日本化学療法学会雑誌
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49 巻 , 11 号
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  • 久保田 哲朗
    2001 年 49 巻 11 号 p. 627-632
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    抗癌剤感受性試験は“同一の臓器山来で同一の組織型を有する癌においても抗癌剤に対する感受性は異なる”という現象から開発されてきた。第30回制癌剤適応研究会における本邦の抗癌剤感受性試験の臨床効果予測率調査においては, 1, 101例の測定可能・評価可能病変を有する症例を対象とした抗癌剤感受性試験の正診率は74%であった。しかし, 臨床奏効例の多くはpartialresponseにとどまっており, 症例の生存期面延長に結びついていない, そこで, われわれは手術により腫瘍量を減少させた上で, 適応抗癌剤を手貨与すれば症例の生存期面の延長が図れるのではないかとの仮説をたて, 補助化学療法選択における抗癌剤感受性試験の有用性を明らかにした。また, 少量の検体を用いた5-fluorouracil (5-FU) 感受性の子測を口的とし, 胃癌臨床検体を対象として, 5-FU感受性とdihydropyrimidine dehydrogenase equilibrative NBMPR-sensitive nucleoside transporter mRNAの関係を検討し, 分解酵素および膜輸送蛋白をコードするmRNAが高値であると5-FU感受性が低下することを示した。現行の抗癌剤感受性試験は培養した癌細胞に抗癌剤をどっぷりつけ, その生き死にをなんらかの方法で判定するどちらかといえばprimitiveな試験方法である, 。しかしながら, そのぶん臨床に密着しており, 少なくとも臨床的に無効な薬剤の除外が可能である。また, 耐性機構の不明な新規抗癌剤についても, 臨床における薬物動態が判明した時点から応用できる利点がある。抗癌剤感受性試験の精度は, 現在広く臨床に応用されている抗菌薬感受性試験や乳癌におけるホルモンレセプター・アッセイとほぼ同程度である。抗癌剤感受性試験により感受性を有する集団を特定できれば, 既存の抗癌剤を用いたよりよい“Tailor-madetherapy”が可能になると考えられる。
  • 永沢 善三, 草場 耕二, 田島 裕, 只野 壽太郎, 青木 洋介, 永山 在明
    2001 年 49 巻 11 号 p. 633-641
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1998~2000年度のvancomycin (VCM), teicoplanin (TEIC) およびarbekacin (ABK) の臨床材料山来のブドウ球菌属に対する薬剤感受性の年次的推移を検討した。その結果, VCMは1998と1999年度の入院患者山来Staphylococcus epidermidisでMIC: 8μg/mL各1株, 2000年度のmethicillinresistant Staphylococcus aureus (MRSA) でMIC: 4μg/mLがはじめて2株検出された。TEICではMIC:≧16μg/mLの菌株はcoagulase-negative Staphylococcus spp.(CNS) で認められ, その大部分はS.epidermidisであり, 1998年度は12株, 1999年度は18株であった。ABKではMIC:≧16μg/mLの菌株は1998年度3株, 1999年度7株, 2000年度13株であり, その多くはMRSAで認められた. なお, 臨床材料からのブドウ球菌属の検出率は3年度間ともに約25%であった。また, ブドウ球菌属の内訳はMRSAがもっとも多く約40%, methicillin-susceptible S.aureus (MSSA) は約30%, S. epiolermidisは約20%を占めた。
  • 堀田 裕, 松川 雅則, 国島 康晴, 西山 直隆, 清水 俊明, 高橋 聡, 塚本 泰司
    2001 年 49 巻 11 号 p. 642-644
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    超音波ガイド下系統的経直腸的前立腺針生検施行時の予防抗菌薬を生検前の11静脈注射した症例 (単回投与群) と, 生検前後の2回静脈注射した症例 (1日投与群) についてそれぞれの合併症発生率を比較, 検討した。対象は103例で52例は単回投与群, 残り51例は1日投与群であった。術後合併症は単回投与群3例 (5.8%), 1日投与群3例 (5.9%) で認められた。そのうち有熱性尿路感染症1よそれぞれ1例 (1.9%) と1例 (2.0%) で, 単回投与群と1日投与群で合併症の発生頻度に差は認められなかった。超音波ガイド下経直腸的前立腺生検における予防抗菌薬投与は生検前の1回で十分であると思われる。
