日本化学療法学会雑誌
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49 巻 , 7 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 佐藤 淳子, 中澤 靖, 堀 誠治, 柴 孝也, 川村 将弘
    2001 年 49 巻 7 号 p. 421-424
    発行日: 2001/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    近年, 抗微生物薬が抗微生物活性以外の作用を有する可能性が示されつつあり, 注目されている。抗結核薬のひとつであるrifampicin (RFP) が, グルココルチコイド (GC) 受容体と結合し, 抗炎症作用を発揮する可能性が報告されている。そこで, われわれは, RFP, isoniazid (INH) をはじめとする抗結核薬の内因性GC (corticosterone, CCS) におよぼす影響をマウスを用いて検討し, これら薬物の生体反応調節作用の可能性について検討した。RFPは, 投与量依存的に血清CCSレベルを上昇させた。INH, L-cycloserineでも血清CCSレベルの上昇が認められたが, その程度は, RFPにくらべ弱いものであった。一方, D-cycloserine, pyrazinamideでは, CCS上昇作用は認められなかった。これらの成績より, RFPは, 内因性GCを上昇させることにより, 生体反応を調節する可能性が示された。
  • 司会の言葉
    小野寺 昭一, 山口 恵三
    2001 年 49 巻 7 号 p. 425-426
    発行日: 2001/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 新しい耐性菌も含めて
    平潟 洋一, 松田 淳一, 餅田 親子, 中野 路子, 平山 三国, 伊折 文秋, 青木 志保, 上平 憲, 柳原 克紀, 宮崎 義継, 朝 ...
    2001 年 49 巻 7 号 p. 427-432
    発行日: 2001/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1984年以降に長崎大学医学部附属病院検査部で分離された尿路分離菌について検討を行った。尿路検体からの主な分離菌は, グラム陽性菌ではEnterococcus属がもっとも多く, Staphylococcus aureusがこれに次いでいた, グラム陰性菌ではEscherichia coliと, Pseudomonas aeruginosaが2大分離菌であった。経年的な分離菌の変化では, この数年軽度ではあるが, S. aureus, Enterococcus属, P. aeruginosaの分離頻度が上昇していた。これらはいずれも多剤耐性傾向を示す細菌であり, 今後も相対的分離頻度の上昇, あるいは絶対的な分離株数の増加が考えられる。主要な尿からの分離菌についての耐性化傾向について検討した結果, グラム陰性桿菌では, 感性化する傾向を示す組み合わせも見られたが, 菌種により一定ではなかった。Vancomycin-resistant enterococci (VRE) はVanCタイプを除き分離されなかった。カルバペネマーゼ産生菌ではP. aeruginosaがもっとも多かったが, 抗菌薬投与後に除菌が確認された例の大部分は尿路からの分離例であった。イヌの腎細胞であるMDCK細胞に付着したP. aeruginosaに対する2時間での短時間殺菌の検討では, gentamicinと異なりceftazidime, meropenemはまったく殺菌性を呈しなかった。
  • 清田 浩, 小野寺 昭一, 大石 幸彦, 和田 高士
    2001 年 49 巻 7 号 p. 433-439
    発行日: 2001/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    超高齢者の尿路感染症における抗菌薬の適正使用法を明らかにする目的で, 85歳以上の超高齢者の尿路感染症がより若年者の尿路感染症と比べて病態そして抗菌化学療法に対する有効性と安全性について異なるかどうかを以下の2項目について調査した。(1) 2001年1月から3月に泌尿器科外来を受診した85歳以上の超高齢者80例 (男性69例, 女性11例, 平均87歳) について細菌尿の頻度を調査した。細菌尿はさらに症候性尿路感染症, 無症候性尿路感染症, 定着の3種類に分類し, 同時期に当院健康管理センターの人間ドックを受診した849例を対照に比較検討した。その結果, 男性では無症候性尿路感染症の頻度が加齢とともに増加する傾向を認めたが, 女性ではその傾向はなかった。男性4例に症候性の複雑性尿路感染症が, 女性2例に急性単純性膀胱炎があったが, いずれも抗菌化学療法が有効であった。(2) 超高齢者における抗菌薬の副作用発現頻度を明らかにする目的で, tosufloxacin tosilate (TFLX) およびimipenem/cilastatin (IPM/CS) の1987年-1996年に行われた使用成績調査における年齢別投与量投与期間と副作用発現頻度について検討した。その結果, 超高齢者の多くに対し各抗菌薬は常用量が投与されていたにもかかわらず, 副作用の発現頻度は若年者と同様に低頻度で, その臨床効果も著しく低くはなかった。以上より, 超高齢者の尿路感染症に対しても若年者と同様に常用量の抗菌薬を投与することによって安全に, しかも良好な治療効果を得ることが期待できると考えられた。
  • 津川 昌也, 門田 晃一, 二ノ宮 祐子, 安東 栄一, 公文 裕巳
    2001 年 49 巻 7 号 p. 440-445
