日本化学療法学会雑誌
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50 巻 , 12 号
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  • 河野 茂, 掛屋 弘, 宮崎 義継
    2002 年 50 巻 12 号 p. 839-847
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    深在性真菌症は日和見感染症として増加傾向にあり, その治療は重要な問題である。しかし, わが国で現在臨床的に使用可能な抗真菌薬は5薬剤と限られており, 一般細菌感染症に使用される抗菌薬の作用様式が多岐におよぶことと比較しても十分であるとはいいがたい。現在市販されている深在性真菌症に対する治療薬は, アムホテリシンB (AMPH-B) やフルシトシン (5-FC), アゾール系抗真菌薬のミコナゾール (MCZ), フルコナゾール (FLCZ), イトラコナゾール (ITCZ) である。アムホテリシンBは1962年に開発されたもっとも古い抗真菌薬であるが, 抗真菌スペクトルが広く, また抗真菌活性も優れており, 免疫不全患者に発症する深在性真菌症, 特にアスペルギルス症では第一選択薬である。しかし, 腎毒性が強く十分な用量を投与できない症例があり, 臨床上使用困難なことが問題である。また, アゾール系抗真菌薬は高い安全性と良好な組織移行性を有しているものの, 耐性菌やアスペルギルス属に対する抗真菌活性は満足できるものではない。このように既存の治療薬だけではさまざまな問題があるため, 新しい抗真菌薬の開発が望まれている。キャンデイン系抗真菌薬は, 真菌の細胞壁合成酵素のひとつである1, 3-β-D-glucansynthaseを阻害する作用機序を有した新しい抗真菌薬である。現在, MK0991 (caspofungin), LY303366 (anidulafUngin), FK463 (micafungin) の3剤の臨床評価が進められており, caspofunginは2001年2月米国においてキャンデイン系抗真菌薬としては世界ではじめて承認され, anidulafunginは米国で第一相から第二相にかけた臨床開発が行われている。わが国においては, micafunginの臨床治験の成績がまとめられ, 申請され, その承認が待たれるところである。本稿では, 新規抗真菌薬としてのキャンデイン系抗真菌薬の基礎的および臨床的検討について概説し, その位置づけの一助としたい。
  • 佐野 千晶, 佐野 啓介, 佐藤 勝昌, 小笠原 圭子, 清水 利朗, 冨岡 治明
    2002 年 50 巻 12 号 p. 848-853
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ATPはヒトマクロファージ (Mφ) にP2レセプターを介して作用し, Mφのアポトーシスを誘導するが, このアポトーシスに連動してMφに感染した結核菌やBCG菌の殺菌作用が認められることが報告されている。今回は, Mycobacterium avium complex (MAC) 感染Mφについても同様な現象が認められるか否かについての検討を試みた。その結果,(1) Mφに結核菌を感染させATPを作用させた場合, ATP濃度依存的にMφ内局在結核菌の増殖阻害作用が認められること,(2) MAC感染MφにATP (0.15~6mM) を作用させた場合のATPによるMφ内局在菌の増殖阻害作用は結核菌の場合 (ATP3~5mM) に比べては著しく弱いこと,(3) MAC感染マウスにATPを1日1回, 週5回宛40mg/kgdoseで投与した場合, 感染早期の肺でのMAC菌の増殖が有意に抑制されるが, その後のphaseでの菌の再増殖は抑制されないこと,(4) 感染マウスの脾でのMAC菌増殖に対してはATP投与による影響は認められないことが明らかになった。以上の成績より, ATPによるMφ殺菌能のup-regulationという現象は菌種特異的なものであり, MAC菌に対するMφの抗菌活性のATP処理による増強の程度は, 結核菌の場合に比べてはかなり低いものと考えられる。他方, 感染早期のみに限局した現象ではあるものの, MAC感染マウス肺での感染菌の増殖動態を指標とした場合にはATPによる一過性の治療効果が認められており, ATPにはMAC感染症治療への応用がある程度は期待できるもののように思われる。
  • 宇野 芳史
    2002 年 50 巻 12 号 p. 854-869
