日本化学療法学会雑誌
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49 巻 , 8 号
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  • 山岸 純一, 清水 當尚
    2001 年 49 巻 8 号 p. 469-484
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    キノロン耐性は, 標的酵素であるDNAジャイレース (ジャイレース) ならびにDNAトポイソメラーゼIV (トポIV) の変異および外膜による菌体内へのキノロン透過性障壁や排出ポンプの亢進による菌体内キノロン濃度の低下によりおこることが明らかになっている。ジャイレースやトポIVのサブユニットAをコードするgyrA遺伝子あるいはparC遺伝子のキノロン耐性決定領域 (QRDR) に変異が生じると, 細菌はキノロン耐性を獲得する。大腸菌の場合, キノロン耐性変異のホットスポットは, GyrAでは83番目のセリンと87番目のアスパラギン酸であり, ParCでは80番目のセリンと84番目のグルタミン酸である。gyrAparCとの2重変異はキノロンに高度耐性を示すことが知られている。ジャイレースやトポIVのサブユニットBをコードするgyrB遺伝子あるいはparE遺伝子のキノロン耐性変異は, 臨床分離株での検出頻度は低いが, キノロン耐性メカニズムの解明のためには重要である。キノロン耐性トポIV変異の変異部位およびアミノ酸変異の種類は, ジャイレース変異の場合と類似していることより, トポIVのキノロン耐性メカニズムはジャイレースと類似していると思われる。キノロンの2種類の標的酵素のうち, より感受性のよい酵素が菌の感受性を決定すると考えられている。キノロンの一次標的酵素は, グラム陽性菌ではトポIVであり, グラム陰性菌ではジャイレースである。しかし, 肺炎球菌ではスパルフロキサシンの一次標的はジャイレースである。このようにトポIVあるいはジャイレースのどちらの酵素が一次標的であるかは菌種およびキノロンの種類に関連している。キノロン耐性メカニズムに関し, 排出ポンプの亢進機構は菌体内キノロン蓄積量低下の主たる原因となる。排出ポンプとして黄色ブドウ球菌ではNorAそして肺炎球菌ではPmrAが見出されている。緑膿菌では, 少なくとも4種類の異なったマルチコンポーネント型の排出ポンプシステムつまりMexAB-OprM, MexCD-OprJ, MexEF-OprNおよびMexXY-OprMが存在しており, それらの発現が多剤耐性化を引きおこすことが知られている。キノロン耐性メカニズムの研究は, 耐性菌に有効な薬の開発あるいは臨床の場での薬剤選択に役立つのみならず, 細菌の生理機能をより深く理解することにつながるものと考えられる。
  • 堀 誠治, 佐藤 淳子, 川村 将弘
    2001 年 49 巻 8 号 p. 485-488
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Erythromycin (EM) が, 慢性気道炎症性疾患の症状改善に有効であることはよく知られている。われわれは, EMが内因性glucocorticoid (GC) levelを上昇させることを明らかとし, この薬物に関連する抗炎症作用の機序のひとつとなる可能性を示してきた。呼吸器炎症性疾患治療時に, EMと去痰薬の併用は, しばしば行われている。そこで, 両薬併用時の血清GC levelにおよぼす影響をマウスを用いて検討した。去痰薬であるcarbocisteine (CMC) は, 単独で, 血清GC level上昇作用を有したが, ambroxol (AM) は血清GC levelに変化を与えなかった。一方, EMは, 投与量依存的に上昇させた。CMCの同時投与で, EMの血清GC level上昇作用は増大され, その効果は相乗的であった。AMでは, このような増大作用は認められなかった。これらの成績より, CMC併用により, EMの内因性GC level上昇作用が増大され, EMの抗炎症作用が増強される可能性が示唆された。
  • 綿貫 祐司, 小田切 繁樹, 高橋 宏, 吉池 保博, 小倉 高志, 庄司 晃, 冨岡 敏昭
    2001 年 49 巻 8 号 p. 489-495
