日本化学療法学会雑誌
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48 巻 , 9 号
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  • 野口 隆志
    2000 年 48 巻 9 号 p. 699-707
    発行日: 2000/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    わが国のPMS (市販後調査) の現状について, 医薬品情報, 安全性情報の収集・評価・伝達のしくみを知って, 医薬品の適正使用のあり方と伝達内容の利用について理解を深め, 医療現場の関係者に医薬品の安全対策に協力いただくことが大切である。特に, 安全性情報の収集には, 医師, 薬剤師, 看護婦などの医療関係者の有害事象への認識を高めることが大切で, さらには患者さんにも有害事象に対する正しい認識をもっていただくことが肝要である。これらの事柄についての解説を行い, 製薬企業のみならず, 医療従事者の適切な対応を切に願うところである。一方, 国際的なボーダレスの時代に, 医薬品の適正使用情報を国際的に共有することは, 世界中の患者さんから得られた医薬品使用情報を有意義に相互利用して, 特に安全対策の強化を行う上で必要であることはいうまでもないことと考える。そこでは, 国際的に共通する情報伝達の方法が合意される必要もあり, 時代の進歩とともに電子化伝送のしくみを統一する必要も生じているので, これらの趨勢についても述べた。最終的に新たな有害事象をみつけだして, 注意喚起の源とするのに大切なことは, 医師および患者本人が, その医薬品の使用によって生じる症状の変化などの兆候に疑念を抱くことであると考える。
  • 濱本 久美子, 藤本 直幸, 張 曄, 荒井 澄夫
    2000 年 48 巻 9 号 p. 708-712
    発行日: 2000/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    New quinolone系抗菌薬剤のうち, 新しくBayer製薬会社で開発されたmoxifloxacinおよびsparfloxacin, levofloxacin, ciprofloxacinおよびmacrolide系薬剤のclarithromydnのMycoplsama pneumoniaeに対する抗菌活性を検討した。マイコプラスマ感染症の患者の咽頭ぬぐい液から分離されたM. pneumoniae 100株の分離年度別の内訳は1986年以前に分離された39株, 1986~1990年までに分離された24株および1991~1995年までの37株でありこれらの株についてその感受性を, それぞれの薬剤のminimum inhibitory concentration (MIC), およびminimum bactericidal concentration (MBC) を指標として測定した。new quinolone抗菌剤のうち実験に供された薬剤のMIC, MBCは, ともにmoxifioxacinがもっとも低い濃度で抗M. pneumoniae活性を示した。そのMIC60およびMBC50はそれぞれ, 0.08μg/mL, 0.08μg/mLであった。以下, 抗M. pneumoniaeの活性はsparfloxacin, levofloxacin, ciprofloxacin, の順でありそのMIC50は0.15μg/mL, 0.6μg/mL, 2.5μg/mLであり, MBC50は0.3μg/mL, 1.25μg/mL, 2.5μg/mLまたclarithromycinではMIC50, MBC50はそれぞれ0.008μg/mL, 0.015μg/mLであった。このことからmoxifloxacinでは, 強い抗M. pneumoniae活性を有し今後, 臨床での有用性が期待される。
  • 堀 りつ子, 松村 尚樹, 大懸 直子, 荒木 春美, 南 新三郎
    2000 年 48 巻 9 号 p. 713-718
    発行日: 2000/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    β-ラクタム系薬感受性の臨床分離株であるPseudomonas aeruginosa S-1278を用いて, 4種のβ-ラクタム系薬 (pipemcillin (PIPC), tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC), ceftazidime (CAZ) およびimipenem (IPM)) 作用時の耐性菌出現についてラットpouch内感染モデルを用いて検討した。ラットpouch内にP. aeruginosa S-1278を感染させ, 各薬剤20および100mg/kgを1回静脈内投与した時のpouch内耐性菌出現頻度はPIPCおよびTAZ/PIPC投与群では<1.0×10-6~3.7×10-6で, CAZ, IPM投与群 (2.4×10-5~7.5×10-5) より低かった。また, 3回の投与によりCAZ投与群で耐性菌出現頻度の著しい上昇が認められ, もっとも高い出現頻度 (4.7×10-2~2.1×10-1) を示した。P. aerugimga S-1278におけるin vitro耐性菌出現頻度は薬剤により大きな違いは認められなかったが, CAZでは他剤に比べて広い濃度域で耐性菌を選択した。以上, ラットpouch内感染モデルにおけるPIPCの耐性菌出現頻度は, TAZ/PIPCと同程度で, CAZおよびIPMより低かった。
  • 岡本 了一, 中野 竜一, 保坂 美生, 原 哲郎, 宮田 愛子, 平田 泰良, 清水 義徳, 木下 承晧, 梶村 克成, 草野 展周, 斎 ...
