に有意差はみられず, 有用率の差の90%信頼区間は-9.0%~7.6%であり, 同等性が検証された。
    以上の成績より, 慢性気道感染症に対しGPEX1回300mg1日1回投与は, OFLX1回200mg1日3回投与と同等の臨床的有用性が確認された。
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