日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
47 巻, 7 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 小林 寅哲, 戸田 陽代, 長谷川 美幸, 佐藤 弓枝, 金子 明寛, 佐々木 次郎
    1999 年 47 巻 7 号 p. 375-381
    発行日: 1999/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床分離ペニシリン耐性肺炎球菌 (PRSP) およびペニシリン軽度耐性肺炎球菌 (PISP) に対するヒトスルホ化免疫グロブリン製剤 (SHG) と各種抗菌薬との相乗作用について検討した。その結果1mg/mlのSHGの存在によって試験菌に対する各抗菌薬のMICは低くなる傾向がみられた。またSHG濃度が高くなるにつれその影響は顕著でpenicillin G (PCG) のMICが1~2μg/mlの株に対し, SHG5mg/ml存在下ではPCGのMICが0.03μg/ml以下となる例も認められた。これらの相乗的作用はβ-lactam薬, 特にペニシリン系抗菌薬に強くみられvancomycinとでは軽度であった。一方, これらPRSPおよびPISPに対するSHGの凝集抗体価は使用菌株によって異なり高いものでは2,048倍であったが加熱処理することによりその値は変動した。また凝集抗体価と抗菌薬との相乗作用の関連は見出せなかった。すなわち本菌に対するSHGと抗菌薬との相乗作用にはその他要因が関与しているものと考えられた。以上のことからPRSPおよびPISPに対しSHGとβ-lactam薬は強い相乗効果があるものと思われた。
  • 大澤 浩, 相羽 恵介, 杉山 勝紀, 水沼 信之, 高橋 俊二, 伊藤 良則, 堀越 昇, 古川 雅彦, 山下 孝, 松原 敏樹
    1999 年 47 巻 7 号 p. 382-386
    発行日: 1999/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    高度進行食道癌 (局所進行 (T4), 切除不能な第4群リンパ節転移 (N4), 違隔転移 (M1); 病期分額はTNM分類による) は, きわめて予後不良な癌腫である。われわれは高度進行食遭癌症例にcisplatin (7mg/m2/day, 放射線照射直前に1時間で点滴静注, 第1~5日, 8~12日, 15~19日, 22~26日). 5-fluorouracil (200mg/m2/day, 持続点滴静注, 第1~28日), 放射線療法 (2Gray (Gy)/fraction/day, 第1~5日, 8~12日, 15~19日, 22~26日まで化学療法と併用, 第36~40日, 43~47日に追加照射, 合計60 Gy/30fbaction8) を併用する化学・放射線複合療法 (LDFPX療法) の有用性を検討した。対象病例は14例, 全例評価可能であった。著効1例 (7%), 有効8例 (57%), 不変4例 (29%), 進行1例 (7%) で奏効率は64%であった。奏効期間の中央値は8か月 (2~19+か月), 治療開始から進行までの期間の中央値は10か月 (2~21か月), 全症例の生存期間の中央値は7. 5か月 (2~21か月), 1年生存率は, 263%であった。主な副作用は好中球減少, 食欲不振, 食道炎であったが, 臨床的に管理可能であった。LDFPX療法は良好な抗腫瘍効果を発揮し, 副作用も軽微なことから, 全身状態が比較的不良な症例でも施行可能であり, 優れた治療法の1つと考えられた。
  • 1997年9月から1998年8月までの1年間の検討
    宇野 芳史, 渡辺 信介, 二木 芳人, 松島 敏春
    1999 年 47 巻 7 号 p. 387-395
    発行日: 1999/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1997年9月から1998年8月までに当院を受診したStreptococcus pneumoniae による小児急性中耳炎症例の細菌学的, 疫学的, 臨床的検討を行い, 現在の問題点について検討した。今回の検討期間中, S. pneumoniae は284例から334株検出され, 内訳はペニシリン感受性肺炎球菌 (penicillin-susceptible S. pneumoniae, 以下PSSP) が117株 (35.0%), ペニシリン中等度耐性肺炎球菌 (penicillin-intermediate resistant S. pneumoniae, 以下PISP) が165株 (49. 4%), ペニシリン耐性肺炎球菌 (penicillin-resistant S. pneumoniae, 以下PRSP) が52株 (15.6%) であった。年齢は生後5か月から12歳11か月まで (平均3歳7か月) であり, 性別は男児151例, 女児133例であった。PISPとPRSP検出症例はPSSP検出症例より低年齢の傾向があった。検出月別では2月をピークとする1峰性の分布を示し, 大半の期間でPISPとPRSPの耐性菌がPSSPの検出率より多い傾向であった。また, 地区別の検討では, 郡部より市部での耐性化が進んでいた。血清型別では6, 19, 3, 23型の順に多く検出されたが, 耐性株は23, 19, 3, 6型の順に高率であり, PCGのMICが4μg/mlと高度耐性であった株は6, 19, 23型であった。S. pneumoniaeの治療において, 第一選択とすべき経口セフェム系抗菌薬はcefditorenpivoxilと考えられたが, MICが4μg/mlと耐性を示す株もあり, 注意を要すると考えられた。症例によってはclindamycinも優れた感受性を示すものがあったが, 耐性菌も存在するため, 必ずMIC測定後に使用すべきであると考えられた。経口抗菌薬, 鼓膜切開術などの治療で良好な結果の得られた症例は81.4%で, 18.6%の症例では耳漏の持続が認められたり, 反復性中耳炎に移行した。特に初回細菌検査でPSSPが検出された症例でも, その後PISPが検出され, 難治性中耳炎に移行した症例もあり, 初回治療の重要性が再認識された。また, S. pneumoniae の耐性化率が高度な地区では, S. pneumoniae に対する抗微生物薬の使用についてのガイドライン作成が必要であると考えられた。
  • 第6回安全性定期報告 (旧第4年次報告) より
    1999 年 47 巻 7 号 p. 396-410
    発行日: 1999/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    カルベニン®(panipenem/betamipron) の使用成績測査は, 平成6年4月から施行された改訂GPMSPのもと,「新医薬品等の再審査の申請のために行う使用の成績等に関する調査の実施方法に関するガイドライン」に則り, 使用実態下で連続調査方式を用いて実施した。本使用成績調査は, 平成6年2月に開始したパイロットスタディをはじめとして平成9年3月までの約3年間実施し. 17,872例の調査票を岡収した. 回収した17,872例のうち, 測査期間外などの理由により不適格症例となった124例を除いた17,748例を安全性解析対象症例とし, 検討を行った。その結果. カルベニン®の副作用 (臨床検査偵異常を含む) 発現率は9. 34%(1,658例/17,748例) で承認時の16. 97%(443例/2. 611例) と比較し上昇傾向は見られず, その構成比にも明らかな変動は見られなかった。本使用成績調査では, 安全性とともに有効性についても検討を行ったが, 本医薬品は再審査期間 (平成5年10月111-平成11年9月30日) の途中のため. 安全性の検討結果のみを報告する。
feedback
Top