急性単純性膀胱炎を対象にlevofloxacin (LVFX) の単回投与法の有用性を検討するため, 7日間投与の成績と比較検討した。対象はUTI薬効評価基準に合致する女子急性単純性膀胱炎症例で, A群はLVFX200mg1回投与, B群は1日1回100mg7日間投与とした。総合臨床効果についてみると, A群は31例中著効23例 (74.2%), 有効8例, B群は34例中著効30例 (88.2%), 有効4例であり, 有効率は両群とも100%であった。再発はA群19例, B群20例について検討した。A群では再発なし14例, 判定保留3例, 再発あり2例であった。B群では再発なし15例, 判定保留5例で, 再発は認めなかった。総合臨床効果, 再発率とも両群に有意差を認めなかった。副作用はB群で38例中1例に即時型過敏症と考えられる発疹を認めたが, 皮膚科での治療により治癒した。初診時の起炎菌と再発判定時に同じ菌種を分離したのは2例である (
Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae)。この4株についてパルスフィールド電動泳動法による染色体DNAの制限酵素切断パターンを検討したところ, 同一症例ではいずれも同じパターンを示し, 同一菌株による再燃が強く示唆された。以上の検討から, 急性単純性膀胱炎に対する治療としてLWXの単回投与法は有用な治療法と考えられた。
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