日本化学療法学会雑誌
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47 巻 , 3 号
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  • 鶴岡 勉
    1999 年 47 巻 3 号 p. 115-128
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Fosfbmycin [FOM;(-)-(1R, 2S)-(1, 2-エポキシプロピル) ホスホン酸] は, 1969年に論文として発表されて以来, 世界の多くの国々で長い問臨床で使われている抗菌薬で, これまで類薬は見出されていない。日本では1970年代はじめに開発が始められ, 1980年に承認されて本格的な使用が開始された正、最近, ホスホマイシンに関する基礎と臨床に関して数多くの報告がされている.その背景の1つとして, 新しい経口薬ホスホマイシントロメタミン (fbsfbmycin tromethamine) のあいつぐ欧米での承認が考えられる。一方では, FOMがその生合成を阻害する, 細菌の細胞壁ペプチドグリカンに関する新しい知見が.急、速に集積している。この総説では, ホスホマイシンの抗菌作用機構についての最近の研究成果を中心に, 抗菌特性や耐性など, 本薬に関するトピックスを概説した。
  • 渡部 宏臣
    1999 年 47 巻 3 号 p. 129-146
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Fosfomycin (FOM) はグラム陽性および陰生菌に幅広く有効な抗菌薬で他に類薬はない。1980年に本邦で実用化されて以来その有用性と安全性は高く評価され, 臨床で使用されてきた。長年にわり感染症治療薬として臨床で使用する過程で, 難治性口内炎, アトピー性皮膚炎, 重症喘息など難治性疾患の症状改善や治療効果, 他剤によって惹起される腎毒性の軽減作用などの臨床例が蓄積されてきた。これらの成績はFOM本来の薬理作用である抗菌作用では十分説明できず, FOMが免疫系など生体へ直接作用している可能性が考えられていた。最近の基礎研究により, FOMがヒトのリンパ球, 単球マクロファージ, 好中球, 好塩基球, 好酸球などの免疫担当細胞の機能を修飾することにより。抗炎症作用, 抗アレルギー作用など抗菌以外の薬理作用を有することが明らかになってきた。そしてFOMのこれらの基礎研究の知見を前提に新たな視点で臨床応用が試みられている。HAM (HTLV-I-associated myelopathy), 肺線維症などの肺疾患, 慢性副鼻腔炎などの疾患でFOMの有用性が検討され, 症状の改善などの治療効果が認められている。しかし, FOMの抗菌作用以外の薬理作用に関する作用機序はまだ解明されておらず, 今後の課題となっている。FOMの新たな臨床分野の可能性を探るためにもその作用機序を明らかにする必要がある。
  • 角田 光子, 佐竹 幸子, 伊豫部 志津子
    1999 年 47 巻 3 号 p. 147-151
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    メタロβ-ラクタマーゼは, カルバペネム薬をはじめとして, モノバクタム類を除く既存のすべてのβ-ラクタム薬を水解するカルバペネマーゼであり, この遺伝子blaIMPは緑膿菌においてはじめて伝達性プラスミド上に見出された。遺伝子blaIMPが他菌種に広がる可能性を予測して, imipenem (IPM) 耐性腸内細菌科菌種についてその検出を試みた。遺伝子はpolymerase chain reaction (PCR) 法により検出し, 加えてカルバペネマーゼの産生を菌細胞粗抽出液によるIPM分解活性を測定することにより確認した。PCR法によるblaIMP陽性株はすべてIPMを水解した。菌種別に設定したIPM耐性菌あたりの, blaIMP検出株数は以下の通りであった。Enterobacter cloacae: 6/56, Escherichia coli: 1/8, Citrobacter freundii: 1/17, Morganella morganii: 1/5, Serratia marcescens: 4/10。耐性菌あたりの検出率がもっとも高いのは, S.marcescensであった。得られたすべてのblaIMP保有株について, E.coli K-12株を受容菌としてIPM耐性の接合伝達実験を行ったところ, E.cloacae 6株中4株からメタロβ-ラクタマーゼ遺伝子の伝達が証明され, blaIMPが伝達性プラスミド上にあることが示唆された。
  • 加藤 淳子
    1999 年 47 巻 3 号 p. 152-160
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    (1→3)-β-D-グルカン (β-グルカン) のヒトに対する病原性を明らかにするために, 3種類の粒子状 (不溶性) β-グルカンと3種類の可溶性β-グルカンの免疫学的活性をヒト好中球からの活性酸素の放出能を指標にin vitroで比較検討した。活性酸素の産生は, 好中球浮遊液にルミノールを加えて, 粒子状β-グルカンであるzymosan, zymocel, curdlanや可溶性β-グルカンであるCM-curdlan, laminarin, sonifilanを刺激物としてchemiluminescence (CL) 法で測定した。この測定系は, 可溶性β-グルカンやlipopolysaccharide (LPS) の好中球の活性酸素産生に対するpriming効果を調べるのにも使用した。各種粒子状β-グルカンで好中球を刺激すると, 明らかな好中球CLが容量依存的に誘導されたが, 可溶性β-グルカンやLPSには好中球に作用して直接的に活性酸素を放出させる作用はみられなかった。