日本化学療法学会雑誌
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48 巻 , 5 号
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  • 斎藤 篤
    2000 年 48 巻 5 号 p. 319-324
    発行日: 2000/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    医薬品の臨床試験 (治験) は, 有効性と安全性を最終的にヒトで確認する試験であり, 倫理性, 科学性, 信頼性が確保されていなければならない。わが国では1997年3月に新GCPが制定され, 翌年の4月からは完全実施に移行された。抗菌薬開発におよぼす新GCPの影響については完全実施後まだ日が浅く, 今後の動向を見届ける必要があるが, 現時点では製薬企業, 医療機関がともに新GCPに則した治験環境の整備や, その効率的な運用法の模索に終始しているのが現状である。今後医療機関側としては,(1) 治療環境の整備,(2) 責任医師の責務, 業務の増大,(3) 同意説明取得の困難性,(4) 資料閲覧への理解と協力,(5) 治験コーディネーター・制度の確立,(6) チーム医療の重要性,(7) 一般市民への啓蒙,(8) 被験者への利益の提供などの諸問題を逐次解決しながら, 新GCPのもとで治験が適正かつ円滑に実施されるよう努めることが肝要である。わが国の治験をとりまく環境はきわめて厳しく, 抗菌薬といえどもその例外ではない。このような氷河期から早く脱出するためにも, 日本化学療法学会には抗菌薬開発への意欲向上, 治験環境の整備に向けての積極的な支援, 指導をお願いしたい。
  • 田中 眞由美, 内田 洋子, 吉原 清美, 赤坂 高明, 村上 要一, 佐藤 謙一, 辻 明良
    2000 年 48 巻 5 号 p. 325-332
    発行日: 2000/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    主要呼吸器感染症原因菌に対するlevofloxacin (LVFX) の有効性を血中濃度シミュレーションモデルを用いて検討した。その結果, LVFXのMICが1および2μg/mLのStreptococcus pneumoniaeに対して, LVFXは, 200mg1日2回投与 (b. i. d.) の血中濃度シミュレーションモデルにおいて, 検出限界以下に殺菌し, 良好な殺菌作用を示した。LVFX 100mg 1日3回投与 (t. i. d.) モデルではMIC1μg/2LのS.pneumoniaeに対しては殺菌作用が, またMIC 2μg/mLの菌に対しては静菌作用が観察された。24時間後に再増殖した菌におけるLVFX感受性を測定した結果, 耐性化したコロニーの出現は認められなかった。Haemophilus influemaeに対してはMIC 0.008および0.03μg/mLのいずれの株においてもLVFXシミュレーションモデルは良好な殺菌作用を示した。キノロン薬感受性Moraxella catarrnalis (LVFX MIC: 0.03μg/mL) に対してはLVFXの100mg t. i. d.および200mg b. i. d.モデルでの殺菌作用はきわめて良好であったが, MIC値が2μg/mLである菌株に対してはLVFXは, 100mg t. i. d.モデルで静菌的に作用し, LVFX200mg b. i. d.モデルにおいても作用24時間目での生残数は102CFU/mL~103CFU/mLであった。しかしながら, LVFX感受性ではS. pneumoniaeの場合と同様に, 耐性。化したコロニーは認められなかった。以上の検討結果を各種ファーマコダイナミクスパラメータを用いて比較すると, LVFXの殺菌効果はAUC/ICが20~25SIT-1・hのAUC/MIC値で十分な殺菌効果を発揮することが示唆されるとともに, 初回薬剤投与による殺菌力すなわち短時間殺菌力が24時間後の殺菌効果に影響している傾向があった。
  • 渡邉 信介, 二木 芳人, 玉田 貞雄, 河端 聡, 吉田 耕一郎, 宮下 修行, 中島 正光, 松島 敏春
    2000 年 48 巻 5 号 p. 333-340
