日本化学療法学会雑誌
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49 巻 , 1 号
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  • 佐々木 次郎, 金子 明寛
    2001 年 49 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2001/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    われわれは, 抜歯に代表される歯科の観血処置による過性菌血症を歯科の観血処置前の抗菌薬の投与によって予防することが可能であるかどうかを検討した。従来, 歯科の観血処置前の抗菌薬の投与については, 1977年のAHA (American Heart Association) の報告からはじまり, 1997年のJAMAにPrevention of Bacterial Endocarditisが掲載されている。これらの報告は, MICが劣化しているcephalexinが推奨されるなど, 問題が多い。そこで, 日本において利用しやすい抗菌薬の予防投与法を作成することを目的に検討を行った。
    (1) 健常者での抜歯時菌血症の発症率の検討。
    血液培養陽性率は69.2%であった。Streptococcus milleri groupとPeptostreptococciの検出率が最多であった。
    (2) ハイリスク患者 (心弁置換術後とか過去の細菌性心内膜炎罹患者など) に対する静脈内点滴注射による抗菌薬の前投与時の抜歯時菌血症の発現率の検討。
    236症例に対して8薬剤の検討を行った。カルバペネム系抗菌薬がもっとも成績がよかった。
    (3) 中等度リスク患者 (心室中隔欠損症とその術後など) に対する経口抗菌薬の前投与時の抜歯時菌血症の発現率の検討。
    開業歯科医が使用できる経口抗菌薬4薬剤で検討した。Amoxicicillinを用いた時の陽性率は26.7%でもっともよかった。Amoxicillinの500mgを服用してから61分~120分, あるいはfaropenemの400mgを服用してから70分~120分の問に抜歯をするのが, 血液培養の陽性率を低くすることができる。
    (4) 抜歯を含む歯科観血処置の前に抗菌薬を予防投与することは, 心弁置換術後, 心弁逸脱症と心内膜炎罹患歴の症例をはじめ, 心室中隔欠損症とその術後の症例に対しても, 医療保険で認められている数少ない適応である。心内膜炎に罹患すれば多大の医療費を要するとともに患者の苦痛も多大である。それを少なくすることは, われわれの義務である。
  • 村岡 宏江, 西山 貴子, 小山 英明, 長谷川 美幸, 小林 寅哲, 山口 惠三
    2001 年 49 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 2001/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    各種臨床分離株の抗菌薬感受性をVITEK 2 systemを用いて測定し, 本学会標準法のagar dilution法 (AD法) と比較検討した。試験菌株はStaphylococcus aureus (MSSA, MRSA) 111株, Enterococcus 108株, Streptococcus pneumoniae (PSSP, PISP, PRSP) 113株, Pseudomonas aeruginosa 102株, 計434株の臨床分離株を用いた。使用抗菌薬はNCCLS guidelineより各菌種に対して選定した。AD法によるMIC値はNCCLSのカテゴリーによりS, I, Rに分類しVITEK 2 systemの結果と比較したその結果, MRSAでは両法ともにgentamicin (GM) およびofloxacin (OFLX) に対し, それぞれ約40%および70%が耐性を示し, 一方, vancomycin (VCM) およびsulfamethoxazole-trimethoprim (ST) には全株感性で両測定法とも同様な結果が得られた。PISP, PRSPのAD法でceftriaxone (CTRX), cefotaxime (CTX) に対しては約20%が, imipenem (IPM) では66%がIであった。VITEK 2 systemではCTRXの感受性結果はAD法とよく一致していたが, CTXの感受性結果はVITEK 2 systemでは64%がI, IPMでは全株がSでAD法に比べて前者は耐性, 後者は感性となる傾向が見られた。EnterococcusにおいてはEnterococcusfaeciumにpenicillin G (PCG) 耐性株が多く存在した。AD法でVCM耐性を示したEnterococcus faecalis, E.faeciumはVITEK 2 systemでも同じ結果を示した。Ceftazidime (CAZ) 耐性のP.aemginosaではpiperacillin (PIPC), cefpiromeなどのβ-lactam薬に耐性を示す株が多く存在したがciprofloxacin, levofloxacinのキノロン系薬には多くの株が感性であった。逆にIPM耐性株ではPIPC, CAZに感性を示す株が70%程度と多く, キノロン系薬には約半数が耐性であった。これらの成績はAD法, VITEK 2 systemともによく一致していた。以上の結果からVITEK 2 systemによる感受性成績は本学会標準法のAD法による値とよく一致し, 臨床において有用であると思われた。
  • 稲田 佳紀, 角田 卓也, 谷村 弘
    2001 年 49 巻 1 号 p. 18-29
    発行日: 2001/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Candida属に代表される真菌感染症は外科周術期における重要な課題の1つであるが, 検体の直接培養や血清学的補助診断は所要時間や精度の点で十分ではなく, 従来の真菌特異的PCR診断法も定性に過ぎず, 抗真菌薬治療の要否を決定するcut off値の設定と治療効果判定には定量化が必要である。また, 抗真菌薬の感受性が菌種によって異なるため, 薬剤の選択や投与量の決定に菌種の同定が求められる。本研究では, 真菌血症におけるPCRを用いた定量分析法の確立を目標とし, Candida albicans-secreted aspartic proteinase遺伝子を標的に蛍光プローブを設計して, real time quantitative PCRによるC. albicansの菌量迅速測定法を開発した結果, C.albicans含有血液から予測値にきわめて近似したPCR定量値を得られた。手技は簡便であり, 再現性にも優れていた。また, PCRによる菌種同定法の確立を目標とし, 外科臨床上重要な真菌5種C. albicans, Candida tropicalis, Candida parapsilosis, Candida glabrata, Candida kruseiの18S-rRNAのV4 regionを標的に迅速同定するnested PCR法を開発した結果, 真菌含有血液から5菌種の正確な同定が可能であることが立証できた。いずれも, 臨床応用が可能であったことから, 抗真菌薬治療の要否の決定から, 治療効果と菌交代の有無の判定, 抗真菌薬の増減量や変更の判断までを迅速にできる方法として期待される。