LPSと可溶性β-グルカンの好中球CLに対するpriming効果を比較するために, 好中球をLPSや3種類の可溶性β-グルカンで37℃ で60分間前処理した後で, phorbol myristateacetate (PMA) で刺激して20分間のCLを測定した。好中球を100ng/ml以上の濃度のLPSで前処理した場合には, 好中球CLの増強がみられ, 少量の血清存在下では, わずか10分間前処理した後においても同様のpriming効果を認めた。一方, CM-curdlan, laminarin, sonifilanなどの可溶性β-グルカンを種々の濃度 (1ng~10μg/ml) で好中球と10分ないし60分間接触させた後にPMAで刺激した場合には, 好中球CL反応に対する有意なpriming効果を認めなかった。逆に, これらの可溶性β-グルカンの10μg/ml以上の濃度で好中球を37℃ で60分間接触させた後に, 粒子状β-グルカンであるcurdlanやzymocelで刺激すると, 好中球のCL活性が濃度依存的に抑制された。この抑制効果はCandida albicansを刺激物とした場合にも認められた。次に, ヒト好中球の活性酸素産生能におよぼす3種類の抗真菌薬, amphotericin B (AMPH-B), fluconazole (FLCZ), miconazole (MCZ) の影響について検討した。好中球を1μg/ml以上の濃度のAMPH-Bで60分間前処理した後には, 粒子状β-グルカンであるcurdlanの食作用に付随する好中球のCL反応が有意に増強し, FLCZの1μg/ml以上の濃度では有意な抑制がみられた。MCZの前処理は好中球のCL反応に影響を与えなかったこれらの知見は, β-グルカンや抗真菌薬がヒト好中球の酸素代謝を修飾することを示唆しているが, この免疫修飾作用のメカニズムの解析や臨床的意義を確立するためには, 今後さらなる検討が必要と思われる。
  • 長谷川 廣文他
    1999 年 47 巻 3 号 p. 161-171
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1995年11月から1997年3月の問に, 22施設23科に入院し治療を受けた血液疾患患者の中で, 感染症を合併した129例を対象に, 感染症の初回治療としてのimipenem/cilastatin (IPM/CS) あるいは他のβ-lactam系抗菌薬 (carbapenem系抗菌薬以外) の有用性および費用効果性についてプロスペクティブに比較検討した。対象は封筒法によってIPM/CS群 (66例) と, 他のβ-lactam群 (63例)(β-lactam群) の2群に無作為割り付けを行った。平均年齢はIPM/CS群49.3±17.2歳, β-lactam群51.5±16.0歳であり, 両群問の症例背景に有意な差は認められなかった。感染症は, 敗血症・敗血症疑いがIPM/CS群49例, β-lactam群50例で, 約8割を占めた。費用は両群とも感染症治癒に至った場合は治癒日まで, また治癒に至らなかった場合は第一選択薬から切り替えて最長4週間までの直接費用 (薬剤費・検査費) を算出し, 費用効果性を分析した。全体の有効率は, IPM/CS群71.2%(47/66), β-lactam群50.8%(32/63) で有意差が認められた (p<0.05)。Granulocyte colony-stimulating factor (G-CSF) 使用例 (58例) の有効率はIPM/CS群67.9%(19/2), β-lactam群53.3%(16/30) であり, 一方G-CSF未使用例 (71例) の有効率はIPM/CS群73.7%(28/38), β-lactam群48.5%(16/33) であり, 未使用例では有意差が認められた (p<0.05)。治療開始時の好中球数100/μl未満の症例 (63例) における有効率はIPM/CS群78.8%(26/33), β-lactam群56.7%(17/30) であった。また, 実際の医療費 (直接費用) を用い.両群の中央値の平均を共通の費用とした費用効果分析によれば, 有効人数1人当りに要した費用はIPM/CS群で148, 254円, β-lactam群で207, 790円であった。これらの結果から, IPM/CS群での治療法が費用効果的であることが認められた。
  • 伊東 克郎他
    1999 年 47 巻 3 号 p. 172-177
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1992年7月から1997年9月まで当科にて再発または高齢者非ポジキンリンパ腫14例に対するエトポシド少量連日経口投与療法を行いその有用性を検討した。12例は再発例と難治例で2例は高齢者で強力な化学療法は困難と思われた。エトポシドは連日経口で25~50mg/body/dayを2~5週間投与した。全体の奏効率は57.1%(14例中CR1例, PR7例) に留まったが, び慢性大細胞型リンパ腫 (DLCL) を除くと奏効率は88.8%と良好であった。5例のDLC五は全例無効であった。一方2例のT細胞性リンパ腫では, いずれも治療に反応して皮膚病変が消失したことは興味深い。奏効期間は中央値39.2週であった。副作用としてWHO基準grade 2までの下痢3例, 口内炎1例を認めたが.いずれも軽度であった。骨髄抑制も軽度で輸血は必要としなかった。患者の年齢や合併症, QOL (quality of life) を考慮した場合, エトポシド少量連日経口投与療法は有用な治療法と思われたが, DLCL再発例には無効であった。
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