    発行日: 2000/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1996年1月から1998年4月までに川崎医科大学附属病院中央検査部において各種臨床検体から分離されたHaemophilus influenzae 178株のβ-ラクタマーゼ産生能, 莢膜型, 各種薬剤感受性, また各耐性株についてはその臨床的背景を検討した。全株中24株 (13.5%) が, β-ラクタマーゼ産生 (β-lactamasepositive: BLP) 株であった。莢膜型別では, 8株 (4.5%) がb型であり, 156株 (87.6%) はnon-typableであった。β-ラクタマーゼ非産生 (β-lactamase negative: BLN) 株154株中4株 (2.6%;全株中2.2%) は, ampicillin (ABPC) に対して2μg/mL以上を示すABPC耐性株 (β-lactamase negative ampicillinresistant: BLNAR) であり, またBLP株24株中2株 (8.3%;全株中1.1%) は, clavulanic acid/amoxicillin (CVA/AMPC) に対して8μg/mL以上を示すCVA/AMPC耐性株 (β-lactamase positive amoxicillin/clavulanate resistant: BLPACR) であった。またキノロン系抗菌薬に対しては, ciprofloxacin (CPFX) あるいはlevofloxacin (LVFX) に対して2μg/mL以上を示すキノロン耐性株が.7株 (3.9%) 存在した。各耐性株についてその臨床的背景を検討した結果, 病原性を有した株においても治療難渋例は認めなかった。
  • 大澤 浩, 稲本 幸雄, 相羽 恵介, 堀越 昇, 山下 孝, 植田 守, 松原 敏樹
    2000 年 48 巻 5 号 p. 341-346
    発行日: 2000/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    気管・気管支・大動脈などに浸潤が疑われる (T4: TNM分類による) 進行食道癌は, きわめて切除困難であると同時に予後不良な癌腫である。われわれはT4癌症例に対してcisplatin単回投与 (75mg/m2, 2時間点滴静注, 第1日目) と5-fluorouracil持続静注 (300mg/m2, 第2~29日目) と放射線 (2 Gray (Gy)/2fractions/day, 第2~29日) の同時併用療法を術前に施行し, 4週間治療を休止した後外科切除術を施行する複合療法の有用性を検討した。対象症例は20例であり, 全例が評価可能であった。治療効果は, 著効1例 (5%), 有効8例 (40%), 不変10例 (50%), 進行1例 (5%) で, 奏効率は45%であった。無病生存期間の中央値は10, 5か月 (2~113か月+) で, 1年無病生存率42.9%, 3年21.1%, 5 年21.1%であった。生存期間の中央値は22.5か月 (3~114か月+) で, 1年生存率73.7%, 3年42.1%, 5年31.6%であった。術後補助療法未施行群 (11例) と術後補助療法施行群 (9例) の2群間では, 前者のDFIの中央値は7か月 (2~32か月), 後者は20。5か月 (4~113+か月) で統計学的に有意に良好な結果であった (p=0.03)。主な副作用は, 悪心・嘔吐, 食道炎, 白血球減少と好中球減少であった・本療法の副作用は臨床的に管理可能であり, 安全に治療遂行可能であった。しかし奏効率は満足の得られるものではなく, 原発巣の奏効率60%, 照射野内転移リンパ節の奏効率27.8%, 照射野外転移リンパ節の奏効率15.4%であった。特に照射野外転移リンパ節において期待された治療効果が得られなかった。よってCDDPあるいは5-FUの投与量, 投与法や照射量, 照射方法を含む, 総合的な治療法の再検討の必要があると考えられた。
  • 周術期使用抗菌薬の影響
    花谷 勇治, 小平 進, 浅越 辰男, 宜保 淳一, 戸枝 弘之, 川上 小夜子
    2000 年 48 巻 5 号 p. 347-352
