日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
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46 巻 , 2 号
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  • 大屋 哲, 増田 修久, 坂川 栄子
    1998 年 46 巻 2 号 p. 73-80
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Panipenem, imipenemなどのカルバペネム系薬はセフェム系薬, ペニシリン系薬と比べると緑膿菌に対してMICに比べてマウスでの感染治療効果が優れていた。この理由を検討した結果, postantibiotic effectや短時間殺菌力などが優れていることのほか, カルバペネム系薬の緑膿菌外膜透過に関する問題が重要と思われた。カルバペネム系薬の抗菌力を低栄養培地中で測定すると, 通常MIC測定に用いられているMueller-Hinton培地中で測定した値より8~16倍優れた抗菌力を示した。最少培地に各種培地成分を添加して検討したところ, L-リジン, L-ヒスチジン, L-アルギニンなどの塩基性アミノ酸がカルバペネム系薬の抗緑膿菌活性を低下させていることが明らかになった。その他のアミノ酸にはこの作用はなかった。塩基性アミノ酸によるカルバペネム系薬の抗緑膿菌活性の低下は濃度依存的であった。imipenem耐性を指標にPseudomonas aeruginosa PAO 1株から分離したOprD欠損変異株では塩基性アミノ酸の影響はまったく見られなかったので, この現象はOprD透過孔からのカルバペネム系薬と塩基性アミノ酸の拮抗により起こるものと考えられた。このような抗緑膿菌活性におよぼす塩基性アミノ酸の影響はセフェム系薬, ペニシリン系薬, ニューキノロン系薬, アミノグリコシド系薬などの抗菌剤では見られず, カルバペネム系薬に特有の現象であった。14C-panipenemを用いて菌体への取り込みを検討したところ, panipenemの取り込みはL-リジンにより柳制された。OprD欠損変異株ではL-リジンの取り込みは親株より著しく低く, またL-リジンによる取り込み阻害も見られなかった。ヒト血漿中の遊離塩基性アミノ酸濃度はMueller-Hinton培地中よりかなり低い (1/40程度) ので, カルバペネム系薬はMueller-Hinton培地中で測定したMICより生体内でより優れた抗緑膿菌活性を示すと考えられる。
  • 山村 直敏, 井村 薫, 長沼 英夫
    1998 年 46 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Panipenem (PAPM) 併用投与によりバルプロ酸 (VPA) の血漿中濃度が低下する臨床事例が報告されている。本研究は両薬剤の相互作用の原因を解明する目的で, イヌを用いてVPAの血漿蛋白結合, 血漿中, 尿中VPAおよびVPAグルクロン酸抱合体 (VPA-Glu) について検討した。さらに肝臓および腎臓のミクロソーム (Ms) を用いてグルクロン酸抱合酵素 (UDPGT) 活性を測定した。その結果, PAPM 50mg/kgを静脈内投与することにより, VPA 30mg/kgを経口または静脈内投与後の血漿中濃度の生物学的半減期は, それぞれVPA単独投与時の約1/4および1/10にまで有意に減少し, AUCも35%および40%にまで減少した。VPA経口投与後のCmaxおよびTmaxはPAPM併用投与により変化せず, 吸収には影響が認められなかった。VPA血漿中非結合形分率は, 総血漿中濃度に依存して7~36%の範囲で変化したが, PAPM併用による影響は見られなかった。VPAを定速静注し, 定常状態とした時のVPA-Glu血漿中濃度および尿中排泄速度は, PAPM併用投与期間において有意に増加した。このVPA-Gluの生成を担うUDPGT活性はイヌの腎Msに認められなかったが, 肝Msに認められた。PAPM以外にメロペネムの併用によって同様にVPA血漿中濃度消失の促進が認められたが, セフォゾプラン, フルモキセブ, セブメタゾールおよびセファレキシンはVPAの体内動態に対し影響を及ぼさなかった。以上より, VPAとPAPMの相互作用はVPAの血漿蛋白結合率の変化によるものでなく, 肝臓におけるVPAのグルクロン酸抱合活性の亢進に起因していることが示唆された。また, この作用はカルバペネム薬に特異的であり, セフェム薬との併用投与では起こらないものと思われる。
  • 臨床指標, 生存期間および血清中IL-6に関する検討
    坂本 正洋, 三笠 桂一, 澤木 政好, 濱田 薫, 寺本 正治, 植田 勝廣, 眞島 利匡, 古西 満, 前田 光一, 辻本 正之, 森 ...
    1998 年 46 巻 2 号 p. 87-89
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    33例の切除不能非小細胞肺癌患者に, 抗癌治療終了4週後に14員環マクロライド系抗菌薬clarithromycin (CAM) を経口投与をした。CAM投与3か月後には悪液質誘導サイトカインの血清中interleukin 6 (IL-6) が低下し, ヘモグロビン, コリンエステラーゼ, 体重が有意に増加した。そしてCAM投与前後のIL-6の変動 (ΔIL-6) は体重の変動 (ΔBW), 生存期間と有意な負の相関を有し, ΔIL-6はCAM投与非小細胞肺癌患者の予後を推察するうえでの重要な要因となりうることが示唆された。
  • 坂口 聡, 谷村 弘, 落合 実, 馬庭 芳朗, 瀧藤 克也, 浦 希未子, 有田 清三郎
    1998 年 46 巻 2 号 p. 90-96
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    消化器外科の手術成績と患者の予後を左右する術後感染症の予防対策として周術期に抗菌薬が投与されるが, 我が国にはそのような際に使用する抗菌薬の選択や投与期間に関するガイドラインはない。今回, 我々は, 胃癌手術について, β-lactamase阻害剤であるsulbactamとampicillinの配合剤sulbactam/ampicillin (SBT/ABPC) の術後感染発症阻止効果について, cefotiam (CTM) と比較試験を行い, 我々の新しく作成したファジィ理論を用いた術後感染症早期診断システムの臨床評価を行った。その結果, SBT/ABPC投与では感染率が低い傾向が見られたが, 有意差は認めなかった。術後感染症の検出菌を比較すると, SBT/ABPCではKlebsiellaPseudomonas aeruginosaが分離され, CTMではグラム陽性球菌が5/83例みられた。しかし, 両群ともmethicillin resistance Staphylococcus aureus (MRSA) が2例ずつ検出された。さらに, ファジィ理論を用いた術後感染症早期診断システムを術中出血量と合併切除臓器, 術後2日目から4日目までの熱型, 術後4日目の白血球数, CRPと白血球分画, 術後1日目から4日目への白血球分画の変化の6項目を用いて検証した結果, この方法の早期診断は感度86%, 特異度90%であり, このシステムを用いれば, 術後4日目の時点で使用の「いわゆる予防的」抗菌薬の変更もしくは中止の判定が下せることがわかった。
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