    2000 年 48 巻 9 号 p. 719-731
    発行日: 2000/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1996-98年に臨床材料より分離された19菌種 (methicillin-susceptible Staphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidis, Streptococcus pneumoniae, Streptococcus pyogenes, Escherichia coli, klebsiella pneumoniae, Haemophilus influenzae, Moraxella (Branhamella) catarrhal is, Citrobacter freundii, Enterobacter cloacae, Enterobacter aerogenes, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Morganella morganii, Serratia marcescens, Pseudomonasae, aeruginosa, Burkholderia cepacia, Acimtobacter spp.およびBacteroiales spp.) 523株に対するcefepime (CFPM) を含む7薬剤の抗菌力を測定し, CFPM発売前の1985-87年分離菌のそれと比較検討した。今回の成績ではブドウ球菌に対してceftazidime (CAZ)(MIC90; 12.5μg/mL) を除いた他の抗菌薬は優れた抗菌力を示し (MIC90;≦0.025-3.13μg/mL), このMIC90値は1985-87年分離株のそれとほぼ同程度であった。E. coli, K. pneumoniaeに対する抗菌力はCFPM>cefPirome (CPR)=cefozopran (CZOP)>imipemem (IPM)>CAZ>piperacillim (PIPC) の順に優れていた。C. freundii, E. cloacaeにおいてCAZ耐性菌はそれぞれ13.3, 16.7%であったが, CFPMとIPMに対する耐性率は低かった。P. aeruginosaに対しCFPM, CZOP, CAZ, IPMはほぼ同程度の抗菌力を示した。S.marcescens 1株が-PMに対してMICが100μg/mLであり, この株はmetallo-enzymeを産生していた。また, E. coli 82株のなかにESBL産生菌が2株認められた。この2株は同一施設よりの分離菌であり, PFGE型別は同一パターンを示し, 同一株が院内で伝播している可能性が推測された。今回のCFPMの抗菌力を1985-87年に分離された菌株に対するそれと比較すると, いずれの菌種に対しても抗菌力の低下は認められず, また, NCCLSの基準による判定でも耐性率が低かった。以上の結果から, CFPMは強い抗菌力と各種β-ラクタマーゼに対する安定.も強く, 耐性化しにくい薬剤として今後も臨床的に期待される薬剤の1つと考えられる。
  • 藤原 啓次, 山中 昇
    2000 年 48 巻 9 号 p. 732-736
    発行日: 2000/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    マクロライドの少量長期投与は副鼻腔気管支症候群や慢性副鼻腔炎に対して広く用いられ, その臨床的有効性については多数報告されているが, 作用機序については依然解明されていない点も多い。特に上皮に対しての直接の作用についてはほとんど検討されていないのが現状である。今回われわれは鼻粘膜上皮小片から周囲に伸び出す上皮 (Outgrowth) を用いたExplant培養法によりroxithromycin (RXM) による鼻粘膜上皮の増殖度, 分化度について検討した。方法は手術時に採取した鼻粘膜, 副鼻腔粘膜 (10名) の繊毛細胞の多い部分を小片に細切し, 4週間培養した。培養後3~4日目の培養上皮に培養液中のRXM濃度が1.0×10-4mol/L, 1.0×10-5mol/L, 1.0×10-6mol/L, 1.0×10-7mol/Lとなる群と, なにも加えない群で検討した。上皮の増殖部はOutgrowth部位の面積をRXM添加前の面積との差で算出した。上皮の分化はOutgrowth部位の繊毛細胞数をカウントし, RXM添加前の繊毛細胞数との差で算出した。上皮の伸び率は第1週から第4週にかけてRXM 1.0×10-5mol/Lと10-6mol/L添加群ではなにも加えない群, 1.0×10-4mol/Lと1.0×10-7mol/L添加群に比べて大きい増殖を認めた。繊毛細胞の出現率においては1.0×10-5mol/Lの濃度のRXMを加えた群で他の群に比べて多い傾向を認めた。今回の結果では低濃度のRXMにおいて, 抗生剤本来の作用以外に直接上皮の増殖および分化を促す作用が示唆された。またこの結果はRXMによる副鼻腔炎に対する作用機序の一部であり, 濃度特異性が認められたことは, 少量投与の濃度を決定する上でも役立つものである。
