日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
48 巻 , 8 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • その1 1998年分離グラム陽性球菌および嫌気性菌
    木村 美司, 吉田 勇, 東山 伊佐夫, 佐々木 緊
    2000 年 48 巻 8 号 p. 585-609
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1998年に国内各地の14施設において, 種々の臨床材料から分離された好気性グラム陽性球菌22菌種919株, ならびに別途収集株を含む嫌気性菌22菌種170株について, 寒天平板希釈法で各種抗菌薬の抗菌力を測定した。Staphylococcus aureusのなかで, methicillin-resistant S.aureus (MRSA) は51.7%と高い分離頻度であった。MRSAに対し優れた抗菌力を示したのは, vancomycin,(VCM), teiooplanin (TEIC), arbekacin (ABK) とsulfamethoxazole-trimethoprimであり, MIC90はいずれも1.56μg/mLであった。Staphylococcus epidermidisに対しては, VCM, ABK, minocychneならびにcefbtiamが優れた抗菌力 (MIC90≦3.13μg/mL) を示した。Streptococcus pneumoniaeにおけるpenicillin (PC)-intermediate S. pneumoniae+PC-resistant S. pneumoniae (PISP+PRSP) の割合は46.8%であった。これらPISP+PRSPに対し, cefpirome, cefoselis, carbapenems (CBPs), tosufloxacin, TEICおよびVCMは, 0.39μg/mL以下の濃度で測定全株の発育を阻止した。Enterococcus faecalis, Enterococcus faeciumに対して優れた抗菌力を示したのは, VCMとTEICであり, MIC90は3.13μg/mL以下であった。MRSAおよび腸球菌属を含めMIC測定を行ったすべてのグラム陽性球菌において, VCM耐性株は認められなかったが, TEICではStaphylococcus haemolyticusなどで耐性株が検出された。嫌気性菌では, Peptostreptococcus spp. には, cefcapene, Clostridium difficileには, VCM, benzylpenicillin, また, Propionibacterium acnesには, S-1090が優れた抗菌力を示した。Bacteroides fragilis group., Prevotella spp. には, CBPs, faropenem (FRPM) とセフェム薬のflomxefが優れた抗菌力を示した。嫌気性菌全般に対しては, CBPsとFRPMの抗菌力が優れていた。しかし, Bactmides frasilisに対するCBPsの抗菌力に低下傾向がみられ, 今後の動向に注意が必要と考えられた。
  • その2 1998年分離グラム陰性菌
    吉田 勇, 東山 伊佐夫, 木村 美司, 佐々木 緊
    2000 年 48 巻 8 号 p. 610-632
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1998年に全国14施設において種々の臨床材料から分離されたグラム陰性菌18菌積属, 1.069株に対する各種抗菌薬のMICを寒天平板希釈法で測定し, 抗菌力の比較検討を行った。Klebsiella oxytoca, Proteus vulgarisを除く腸内細菌属の薬剤感受性は, ほとんどのβ-ラクタム薬に対して, 過去のデータに比べ耐性化傾向は認めなかった。しかし.Escherichia coli, Proteus mirabilisなどの一部の菌種においては, extended spectrum β-lactamase (ESBL) 産生株と考えられる菌株が検出された。K.oxytoca, P.vulgarisのβ-ラクタム薬に対する感受性は, 過去のデータに比ぺ低下しており, 耐性化傾向を肥めた。これら腸内細菌属のほとんどにおいて, ニューキノロン薬 (NQs) に対する低感性株を含む耐性株の分離頻度は上昇していた。Neissern gonorrhoeae, Branhamella catarrhalisに対し, 多くの抗菌薬は良好な抗菌力を有していたが, N. gonorrhoeaeではNQs耐性株が50.0%に達し, 過去と同様高頻度で検出された。Haemophilus influenzaeにおけるβ-lactamase産生株は14.6%であり, 年度による変動はみられるが, 徐々に増加していた。