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1998年4月1日~12月31日の9か月間に喀痰よりインフルエンザ菌が分離された呼吸器疾患患者125例のべ144検体を対象とした。インフルエンザ菌は, β-ラクタマーゼ産生株でsulbactam/ampicillin (SBT/ABPC) 耐性のβ-lactamase positive amoxillin clavulanate resistant (BLPACR: 12株) と, SBT/ABPC感受性のβ-lactamase positive amoxillin clavulanate sensitive (BLPACS: 8株), およびβ-ラクタマーゼ非産生株でABPC耐性のβ-lactamase negative ampicillin resistant (BLNAR: 13株) とABPC感受性のβ-lactamase negative ampicillin sensitive (BLNAS: 111株) の4群に分類した。BLNASのみを感受性菌 (77.1%) とし, 他の3群をβ-ラクタムー薬耐性菌 (33株, 22.9%) として患者背景・病態と耐性菌率の関係を検討した。年齢, 性別, 喫煙歴, 基礎疾患・合併症の有無, 罹患年数や, 肺の器質的変化の指標とした1秒率・PaO2と同菌の耐性化との関係は認められなかった。年間の感染発症回数が4回以上の症例では検出されたインフルエンザ菌の64%が耐性株であったが, 4回未満の症例では耐性菌率は20%に過ぎなかった。非感染時より膿性・粘膿性痰を喀出する39症例中14例36%では検出されたインフルエンザ菌はβ-ラクタム薬に耐性であったが, 非感染時に喀痰がないか粘性痰であった105症例では耐性菌率は18%であった。緑膿菌持続感染患者から検出されたインフルエンザ菌の耐性菌率は42%, インフルエンザ菌反復感染症例より検出された同菌の耐性菌率は29%であったが, 持続して検出される菌がない症例では同菌の耐性化率は19%であった。マクロライド連投の53症例では耐性菌率は32%と, 非投与症例の18%に比べ高値であったが, 過去の抗菌薬投与歴と同菌の耐性化との関係は明らかではなかった。β-ラクタム薬耐性インフルエンザ菌検出のリスクファクターとして,(1) 年間の感染発症回数が4回以上,(2) 非感染時の喀痰の性状が膿性・粘膿性痰,(3) 緑膿菌・インフルエンザ菌定着症例,(4) マクロライド連投を要する症例があげられる。
  • 波多野 孝史, 五十嵐 宏, 古田 希, 清田 浩, 岸本 幸一, 大石 幸彦
    2001 年 49 巻 8 号 p. 496-499
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    転移を伴う悪性褐色細胞腫に対し, cyclophosphamide, vincristine, dacarbazineによるCVD療法を施行した。症例は41歳女性。左後腹膜腔に発生した異所性悪性褐色細胞腫摘除術後7か月後に肝転移および頸部リンパ節転移が出現した。これに対し, 1999年10月よりCVD療法を3コース施行し, 血中ノルアドレナリンは正常化しなかったものの画像検査上転移巣の消失を認めた。治療終了から9か月後, 同部位に再発, カテコールアミンの再上昇を認めたため, 再度CVD療法を施行したが, 腫瘍縮小効果, 血中カテコールアミンの減少を認めなかった。本症例に対して, CVD療法は転移を有する悪性褐色細胞腫に対し, 初回化学療法として有効であった, しかし, CVD療法後再発例に対するCVD再治療の効果は低く, 可能であれば, 初回治療時に画像検査上病変の消失と, 腫瘍マーカーとなる血中カテコールアミンの正常化の2項目を指標とする完全寛解まで治療すべきであると考えられた。
  • 濱本 季子, 宇都宮 治, 堀田 久範, 横田 好子, 樋口 貞夫
    2001 年 49 巻 8 号 p. 500-514
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1991年から1997年の6年間にわたりcefdinir (CFDN, セブゾン® カプセル) の市販後調査を実施し, 1997年に再審査申請を行った。その結果CFDNの安全性, 有効性が再確認され, 1999年に再審査結果として公表された。市販後調査にご協力頂いた全国の医療機関2, 448施設から11, 352例の調査票が収集され, 安全性解析対象症例は11, 082例, 有効性解析対象症例は9, 449例で, その概要は以下のとおりである。
    1. 副作用発現率 (臨床検査値異常を含む) は1.12%(124/11, 082) で, 承認時までの発現率8.74%(230/2, 633) に比べて低かった。副作用の種類別でみた場合, AST (GOT) 上昇・ALT (GPT) 上昇などの肝臓・胆管系障害 (0.51%), 下痢などの消化管障害 (0.39%) が多く, 次いで発疹などの皮膚・皮膚付属器障害 (0.12%), Al-P上昇の代謝・栄養障害 (0.10%) であった。
    2. 有効性解析対象症例9, 449例の適応疾患別の有効率は82.5-100.0%で平均89.8%であった。また, 菌消失率はほとんどの菌種に対して90%以上であり, 有効率および菌消失率とも承認前とほぼ同等の成績であることが確認された。
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