日本化学療法学会雑誌
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46 巻, 9 号
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  • 金子 明寛, 佐々木 次郎, 島津 光伸, 金山 明子, 雑賀 威, 小林 寅哲
    1998 年 46 巻 9 号 p. 319-323
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    歯科口腔外科領域感染症患者から分離したStreptococcus sanguisおよびStreptococcus anginosusのニューキノロン薬耐性化についてgyrA変異を中心に検討した。ニューキノロン薬であるofloxacin (OFLX) に感受性のS. sanguis QS-951およびS. ansinosus QS-701にOFLxおよびDU-6859aをin vitroで連続的に接触させ, それぞれのニューキノロン薬耐性株を得た. この実験でDU-6859aはOFLXと比較してより強い誘導効果をもつことが判明した。すなわち, DU-6859a誘導株はOFL誘導株に比べ各種ニューキノロン薬に対する耐性度が高く, DU-6859aのMICは25μg/ml以上とOFLX誘導株より4~8倍高い値を示した。これら誘導耐性株のgyrA異変について解析した結果, DU-6859aによって得られた高度耐性株はcodon 83のアミノ酸のserineからphenylalanineへの変異に加えてcodon 87のアミノ酸がglutamicacidからlysineへと変異し, 両菌種とも共通のアミノ酸の変化が認められた。これらのことからoral streptococciのニューキノロン薬耐性化は, これらの薬剤による耐性誘導によるもので, ニューキノロン薬の種類によってはgyrAの変異が異なりその耐性度も相違することが認められた。
  • その1 1996年度分離グラム陽性球菌について
    木村 美司, 吉田 勇, 東山 伊佐夫, 長野 馨, 佐々木 緊
    1998 年 46 巻 9 号 p. 324-342
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1992年度および1994年度に引き続き, 1996年度に国内各地の16施設において種々の臨床材料から分離された好気性グラム陽性球菌19菌種, 920株について各種抗菌薬41剤を用いて寒天平板希釈法でMICを測定し抗菌カの比較などの検討を行った。Staphylococcus aureusの中でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の占める割合は60.4%で, 既報告成績 (1992年度, 1994年度) と同様に高い分離頻度であった。これらMRSAに対し優れた抗菌力を示したのはvancomycin (VCM), arbekacin (ABK) とsulfamethoxazole-trimethoprim (ST) でMIC90はいずれも1.56μg/mlであった。Staphylocom epidemidisに対してはVCM, ABK, minocyclineが優れた抗菌力 (MIC90≦1.56μg/ml) を示した。Streptococcus pyogenes, Streptococcus agalactiaeに対してはβ-ラクタム薬等各薬剤とも良好な抗菌力を示した。Streptococus pneumoniaeにおけるペニシリン耐性肺炎球菌 (PRSP) の割合は38.6%で, 既報告の1992年度および1994年度成績とほぼ同程度であった。これらPRSPに対する抗菌力はcarbapenems, VCM, cefpirome, cefditoren, cefbapeneが優れた抗菌力 (MIC90≦0.39μg/ml) を示した。Enterococcus faecalisに対してはampicillin, ST, VCM, imipenemが優れた抗菌力 (MIC90≦3.13μg/ml) を示した。Enterococcus faeciumに対しては各薬剤の抗菌力は弱く, 優れた抗菌力を示したのはVCM (MIC90 0.78μg/ml) であった。またMRSAおよび腸球菌属を含め今回MIC測定を行ったすべてのグラム陽性球菌の中にVCM高度耐性株は認められなかった。
  • その2 1996年度分離グラム陰性菌について
    吉田 勇, 長野 馨, 木村 美司, 東山 伊佐夫, 佐々木 緊
    1998 年 46 巻 9 号 p. 343-362
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1992年, 1994年に引き続き1996年に全国16施設において種々の臨床材料から分離された好気性グラム陰性菌20菌種, 1,178株に対する各種抗菌薬のMICを寒天平板希釈法で測定し, 抗菌力の比較検討を行った。Escherichiacoli, Kebsiella属, Proteus属, Morganella morganiiに対してほとんどのセフェム薬 (CEPs), カルバペネム薬 (CBPs), aztreonam, アミノグリコシド薬 (AGs), ニューキノロン薬 (NQs) は強い抗菌力を有し, MIC90は3.13μg/ml以下であった。しかしほとんどの菌種において, NQsに対する高度耐性株が数株認められた。Proteusmirabilisにおいてβ-lactamase非産生性で多くのβ-lactam薬に耐性の1株が分離された。Providencia属に対してはNQsの抗菌力は弱くMIC90は25μg/ml以上であった。Citrobacter属, Enterobacter属に対してcefpirome (CPR), cefbzopran (CZOP), CBPs, AGs, NQsの抗菌力が優れていた。Serratia marcescensに対してCBPs, CPR, CZOPおよびceftazidime (CAZ) はMIC90が0.1~1.56μg/mlとなり, 強い抗菌力を示した。Neisseria gonorrhoeae, Branhamella catarrhalis, Haemophilus influenzaeに対してはほとんどの抗菌薬は良好な抗菌力を有していたが, N. gonorrhoeaeにおいてはNQs耐性株が62.5%と高頻度で検出された。H. infzuenzaeにおいてβ-lactamase産生株は18.8%検出され, 1992年の10%, 1994年の7%に比べ増加していた。Pseudomonas aeruginosaに対しては抗菌力の強い薬剤が少ないことからMIC80で比較するとtobramycin, ciprofloxacin, meropenem (MEPM), tosufloxacin (TFLX), arbekacinの抗菌力が比較的強く6.25μg/ml以下であった。抗緑膿菌薬11剤すべてに感受性のP.aeruginosa株は14.1%であったが, 11剤すべてに耐性を示す4株, 10剤に耐性を示す6株が検出され, 多剤耐性化がおこっていた。Burkholderia cepaciaに対しMIC90が6.25μg/ml以下を示した抗菌薬はCAZ, MEPMのみであった。Stenotrophomonas maltophiliaおよびAcinetobacter spp. に対してはMINOおよびTFLXの抗菌力がもっとも強くMIC90はそれぞれ1.56μg/ml, 0.2μg/mlであった。
  • PCR法による判定
    東海林 洋子, 乗松 美貴, 吉田 みさ, 嶋田 甚五郎, 水島 裕
    1998 年 46 巻 9 号 p. 363-367
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    われわれはこれまで, 単純ヘルペスウイルスI型 (HSV-I) の早期pre-mRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを合成し, スプライシング部位を中心とした配列に相補的なオリゴヌクレオチドに高い抗ヘルペス活性があることを見い出してきた。しかし, Gが連続して含まれている配列には塩基配列非特異的な反応も認められることから, アンチセンス法以外のメカニズムも考えられた。そこで, オリゴヌクレオチドのウイルス吸着阻止効果について検討した。細胞膜表面に吸着したウイルス量を感度の良いPCR法について測定したところ, フォスフォロチオエート型オリゴヌクレオチドには感染の初期に明らかなウイルス吸着阻止効果が認められた。また, ウイルス吸着阻害は0.5~10μMのいずれの濃度でも認められた。
  • 1998 年 46 巻 9 号 p. 371
    発行日: 1998年
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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