    発行日: 2001/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    われわれの教室ではこれまでに腎排泄型抗菌薬であるβ-ラクタム系抗菌薬, アミノ配糖体薬, ポリペプチド系薬を中心に腎機能障害患者における体内動態を具体的に検討してきた。腎機能障害の程度は24時間クレアチニン・クリアランス (Ccr) を基準に, 正常 (Ccr≧70mL/分), 軽度障害 (70>Ccr≧50mL/分), 中等度障害 (50>Ccr≧30mL/分), 高度障害 (Ccr<30mL/分) に分け, 単回投与ならびに連続投与による体内動態を検討した。その結果, β相の消失速度定数βとCcrの間には有意な相関関係が認められ, 腎排泄型抗菌薬全般に対するCcr値にもとつく投与設計が可能となった。すなわち, Ccr70mL/分以上の場合は通常投与, Ccr 50mL/分の場合は1回投与量を1/2, ないし投与間隔を2倍, さらにCcr 30mL/分の場合は1回投与量を1/3, ないし投与間隔を3倍にすることをめやすとして投与設計を行えば大きな問題はない。なお, vancomycinおよびアミノ配糖体に関しても, 原則的にはほぼ同様に考えて投与設計を行ってよいが, これらの薬剤は安全域が狭いため, 適宜血中濃度モニタリングを併用して補正していくことが副作用防止とともに治療効果の確保にも重要である。一方, 抗菌薬による肝障害にはアレルギー反応が関与することが多いため, 発生正時には, 原則として化学構造式の異なる薬剤を選択すること, ならびに肝機能障害患者では肝排泄率の高い薬剤の使用を避けることが肝要である。
  • 予防的抗菌薬の適応
    杉多 良文, 谷風 三郎, 荒川 創一, 守殿 貞夫
    2001 年 49 巻 7 号 p. 446-448
    発行日: 2001/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    小児尿路感染症の多くは尿路奇形に合併するものである。従来では尿路感染症の精査により発見される尿路奇形が多かったが, 胎児超音波検査の普及により, 尿路奇形が胎児期に発見されるようになり, 出生直後から尿路感染症の手防や手術適応などを含めた泌尿器科的管理が必要になる機会が増加している。特に閉塞性尿路疾患である腎, 乱尿管移行部狭窄症や尿管膀胱移行部狭窄症に対して, 保存的治療を選択した場合予防的抗菌薬の投与が必要なのか, また投与をいつまで続けるのか論議のあるところである。当院では出生前診断の腎孟尿管移行部狭窄症68例中9例 (13%) に, 尿管膀胱移行部狭窄症14例中6例 (43%) に出生後に尿路感染症を認めたことから, 尿管膀胱移行部狭窄症に関しては手防的抗菌薬の投与を行っている。また, 1997年にAmerican Urological Associationは膀胱尿管逆流症の治療のガイドラインを発表したが, このガイドラインによると保存的治療を選択した場合, 予防的抗菌薬の投与が中心となる。近年, この予防的抗菌薬の種類・期間などに関して新たな検討が行われるようになってきた。今回出生前診断された閉塞性尿路疾患と尿路感染症の発症などにつき報告するとともに, 小児尿路感染症の抗菌薬の適正使用に関して文献的考察を加えたので報告する。
  • 三鴨 廣繁, 玉舎 輝彦
    2001 年 49 巻 7 号 p. 449-453
    発行日: 2001/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    産婦人科領域においても尿路感染症の占める割合は高い。主として外来患者で見られる急性期の感染症は, 経口ペニシリン, 経口セフェム, あるいはニューキノロン薬で容易に治癒するものが多い。しかしながら, 産婦人科領域では, 妊娠および授乳中といった周産期, 閉経後女性などのホルモン環境などに特徴がある。産婦人科領域においても, 尿路感染症の主な原因菌はEscherichia coliなどの好気性グラム陰性桿菌である。女性の尿路感染症は, 性器感染症の場合と同様, ほとんどが上行性感染であることからも, 細菌性腟症と深い関係があり, 腟内細菌叢を知ることが重要であることが理解できる。また, 流・早産と感染症の関係が明らかにされてきており, 妊娠中の尿路感染症と流・早産についても報告がある。妊娠中および授乳中の女性におこった尿路感染症の治療にあたっての第一選択薬は, 臨床効果に安全性を考慮するとβ-ラクタム系抗菌薬になる。担癌患者の尿路感染症では, Enterococcus属, Pseudomonas aeruginosa, Enterobacter属, Citobacter属などの検出頻度が増加しているため, 治療にあたっては, これらの菌種も考慮する必要がある。閉経後の女性では, 性活動性により, 尿路感染症の発症頻度は明らかに異なる。この原因として, 閉経後女性ではエストロゲン (特にエストラジオール) の低ドにより, 腟内細菌叢が変化していることが考えられる。腟内細菌叢では, 特に, Lactobacillus属の菌量の減少が尿路感染症の発症頻度に関係している。閉経後の女性における尿路感染症の治療にあたっては, 何らかの形でホルモン補充療法を付加することが, 治癒を早め, 再発を防ぐ。Chlamydia ctrachomatisは, 近年, 若年層を中心として増加傾向にあるSTDであるが, 膀胱炎症状を主訴として来院しながら, 尿沈渣などの検査所見からは尿路感染症の診断がつかないため精査するとC. trachomatisの関与する尿道症候群であることが判明したというような症例も増加しており注意すべきである。
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