日本化学療法学会雑誌
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48 巻 , 3 号
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  • 小原 康治
    2000 年 48 巻 3 号 p. 169-190
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床分離株におけるマクロライド抗生物質耐性に関して, 30年前には, 単純に (1) 70Sリボソームの50Sサブユニット中の23Sr RNAの特定アデニンがN6, N6-ジメチル化酵素によって修飾されるために, マクロライド抗生物質が結合できなくなって耐性化するとだけ覚えておけば十分であった。しかし, 現在ではエリスロマイシンから始まった種々のマクロライド開発によってマクロライド耐性化機構は実に多様化し, 激しく進化してきている。そして, 最近の遺伝子工学を駆使した研究の進歩と共に, アデニン2058位N6, N6-ジメチル化反応機構の詳細や種々の新しい耐性化機構が明らかとなってきた。さらに, (2) 23Sr RNAの多部位での残基変異, (3) リボソーム50Sサブユニットのリボソーム蛋白変異や, 他に (4) マクロライド排出系蛋白,(5) マクロライド透過性変化,(6) エリスロマイシンエステラーゼ (エリスロマイシンエステル環加水分解不活化酵素), (7) マクロライド2'-リン酸化不活化酵素, (8) マクロライド2′-グリコシル化による不活化機構や, (9) マクロライドホルミル基 (CHO) 還元化機構, (10) マクロライドの脱アシル化耐性化機構が知られている。これらの中にはいくつものサブグループが知られ, かつ, 菌株によって特異性をもっている。このような多種類のマクロライド耐性が出現し問題化している現状下でそれぞれ特徴をもつ新たなマクロライドである15員環マクロライドのアジスロマイシン, 14員環マクロライド誘導体のケトライドなどの登場が予想されており, 新マクロライドと耐性菌の戦いがいま再びはじまろうとしている。そして, 今後のマクロライド耐性菌はさらに新しい進化を余儀なくされていくに違いない。
  • 中川 清昌, 栗山 智有, 山本 悦秀
    2000 年 48 巻 3 号 p. 191-194
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセフェム系抗菌薬であるcefoselis (CFSL) の血漿, 歯肉, 下顎骨への移行濃度を測定した。10名に対しCFSLlgを60分で点滴静注し, 評価可能であった9名の点滴終了直後の血漿中濃度は22.0μg/mlから46.0μg/ml (平均32.6μg/mL) であった。さらに30分から120分経過後の血漿中濃度は8.82μg/mlから29.2μg/ml (平均18.3μg/mL) であった。また, 推定半減期は79.05分であった。歯肉移行濃度は8.34μg/gから27.10μg/ml (平均17.3μg/g) であり, 歯肉/血漿濃度率は平均99.5%であった。一方, 下顎骨移行濃度は0.45μg/gから7.25μg/g (平均2.8μg/g) であり, 下顎骨/血漿濃度率は21.2%であった。この組織移行は他の主なセフェム系抗菌薬と比較してきわめて良好な結果であり, 本剤の特徴と考えられた。また, 投与後に副作用と思われる異常はまったく認められなかった。以上の結果よりCFSLは下顎組織への移行に優れ, 歯科口腔外科領域において有用な薬剤と考えられた
  • 坂田 宏, 丸山 静男
    2000 年 48 巻 3 号 p. 195-198
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    対象は1999年1月から8月までに当施設に細菌性呼吸器感染症が疑われて入院し, cefozopran (CZOP) を投与した生後5か月から13歳までの小児87名である。CZOPは原則的に20mg/kg/回を8時間ごとにoneshot静注投与した。87名のうち原因菌が検出されたのは42名であった。42名の疾患は全員気管支肺炎で, うち8名は中耳炎を合併していた。原因菌はHaemophilus influenzaeが21名, Streptococcuspneumoniaeが16名, HinfluenzaeS. pneumoniaeの両者が5名であった。臨床効果は著効が12名 (28.6%), 有効が30名 (71.4%) と全員有効以上の成績であった。細菌学的効果ではH. influenzaeが26株中24株 (92.3%), S. pneumoniaeが21株中18株 (85.7%) が除菌された。除菌されなかった5名のうちS. pneumoniaeの2名とHinfluenzaeの2名は1から2週間後に再び肺炎または中耳炎を起こした。菌は検出されなかったが, 臨床的に細菌感染症と考えられた29名の気管支肺炎では, 8名 (27.6%) が著効, 21名 (72.4%) が有効であった。最終的に本剤の適応外と考えられた16名も含めてCZOPを投与した87名中4名 (4.6%) で軽度の下痢・軟便がみられた。他に副作用と思われる症状の出現はなく, 臨床検査値の異常も認めなかった。
  • 正岡 徹, 長谷川 廣文, 高久 史麿, 溝口 秀昭, 浅野 茂隆, 池田 康夫, 浦部 晶夫, 柴田 昭, 齊藤 英彦, 大熊 稔, 堀内 ...