  • 齋藤 かおり, 金子 明寛, 高倉 淳, 荒井 育子, 松崎 薫, 小林 寅哲
    2001 年 49 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 2001/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者にみられた, ガス産生菌による頬部膿瘍の1例の経過と歯性感染症の起炎菌に対する薬剤感受性試験を報告する。症例は56歳, 男性で血糖値は554mg/dL, HbAlcは12.2%と高値であった。CTでは右側の腫脹, 側頭筋部皮下より頬部皮下にかけてガス像が認められた。切開排膿, 抜歯を行いpanipenem/betamipron (PAPM) およびclindamycin (CLDM) を併用し炎症症状は軽快した。検出菌はStreptococcus constellatus, Klebsiella pneumoniae, Peptostreptococcus, Propionibacteriumおよび嫌気性グラム陽性桿菌 (ANGPR) であったまた, 最近の歯性感染症からの分離菌と薬剤感受性を調べたところ, 51症例から, 219菌株検出され, 好気性菌が42%, 嫌気性菌が58%であった。もっとも多く検出されたのが, Prevotella spp. およびPorphyromonas spp., 次いでPeptostreptococcus spp., oral Streptococciであった。Ampicillin (ABPC), flomoxef (FMOX), clarithromycinおよびazithromycinに対し, MICの大きいSteptococcus mitis株が認められた。S. mitisに対する被検各抗菌薬の抗菌力はfaropenem (FRPM)>cefditoren>ABPC>FMOXの順であった。Prevotella intermediaはFRPMを除くβ-ラクタム薬に対して耐性株が認められた。
  • 相澤 久美子, 吉田 正樹, 柴 孝也
    2001 年 49 巻 1 号 p. 36-44
    発行日: 2001/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床より分離されたmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 10株, Pseudomonas aeruginosa6株を用い, マイクロプレート法により浮遊状態, 付着状態の菌に対する4種類の消毒薬 (グルコン酸クロルヘキシジン (CHG), 塩化ベンザルコニウム (BAC), 塩酸アルキルジアミノエチレングリシン (AEG), ポピドンヨード (PVP-I)) の殺菌効果を比較検討した。また, compromised hostである透析患者19例を対象に皮膚におけるこれらの消毒薬の消毒率を比較検討した。浮遊状態にある菌に対して, 今回検討した4種の消毒は, MRSA, P. aeruginosa共に高い殺菌効果を発揮した。しかし, MRSAに対するPVP-I, CHG, P. aeruginosaに対するCHGの殺菌効果は, それぞれ低濃度において低下した一方, 浮遊状態に比べ付着状態にある菌に対する消毒薬の殺菌効果は低下し, MRSAでは, 消毒率は浮遊状態の菌に対する場合の20%~50%に低下した。P. aeruginosaでは, 4種類の消毒薬いずれにおいても高濃度および長時間の消毒によっても殺菌効果は増加しなかった。また, MRSAに対する消毒薬の殺菌効果への有機物存在の影響はPVP-I, AEGで有機物を含まない状態の30%程度に低下した。臨床検討ではPVP-Iが有効な消毒率を示した。PVP-I使用後にhypo alcohol (HA) を使用する効果はほとんど認められなかった。またCHGでは0.05%の濃度において消毒時間を延長することで効果が増加する傾向が認められた。消毒後の残存菌として, Bacillusが多く, Staphylococcus epidermidisも検出される場合があった。
  • 坂田 宏
    2001 年 49 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2001/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    2000年1月から10月までにcefditoren pivoxil (CDTR-PI) またはfaropenem (FRPM) を投与した生後6か月から5歳までの下気道感染症の小児で, CRPが0.6mg/dL以上, 上咽頭スワブからStreptococcus pneumoniaeないしHaemophilus influenzaeか検出されたそれぞれ30名ずつを対象として臨床効果を検討した。原則的にCDTR-PIは3mg/kg/回, FRPMは5mg/kg/回を1日3回食後投与した。原因菌はH.influenzaeがCDTR-PI治療群10名, FRPM治療群11名であった。以下同様にpenicillin-resistantS. pneumoniae (PRSP) 8名と5名, penicillin-susceptible S. pneumoniae (PSSP) 2名と3名, H.influenzeaeとPRSP8名と8名, H. influenzaeとPSSP2名と3名であった。有効率はCDTR-PI治療群86.7%, FRPM治療群が80.0%であった。原因菌別の有効性は同様にH. influenzaeが10名全員と11名中7名, PRSPが8名中6名と5名全員, PSSPが2名中1名と3名全員, H. influenzae+PRSPが8名全員と8名中7名, H.influenzae+PSSPが2名中1名と3名中2名に認められた。除菌率はそれぞれH.influenzaeが50.0%と22.7%, PRSPが18.8%と46.2%, PSSPが4名中1名と6名中4名であった。副作用はCDTR-PI治療群が3名, FRPM治療群が4名に下痢を認めた。
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