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1998年1月から2000年12月までに当院を受診した15歳以下の小児急性中耳炎の鼓膜切開液および耳漏から検出されたStreptococcus pneumoniaeの年次ごとの耐性化および薬剤感受性の年次変化を検討するとともに, penicillin系抗菌薬とcephem系抗菌薬のいずれの耐性化の進行が大きいかを検討した。今回の検討中にS.pneumoniaeは710株検出され, また, 年ごとの検出数にはあまり変化がなかった。内訳はペニシリン感受性肺炎球菌 (penicillin-susceptible S. pneumoniae: 以下PSSP) は245株 (34.5%), ペニシリン中等度耐性肺炎球菌 (penicillin-intermediate resistant S.pneumoniae: 以下PISP) は336株 (47.3%), ペニシリン耐性肺炎球菌 (penicillin.resistant S.pneumoniae: 以下PRSP) は129株 (18.2%) であり, その内訳にもあまり変動を認めなかった。薬剤感受性の変化については, 感受性が低下する傾向がある抗菌薬と改善する抗菌薬があったが, 一般的にはいままで感受性が良好であった抗菌薬の感受性が低下する傾向が認められた。また, 各薬剤の感受性をMIC90で比較してみると, 検出菌全体で見てみると1.0μg/mL以下であったのはcefditoren (CDTR) とlevofloxacin (LVFX) のみであり, 2.0μg/mLであったものがbenzylpenicillin (PCG), ampicillin, cefpodoximeであった。他の抗菌薬は4.0μg/mL以上であり, 経口抗菌薬としてはかなり耐性化を示していた。PSSP, PISP, PRSPごとに検討してみると, PSSPにおいては, cefaclor, cefdinir, erythromycin, clindamycin, minocycline以外は良好な感受性を示していた。しかし, PISPとPRSPでは, CDTRとLVFX以外の抗菌薬ではかなり耐性化を示していた。penicillin系抗菌薬とcephem系抗菌薬では, penicillin系抗菌薬は, PCGと同様薬剤感受性に変化は認められず, cephem系抗菌薬の一部に薬剤感受性の耐性化の傾向が認められた。しかし, いずれの系統の抗菌薬の耐性化が進行しているかは明らかではなかった。今回の検討では, S.pneumoniaeの耐性化の進行は明らかではなかったが, いままで比較的感受性が良好であるといわれていたCDTRの感受性が, PRSPのみならずPISPでも低下しており, CDTR投与で良好な結果が得られていた症例でも今後治療に難渋する可能性もあり, 投与方法および投与量に注意を要するものと考えられた。
  • Levofloxacin3日間と7日間投与の比較検討
    伊藤 康久, 出口 隆, 河田 幸道
    2002 年 50 巻 12 号 p. 870-873
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    経直腸前立腺針生検後の抗菌薬による感染予防の比較検討を行った。経直腸前立腺針生検を受けた77例のうち39例はlevofloxacin (LVFX) 100mg, 1日3回の3日間投与, 38例は同量のLVFXを7日間投与した。有熱性の尿路感染症は3日間投与群の1例のみ (2.6%) にみられたが両群の間に有意の差はみられなかった。経直腸前立腺針生検後の抗菌薬の予防投与はLVFX 100mg, 1日3回の3日間投与で十分と考えられた。
  • 窪田 博明, 堤 重子, 引田 篤, 船橋 一照, 松本 忍, 小島 彰, 久保田 幸雄, 梶浦 泰一
    2002 年 50 巻 12 号 p. 874-881
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ペネム系抗生物質製剤ファロム® ドライシロップ小児用 (faropenem, FRPM) の使用成績調査は, 1999年の発売時から2002年にわたり実施した。630施設の医療機関から3, 823例の調査表を収集し, 再来院なく安全性, 有効性ともに判定不能などの理由により不適格症例となった例を除いて安全性解析対象症例3, 612例, 有効性解析対象症例3, 422例について検討を行った。本使用成績調査では, 安全性とともに有効性について検討を行っているが, 中間報告であるため以下の重要な安全性の検討結果のみ報告する。
    1.FRPM小児用製剤の副作用発現率 (臨床検査異常値を含む) は10.19%(368例) で, 承認時の発現率8.18%(48例/587例) に比し, 高値であった。
    2.下痢などの消化管障害が9.83%(355例) と副作用発現例の大半を占めており, このうち350例が軟便, 泥状便, 水様便を含む下痢であった。他の副作用は発疹などの皮膚・皮膚付属器障害0.42%(15例) などであった。
    3.ほとんどの下痢は軽微であり, 本剤の中止などにより回復した。下痢は, その多くが投与開始後3日以内に発現し, 乳幼児で発現率が高く使用に際しては注意が必要と考えられた。
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