  • 戸枝 弘之, 花谷 勇治, 宜保 淳一, 藤田 正信, 小平 進, 沖永 功太, 川上 小夜子
    2001 年 49 巻 11 号 p. 645-648
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    最近10年間に当科で施行した消化器外科手術1, 843例 (男性1, 115, 女性728) を対象に, 術後感染症発生率およびMRSA検出率における性差を検討した。全体では1, 843例中608例 (33.0%) に術後感染症が発生し, 127例 (6.9%) からMRSAが検出された。汚染手術症例, 高齢者, 悪性疾患および男性の術後感染症発生率 (50.4%, 42.3%, 37.7%, 35.7%) は準無菌手術例, 若年者, 良性疾患および女性のそれ (31.7%, 29.6%, 27.3%, 28.8%) に比べ有意に高率であった。また, 汚染手術例, 高齢者, 悪性疾患および男性のMRSA検出率 (14.0%, 10.5%, 8.6%, 9.5%) は, 準無菌手術例, 若年者, 良性疾患および女性のそれ (6.4%, 5.6%, 4.8%, 2.9%) に比べ有意に高率であった。併存症の有無により術後感染症発生率およびMRSA検出率には有意差を認めなかった。臨床的背景因子別に検討した結果, 準無菌千術例, 高齢者, 良性疾患のサブグループでは, 男性は女性に比べ術後感染症発生率が有意に高率であった。併存症に関しては, その有無にかかわらず, 男性は女性に比べ術後感染症発生率が有意に高率であった。準無菌手術例, 併存症非保有例のサブグループでは, 男性は女性に比べMRSA検川率が有意に高率であった。年齢, 基礎疾患に関しては, その高低, 良悪性にかかわらず, 男性は女性に比べMRSA検出率が有意に高率であった。以上より, 性別は手術汚染度, 年齢, 基礎疾患の良・悪性別とともに, 術後感染症の発生ならびにMRSA検出に対するリスクファクターになり得ると考えられた。
  • 佐野 啓介, 佐藤 勝昌, 冨岡 治明
    2001 年 49 巻 11 号 p. 649-652
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    7HSF液体培地車での培養結核菌Kurono株およびMycobacterium avium N-444株に対するrifalazil (旧名: KRM-1648), clarithromycin (CAM) およびlevofloxacin (LVFX) の抗菌作用の発現パターンについて検討した, 供試菌を浮遊させた7HSF培地 (200μL) に上記薬剤を最終濃度がヒトでのCmax相当濃度となるように加え, 37℃で10日間にわたって培養し, 経時的に供試菌の生残菌数 (CFU) を計測したところ, 結核菌に対しては, rifalazilとLVFXとが強い抗菌力を示し, 培養3~5日で生残菌数は検出限界以下になった。またCAMの場合は, 5日日までの緩徐な殺菌作用がみられたものの, その後のphaseでは菌の再増殖が認められた。次に, M. aviumの場合, 培養3日目まではrifalazilにより速やかに殺菌されたが, その後は再増殖に転じた。他方, CAMやLVFXにはM. aviumに対する増殖阻害作川が認められたに過ぎず, M. aviumのこれら薬剤に対する感受性の低さが浮き彫りにされた。
  • 小林 芳夫, 内田 博, 上遠野 保裕
    2001 年 49 巻 11 号 p. 653-658
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1999年1~6月に慶応義塾大学車央臨床検査部にて血液培養検体から分離・同定した197株を対象とし, meropenem (MEPM)の抗菌力を対照薬剤とともに測定した。さらに, 前回同様に調査した1997年10月~1998年3月の分離株での成績と比較してMEPMに対する血液山来の臨床分離株の感受性の動向を検討し, 以下の結果を得た。
    1. MEPMを含むカルバペネム系薬は, グラム陽性菌のうち, 本来抗菌活性を期待できないmethicillinesistant Staphylococcus aureusなどのブドウ球菌の多剤耐性株に対する抗菌力は不十分であったが, その他の菌株に対してはおおむね良好な抗菌力を示した。
    2. グラム陰性菌に対しては, MEPMはimipenem (IPM) およびpanipenem (PAPM) に比べ優れた抗菌力を示した。またPseudomonas aeruginosaにおいて, IPM, PAPMでMICが16μg/mL以上の株が認められたが, MEPMでは認められなかった。
    3. 前回調査時の成績と比較してMIC50, MIC90いずれについても2管以上上昇した菌種はなく, MEPMの臨床分離株に対する抗菌力に顕著な耐性化の傾向は認められなかった。
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