β-Lactamase-negative ampicillin-resistant (BLNAR) の分離頻度は1992年3.3%, 1994年3.5%, 1996年15.6%, 1998年24.4%と大きく増加していた。Pseudomonas aeruginosaに対しては, tobramycin, S-4661, meropenem, imipenemの抗菌力が比較的強く, MIC80は6.25μg/mL以下であった。抗緑膿菌薬11剤に対する感受性解析の結果, 多剤耐性化が進んでいることが示された。その他のブドウ糖非醗酵グラム陰性菌に対しては, 強い抗菌力を示す薬剤が少なく, 治療薬の選択に注意が必要であると考えられた。
  • 高木 健三, 矢島 洋一, 吉澤 久雄
    2000 年 48 巻 8 号 p. 633-644
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    高齢のボランティア10例に新規ニューキノロン系抗菌薬pazufloxacin注射薬 (PZFX注射薬) 500mgを30分間で点滴静注単回投与し, 高齢者の体内動態について検酎を行った。活性本体であるPZFXの血清中濃度, 尿中濃度はHPLC法にて測定し, 薬物動態パラメータは2.コンパートメントモデルにて解析した。また, 得られたパラメータは65~74歳と75歳以上の高齢者で層別解析を行った。その結果, 高齢者の体内動態において健常成人と比較しCmaxとAUCが増加し, 全身クリアランス (CLaya), 腎クリアランス (CLR), 定常状態分布容積 (Vmax) が低下し, 加齢の影響が認められた。血中濃度半減期 (T1/2β) には加齢の影伊を認めなかった。投与24時間までのPZFXの尿中排泄率は平均83.5%であり, 体内からの消失はCLRが主であったことより高齢者においてもPZFXは主に腎排泄型の薬物であることが確認された。CLayaとクレアチニンクリアランス (CLCR) の間には有意な相関は認められなかった。本試験で得られたパラメータを用い, 500mg×2または3回/日×7日問投与した場合をシミュレーションした結果, Cmaxは単回投与時と比較し増加せず, 蓄積性がないことが推測された。安全性については, 副作用, 臨床検査値異常は認められなかった。以上の結果より, 高齢者に対してPZFX注射薬を投与する場合, 500mgの投与は可能であるが, 健常成人に比べCmaxが高くなることがあるので高齢者の状態を観察しながら慎重に投与する必要があると考えられた。
  • 石田 裕一郎, 桜井 磐, 岡本 日出数, 高橋 孝行, 森田 雅之, 松本 文夫
    2000 年 48 巻 8 号 p. 645-653
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Pazunoxacin (PZFX) 注射薬の腎機能低下患者における体内動態賦験を実施し, 腎機能低下患者における本薬の投与閥隔の調節について検討した。また, 本薬の血液透析性についても検討した。37議から58歳までの腎機能低下患者に, 本薬300mgを30分かけて点滴静注し, 経時的に血清中および尿中濃度を測定した。得られた結果をもとに薬物動態パラメータを算出し, 反復投与時の血清中濃度推移を予測した。また, 血液透析施行患者では, 投与開始24時間後より血液透析を4時間行った時の血清中濃度を測定し, その透析性を検討した。本薬は, 腎機能の低下に伴い.T1/2βの延長およびAUC0-infの増大が認められた。特に, 血液透析施行患者においては, T1/2βは20時間以上となり, 健常成人のT1/2β, 約2時間と比べて著しく延長した。また, 腎機能低下に伴い明らかに腎クリアランスの低下が見られ, 尿排泄の遅延が認められた。本薬の血液透析性は比較的良好で, 血液透析時の見かけの半減期は2.78~4, 00時間で非透析時の約1/6となった。また, その時の本薬の血液透析による除去量は, 4時間の透析で59~66mgであった。得られたパラメータをもとに, 個々の患者の反復投与シミュレーションを行ったところ, Ccrが44.7および13.6mL/minの患者では, 1日300mg 2回投与が可能であることが示唆され, 投与間隔の調節は必要でないことがわかった。一方, 血液透析施行患者 (Ccr=0 mL/min) 3例では調節する必要があり, 高度腎機能低下患者では投与間隔の調節が必要であることが示唆された。
  • 松田 静治他
    2000 年 48 巻 8 号 p. 654-672
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Pazufloxacin注射薬の産婦人科領域感染症に対する臨床的有用性を検討するために, 体内動態試験 (女性性器組織および骨盤死腔液への移行性) および感染症に対する臨床試験を実施し以下の成績を得た。