    発行日: 2000/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    術後腸炎およびMRSA腸炎の発生要因を検討するため, 最近6年間の消化器外科手術1,155例を対象に調査を行った。術後, 明らかな誘因がないにもかかわらず, 1日4回以上の下痢を連続して2日以上認めた症例を術後腸炎と定義した。また, 術後腸炎の下痢便からMRSAを検出した症例をMRSA腸炎と定義した。消化器外科全体では1,155例中57例 (4.9%) に術後腸炎が発生した。これは同期間に経験した術後感染症555件の10.3%を占めていた。下痢便の培養を行った46例中28例 (60.9%) からMRSAが検出された。汚染手術例 (P<0.01) および男性 (P<0.05) では有意に高率にMRSA腸炎が発生した。手術部位, 年齢, 基礎疾患の良悪, 併存症の有無によってMRSA腸炎の発生率に有意差を認めなかった。腸炎の好発時期は術後1週間前後であり, MRSA検出の有無により差を認めなかった。術前抗菌薬投与例と非投与例では, 術後腸炎およびMRSA腸炎の発生率に有意差を認めなかった。術後にオキサセフェム系薬あるいは第三世代セフェム系薬, カルバペネム系薬を投与した症例は, 第一世代セフェム系薬あるいは第二世代セフェム系薬を投与した症例に比べ, 術後腸炎 (P<0.05, P<0.001) およびMRSA腸炎 (P<0.01, P<0.001) の発生率が有意に高率であった。消化器外科術後腸炎からはMRSAが高率に検出され, 治療および院内感染予防の両面で問題になると考えられた。術後腸炎の発生時期からMRSAの関与の有無を推定することは困難と思われた。術前の抗菌薬投与は1術後腸炎およびMRSA腸炎の発生率に影響を与えないと考えられた。術後にオキサセフェム系薬や第三世代セフェム系薬, カルバペネム系薬を投与すると術後腸炎およびMRSA腸炎が発生しやすいと考えられた。
  • 谷村 弘他
    2000 年 48 巻 5 号 p. 353-374
    発行日: 2000/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用ニューキノロン系抗菌薬であるpazufloxacin (PZFX) 注射薬について全国23施設において外科領域感染症に対する基礎的・臨床的検討を行った。
    1) 腹腔内感染症の有効率は77.8%(21/27), 胆道感染症は88.2%(15/17), 肝膿瘍は3/3, 創二次感染は71.4%(15/21) で, 外科領域感染症全体の有効率は79.4%(54/68) であった。特に, Psuedomonas aeruginosa感染13例における臨床効果は有効率84.6%(11/13) と優れていた。重症度別では中等症は80.0%(40/50), 重症でも有効率は77.8%(14/18) であった。感染症重症度または基礎疾患・合併症重症度のいずれかが重症の重症疾患群でも, その有効率は76.0%(19/25) であり, なかでも, 感染症重症度と基礎疾患・合併症重症度がともに重症であった最重症例の有効率も5/8であった.また, 投与開始時に全身.炎症反応症候群 (SIRS) を呈していた症例でも有効率は79.3%(23/29) であった。特に, 他剤無効例に対する有効率は72.0%(18/25) であり, なかでもカルバペネム薬を含むβ-ラクタム薬無効例に対する有効率は75.0%(12/16) であった.
    2) 菌の消失率は, グラム陽.菌64.0%(16/25), グラム陰.菌78.9%(30/38), 嫌気.菌79.3%(23/29) であり, P. aeruginosaに関しては72.7%(8/11) であった。
    3) 副作用は3例に認め, 全身発疹・掻痒感, 下血の増強, 皮疹の各1例であった。臨床検査値異常は14例に認め, その発現率は17.7%(14/79) であった。主なものは血清トランスアミナーゼ値の上昇で, その他, 白血球数の減少などを認めた。
    4) 胆嚢摘出術患者におけるPZFX500mg静脈内投与後の胆嚢組織内濃度および胆嚢胆汁中濃度は, それぞれ9.85~35.5μg/g (n=4), 4.27~46.5μg/mL (n=4) で, その時の血清中濃度3.69~19.0μgmL (n=4) と比較して良好な胆嚢組織内移行および胆汁中移行を認めた。肺切除術患者における肺組織内濃度はPZFX静脈内投与後3.49~12-7μg/g (n=5) で, その時の血清中濃度3.20~9.40μgmL (n=5) と比較し, 1.1~1.5倍であった。創からの膿汁中濃度は4.61, 4.84μg/mL (n=2) で, その時の血清中濃度はそれぞれ10.5, 8.12μg/mL (n=2) であり, 対血清比は0.4と0.6であった。以上より, PZFX注射薬は腹腔内感染症をはじめとする外科領域感染症に対して有用.の高い薬剤であると思われた。
  • 2000 年 48 巻 5 号 p. 377
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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