    2000 年 48 巻 3 号 p. 199-217
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    厚生省から再評価指定を受け, 重症感染症に対する静注用ヒト免疫グロブリン (以下MG) 製剤の抗生物質との併用効果を検証するため, 抗生物質単独投与を対照とした多施設共同非盲検ランダム化試験を実施した。広範囲抗生物質の3日間の投与において感染症の主要症状の改善が認められない無効例をmG群または対照群に無作為に割り付けた。割り付け日 (第1日目) より, いずれの群も抗生物質をimipenem/cilastatin (IPM/CS)+amikacin (AMK) に変更し, 7日間投与した。MG群のみにWIGを第1日目より1日59, 3日間連日併用投与した。効果は解熱に要した日数ならびに臨床症状の消失に要した日数を中心に判定した。有効性評価からの除外率は26.1% (178/682) であった。背景因子 (性, 年齢, 病態の区分, コロニー刺激因子 (以下CSF) 製剤投与の有無, 投与前アルブミン濃度, 投与前IgG濃度および好中球数の推移) に関してはすべての項目で両群間に偏りは認められなかった。Kaplan-Meier法にて推定した第7日目までの解熱率はmG群54.8%, 対照群37.2%で, IVIG群が有意に早く解熱した (一般化Wilcoxon検定: P=0.002)。同様に第7日目までの臨床症状の消失率はIVIG群57.3%, 対照群39.4%で, IVIG群が有意に早く消失した (一般化Wilcoxon検定: P=0.002)。客観的な半掟基準にもとつく「有効」以上の有効率はMG群61.5% (163/265), 対照群47.3% (113/239) でIVIG群が有意に優れていた (x2検定: p<0.001)。IVIG製剤は重症感染症に対し, 抗生物質との併用において有効であると考えられた。
  • 河田 幸道
    2000 年 48 巻 3 号 p. 218-232
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    注射用カルバペネム剤, biapenem (BIPM) の複雑性尿路感染症に対する有用性を客観的に評価する目的で, imipenem/cilastatin (IPM/CS) を対照薬とした二重盲検比較試験を行った。BIPMは1回300mg (BIPM群), IPM/CSは1回500mg/500mg (IPM群) をいずれも1日2回, 5日間点滴静注後に, UTI薬効評価基準 (第3版) にしたがって臨床効果を判定した。総登録症例186例中, BIPM群の75例, IPM群の76例を有効性の評価対象としたが, 年齢分布においてIPM群が高齢者側に偏っていた (p<0.15) 以外, 患者背景因子に有意差を認めなかった。総合臨床効果の有効率はBIPM群で94.7%, IPM群で93.4%と有意差を認めず, また, 総合臨床効果について有効率の差の90%信頼区間によりBIPMのIPMに対する非劣性が検証された。細菌消失率はBIPM群で121株中95.0%, IPM群で124株中94.4%で有意差を認めなかった。副作用はBIPM群の92例中2例 (2.2%), IPM群の90例中4例 (4.4%), 臨床検査値の異常変動はBIPM群の88例中13例 (14.8%) に20件, IPM群の89例中14例 (15.7%) に28件認められたがいずれも有意差を認めず, また概括安全度に関しても両群間に有意差を認めなかった。有用性はBIPM群において有意に高かった (p<0.05)。これらの成績から, BIPMは複雑性尿路感染症の治療において, IPM/CS同様有用な薬剤であると考えられた。
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