各種臨床分離株の抗菌薬感受性をVITEK 2 systemを用いて測定し, 本学会標準法のagar dilution法 (AD法) と比較検討した。試験菌株は
Staphylococcus aureus (MSSA, MRSA) 111株,
Enterococcus 108株,
Streptococcus pneumoniae (PSSP, PISP, PRSP) 113株,
Pseudomonas aeruginosa 102株, 計434株の臨床分離株を用いた。使用抗菌薬はNCCLS guidelineより各菌種に対して選定した。AD法によるMIC値はNCCLSのカテゴリーによりS, I, Rに分類しVITEK 2 systemの結果と比較したその結果, MRSAでは両法ともにgentamicin (GM) およびofloxacin (OFLX) に対し, それぞれ約40%および70%が耐性を示し, 一方, vancomycin (VCM) およびsulfamethoxazole-trimethoprim (ST) には全株感性で両測定法とも同様な結果が得られた。PISP, PRSPのAD法でceftriaxone (CTRX), cefotaxime (CTX) に対しては約20%が, imipenem (IPM) では66%がIであった。VITEK 2 systemではCTRXの感受性結果はAD法とよく一致していたが, CTXの感受性結果はVITEK 2 systemでは64%がI, IPMでは全株がSでAD法に比べて前者は耐性, 後者は感性となる傾向が見られた。
Enterococcusにおいては
Enterococcusfaeciumにpenicillin G (PCG) 耐性株が多く存在した。AD法でVCM耐性を示した
Enterococcus faecalis, E.faeciumはVITEK 2 systemでも同じ結果を示した。Ceftazidime (CAZ) 耐性の
P.aemginosaではpiperacillin (PIPC), cefpiromeなどのβ-lactam薬に耐性を示す株が多く存在したがciprofloxacin, levofloxacinのキノロン系薬には多くの株が感性であった。逆にIPM耐性株ではPIPC, CAZに感性を示す株が70%程度と多く, キノロン系薬には約半数が耐性であった。これらの成績はAD法, VITEK 2 systemともによく一致していた。以上の結果からVITEK 2 systemによる感受性成績は本学会標準法のAD法による値とよく一致し, 臨床において有用であると思われた。
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