  • 松本 哲朗
    2000 年 48 巻 9 号 p. 737-746
    発行日: 2000/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Enteroccus faecalisによる複雑性尿路感染症に対するcefpirome (CPR) の有効性, 細菌学的効果および耐性化傾向の有無を検討する目的で, 1994~1998年の5年間にわたり臨床試験を行った。臨床効果解析可能129例中68例 (52.7%) においてE. faecalisが分離され, その内訳は単独菌感染33.8%(23/68), 複数菌感染66.2%(45/68) であった。E. faecalis分離例における臨床効果は, 著効21例, 有効36例, 無効11例で有効率は83.8%であった。単独菌感染例および複数菌感染例における有効率はそれぞれ87.0%および82.2%, カテーテル留置の有無別有効率は留置例73.7%, 非留置例87.8%であり, いずれも良好な成績であった。E. faecalisが検出されなかった症例におけるCPRの有効率は82.0%であり, E. faeoalis分離例と同等であった。また自他覚的副作用に関しても特に問題となるものは認められなかった。分離年代別のE. faecalisに対するCPRのMIC分布は, MIC50は6.25または12.5μg/mL, MIC90は25または50μg/mLであり, 1985~1988年に分離された株の値と同様であった。MIC100についても, 1990年以前の200μg/mLがもっとも高い値であり, 耐性化傾向は認められなかった。CPRはcephem系でははじめてのE. faecalisを適応菌種として取得した薬剤であるが, 現在のところ有効率の低下や耐性化などの問題はなく, 有用な薬剤であると考えられた。
  • 遠藤 一博, 川井 信孝, 伊東 克郎, 富永 一則, 楠本 修也, 福田 正高, 室橋 郁生, 別所 正美, 山崎 勉, 平嶋 邦猛, 宇 ...
    2000 年 48 巻 9 号 p. 747-750
    発行日: 2000/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    68歳女性。61歳乳癌にて手術, 化学療法および放射線療法を施行し治癒した。1998年2月3日, 全身倦怠感を主訴に当院を受診した。血液検査にて白血球1,950/mm3, アウエル小体を伴なう骨髄芽球を28%認め急性白血病を疑い入院した。骨髄穿刺にて急性骨髄性白血病 (FAB: M2) と診断, 2月9日~15日idanlbicin, cytarabineによる寛解導入療法を施行した。好中球減少に対し2月10日からfilgrastim (以下G-CSF) 300μg/日投与開始した。2月24日より悪寒を伴う発熱を認め, 血液培養にてMRSAを検出しMRSA敗血症と診断した。2月26日より左顎下部に圧痛出現, その後クルミ大の皮下腫瘤に増大, また右下腿伸側には小指頭大の筋肉内腫瘤を認めた。3月9日頸部腫瘤の吸引生検を施行し培養にてMRSAが検出されMRSA皮下および筋肉内膿瘍と診断した。血小板減少時に発症した膿瘍は出血や瘻孔を形成しやすく創傷治癒が遅れ感染を播種させる可能性が高いため, 切除やドレナージが困難であり抗生物質を選択した。Panipenem/betamipron (PAPM/BP) 2g/日とvancomycin (VCM) 2g/日を3月21日まで点滴静注したが改善なく, arbekacin (ABK) 200mg/日点滴静注およびminocycline (MINO) 200mg/日経口に変更し26日間併用したところ4月20日には腫瘤は完全に消失した。感受性検査ではVCM, ABKともにMIC: 4μg/mL以下と感受性を示したがABK, MINOの併用療法が奏功した。また好中球減少のためG-CSFを併用した長期抗生物質投与が必要であった。
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