1996-98年に臨床材料より分離された19菌種 (methicillin-susceptible
Staphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidis, Streptococcus pneumoniae, Streptococcus pyogenes, Escherichia coli, klebsiella pneumoniae, Haemophilus influenzae, Moraxella (Branhamella) catarrhal is, Citrobacter freundii, Enterobacter cloacae, Enterobacter aerogenes, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Morganella morganii, Serratia marcescens, Pseudomonasae, aeruginosa, Burkholderia cepacia, Acimtobacter spp.および
Bacteroiales spp.) 523株に対するcefepime (CFPM) を含む7薬剤の抗菌力を測定し, CFPM発売前の1985-87年分離菌のそれと比較検討した。今回の成績ではブドウ球菌に対してceftazidime (CAZ)(MIC
90; 12.5μg/mL) を除いた他の抗菌薬は優れた抗菌力を示し (MIC
90;≦0.025-3.13μg/mL), このMIC
90値は1985-87年分離株のそれとほぼ同程度であった。
E. coli,
K. pneumoniaeに対する抗菌力はCFPM>cefPirome (CPR)=cefozopran (CZOP)>imipemem (IPM)>CAZ>piperacillim (PIPC) の順に優れていた。
C. freundii, E. cloacaeにおいてCAZ耐性菌はそれぞれ13.3, 16.7%であったが, CFPMとIPMに対する耐性率は低かった。
P. aeruginosaに対しCFPM, CZOP, CAZ, IPMはほぼ同程度の抗菌力を示した。
S.marcescens 1株が-PMに対してMICが100μg/mLであり, この株はmetallo-enzymeを産生していた。また,
E. coli 82株のなかにESBL産生菌が2株認められた。この2株は同一施設よりの分離菌であり, PFGE型別は同一パターンを示し, 同一株が院内で伝播している可能性が推測された。今回のCFPMの抗菌力を1985-87年に分離された菌株に対するそれと比較すると, いずれの菌種に対しても抗菌力の低下は認められず, また, NCCLSの基準による判定でも耐性率が低かった。以上の結果から, CFPMは強い抗菌力と各種β-ラクタマーゼに対する安定.も強く, 耐性化しにくい薬剤として今後も臨床的に期待される薬剤の1つと考えられる。
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