    1) 子宮全摘出手術予定または施行患者 (計10例) に本薬300mgを30分間点滴静注し, 血清, 各性器組織 (子宮膣部, 子宮頸部, 子宮内膜, 子宮筋層, 卵管, 卵巣) および骨盤死腔液中の薬剤濃度を経時的に測定した。
    (1) 点滴静注開始0.83から2.83時間後における血清中および各組織内濃度は0.83時間で最高値を示した。その時の子宮動脈および肘静脈血清中濃度は6, 72, 6.21μg/mLであった。また子宮膣部, 子宮頸部, 子宮内膜, 子宮筋層, 卵管および卵巣の組織内濃度はそれぞれ5.00, 7.79, 13.9, 12.9, 9.34および5.65μg/9であった。
    (2) 骨盤死腔液中濃度については点滴静注開始0.25から6時間後まで経時的に測定した。血清中濃度は点滴静注開始025から0。5時間後に, 骨盤死腔液中濃度は1から4時間後に最高濃度を示した。血清および骨盤死腔液中の平均最高濃度はそれぞれ7, 83および3.18μg/mLであった。
    2) 中等症以上の子宮付属器炎, 子宮肇結合織炎および骨盤腹膜炎49例を対象として, 本薬を1回300または500mg, 1日2から3回点滴静注し臨床的有用性を検討した。
    (1) 有効性解析対象例42例に対する有効性は著効4例, 有効33例, 無効5例であり, その有効率は88.1%(37/42) であった。疾患別有効率は子宮付属器炎95.2%(20/21), 子宮労結合織炎80.0%(8/10), 骨盤腹膜炎81.8%(9/11) であった。
    (2) 1回300と500mg投与における有効率は300mg投与で6/8,500mg投与で90.6%(29/32) であった。
    (3) 他の抗菌薬無効症例8例 (子宮肇結織炎7例, 卵巣膿瘍1例) に対する有効率は6/8であった。
    (4) 細菌学的効果解析対象例は30例であり, 単数菌感染および複数菌感染の有効率はそれぞれ83.3%(10/12) および88.9%(16/18) であった。原因菌60株の消失率は90.0%(54/60) であり, 好気性グラム陽性菌, 好気性グラム陰性菌および嫌気性菌の消失率はそれぞれ85.2%(23/27), 94.1%(16/17) および93.8%(15/16) であった。
    (5) 副作用の発現率は10.4%(5/48) であり, その内訳は下痢2例, 水様便, 軟便および発疹各1例ずっであった。いずれも軽度から中等度の症状であった。
    (6) 臨床検査値異常の発現率は17.4%(8/46) であり, 主としてトランスアミナーゼの上昇であった。
    以上の成績より, 本薬は1回300または500mg投与で他の抗菌薬無効症例を含む中等症以上の子宮付属器炎, 子宮肇結合織炎, 骨盤腹膜炎に対して臨床的有用性をもつものと考えられた。
  • 島田 馨, 中井 祐之, 庄司 聡, 新妻 一直, 稲松 孝思, 小山 優, 入交 昭一郎, 松岡 康夫, 小井戸 則彦, 小田切 繋樹, ...
    2000 年 48 巻 8 号 p. 673-683
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規な注射用ニューキノロン系抗菌薬であるpazunoxacin (PZFX) 注射薬 (以下PZFX注射薬と略す) の, 重症および難治性細菌感染症の敗血症, 感染性心内膜炎および膿胸に対する有効性, 安全性および有用性を検討する目的で, 一般臨床試験を実施した。用法・用量は1回500mg (PZFXとして) の1日2-3回点滴静注とし, 投与期間は原則14日間とした。総投与症例数は9例で, 臨床効果解析対象症例は7例, 副作用解析対象症例は8例, 臨床検査値異常解析対象症例は8例, 概括安全度解析対象症例は8例, 有用性解析対象症例は7例であった。臨床効果における有効率は, 敗血症が2/2, 膿胸が3/5であった。前投与抗菌薬無効例に対する有効率は2/2であった。起炎菌は, 敗血症では2例より分離され, Escherichia eoliの単独菌感染が1例, E. coliEnterococsus faecalisの複数菌感染が1例であった。細菌学的効果は, 単独菌感染例は消失, 複数菌感染例は投与後の菌検査が未実施のため不明で, 消失率は1/1であった。膿胸では, 起炎菌は1例より分離され, Streptococcus intermdiusの単独菌感染であった。細菌学的効果は不変で, 消失率は0/1であった。副作用は1例に発現し, 発現率は1/8であった。症状はせん妄であった。臨床検査値異常は2例に発現し, 発現率は2/8であった。内訳は, 好酸球増多1例, A1-P上昇1例であった。概括安全度における安全率は5/8であった。有用性における有用率は, 敗血症が1/2, 膿胸が3/5であった。以上の成績より, PZFX注射薬は, 重症および難治性細菌感染症のなかでも敗血症と膿胸に対し臨床効果が期待できる薬剤と考えられる。
feedback
Top