日本化学療法学会雑誌
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50 巻 , 1 号
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  • 生方 公子, 千葉 菜穂子, 小林 玲子, 長谷川 恵子, 日暮 芳巳, 岩井 友美, 奥住 捷子, 紺野 昌俊
    2002 年 50 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2002/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    2001年に分離された緑膿菌に対するbiapenem (BIPM), meropenem (MEPM), imipenem (IPM), およびpanipenem (PAPM) のカルバペネム系薬4薬剤を含む計10薬剤の抗菌力を寒天平板希釈法によって測定した。カルバペネム系薬のMIC50とMIC90は, それぞれ次のようであった。BIPMは1μg/mLと16μg/mL, MEPMは0.5μg/mLと8μg/mL, IPMは2μg/mLと32μg/mL, PAPMは8μg/mLと32μg/mLであった。BIPMの感受性はIPMとの間で他薬剤よりも高い相関が認められた (γ=0.9218)。臨床分離の緑膿菌6株に対するMIC以上におけるBIPMの殺菌効果は, MEPMおよびceftazidime (CAZ) のそれよりも優れ, またその殺菌作用は10%の新鮮ヒト血清添加によってさらに増強された。緑膿菌#8株をBIPMのMIC (1μg/mL) で2時間処理した際のPAE効果は, 10%のヒト血清を添加したBIPMでのみ認められた。緑膿菌#8株からのPBPsに対する3薬剤の結合親和性は, [3H] benzylpenicillinを川いて解析され, MICにおける結果は次のようであった。BIPMはPBP4 (100%)>>PBP1A/1B (73.9%)>PBP 3 (69.0%)>PBP2 (61.2%); MEPMはPBP 3 (92.5%)>PBP4 (87.1%)>>PBP1A/1B (60.0%)>PBP2 (58.9%); CAZはPBP 3 (100%)>PBP 1A/1B (96.0%)>>PBP2 (51.4%)=PBP4 (51.2%) の順であった。PBPsに対する親和性の特徴はこれら3薬剤を緑膿菌に作川させた後の形態変化ともよく下一致していた。BIPMのMIC以上に晒された後の細胞は桿菌からスフェロプラストあるいはバルジ形成への形態変化を生じ, しかも細胞表面に強い損傷が認められた、。溶菌は10%のヒト新鮮血清を添加すると有意に増強された。MEPMに晒された際にはバルジ形成を伴うフィラメント細胞, およびCAZではフィラメント細胞のみの形態変化がそれぞれ観察された。両薬剤によって処理された細胞は, 細胞表面の損傷はほとんど観察されなかった。BIPMのMIC以上において短時間で生ずる強い殺菌作用は, PBP4に対する高い親和性と, MICよりも低い濃度からのPBP1A/1B, PBP3, PBP2に対する高い親和性によってもたらされるものと推測された。
  • 金子 明寛, 中戸川 倫子, 森 裕介, 佐々木 次郎, 松崎 薫, 金山 明子, 小林 寅哲
    2002 年 50 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2002/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    歯性感染症の主要分離菌であるoral streptococci 140株に対するtelithromycin (TEL), azithromycin (AZM), clarithromycin (CAM), roxithromycin (RXM), levofloxacin (LVFX), ampicillin (ABPC) およびerythromycin (EM) の抗菌力を測定すると共に, 実験的に誘導して得られたマクロライド高度耐性株に対するケトライド系抗菌薬TELの抗菌力を検討した。また, EM耐性株についてerm遺伝子およびmef遺伝子について検討を行った。14員環および15員環マクロライドの4薬剤はいずれもビリダンスグループのStreptococcus mitisでMIC90が高く, その値は1~8μg/mLであったが, TELのMICは0.5μg/mL以下ですべての菌の発育を阻止し, 他のマクロライド薬と交叉耐性を認めず, ABPCおよびLVFXを含めた試験薬剤のなかでもっとも優れた抗菌力を示した。CAM耐性誘導試験の結果Streptcoccus intermediusは誘導の前後変化が認められなかった。S.mitisは耐性誘導後CAMのIC値が16倍に上昇した。Streptcoccus oralis 2株では耐性誘導後CAMのMIC値が16および256倍に上昇した。TELのMICはCAMの耐性誘導株に対しても0.03μg/mLから0.12μg/mLと軽度の上昇にとどまった。ermB遺伝子, mefA遺伝子保有株においてもTELは14および15員環マクロライド系抗菌薬と交叉耐性を示さなかった。
  • Prevotella nigrescens TO 167由来carbapenemase遺伝子の解析をもとに
    中辻 智子
    2002 年 50 巻 1 号 p. 16-24
    発行日: 2002/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    歯性感染症より分離した嫌気性グラム陰性桿菌Prevotella nigrescens (Pn) TO 167 (imipenem: MIC>32μg/mL) のcarbapenemaseのクローニングと口腔由来Prevotella属におけるβ-lactamase遺伝子の分布について検索した。Carbapenemase遺伝子はblaIMPを用いてPCRを行い, 得られたPCR産物をEscherichia coli DH 5αでクローニングした結果1, 493bpのDNAであった。このDNAの塩基配列を決定し, すでに報告されているblaIMPを含め13種グラム陰性桿菌β-lactamase遺伝子の塩基配列との問で相同性を検索したところ, 42.9~50.4%であった。口腔から分離されたβ-lactamase産生Preuotella7種81株 (4種29株はimipenem: MIC≧8μg/mLで耐性株および7種52株のimipenem感受性株) についてβ-lactamase遺伝子の分布を15種のPCRプライマーを用いて検討した。PCRプライマーはPn TO 167 carbapenemase遺伝子より設計した2種を含むcarbapenemase遺伝子用PCRフoライマー5種とこれ以外のβ-lactamase遺伝子用PCRプライマー10種を用いた。その結果Prevotella intermediaはclass AのKp CAZ, class CのKo ampCAおよびclass DのAb OXA 21, Preuotella nigrescensKp CAZとAb OXA 21およびPreuotella loescheiiKo amp CAのβ-lactamase遺伝子をそれぞれ保有していた。Imipenem耐性菌からはβ-lactamase遺伝子は検出されなかった。以上の事実は, クローニングされたPn TO 167 carbapenemase遺伝子はすでに報告されているグラム陰性桿菌のβ-lactamase遺伝子とは異なることが示唆された。また, Preuotella属にはKlebsiella属やAcimtobacter属のβ-lactamase遺伝子に類似した遺伝子が保有されているがcarbapenemase遺伝子は, 既知のものとは異なり多様であることを示唆している。
  • 荒木 春美, 西田 亨子, 大懸 直子, 南 新三郎
    2002 年 50 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2002/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床分離セフェム耐性 (cefaclor (CCL) MIC≧12.5μg/mL) Escherichia coliに対するcefteram pivoxil (CFTM-PI) のin vitroおよびin vivo抗菌活性を他の経口抗菌薬と比較した。セフェム耐性E.coli37株に対するcefteram (CFTM;CFTM-PIの活性体) のMIC90は3.13μg/mLで, cefditoren (CDTR;6.25μg/mL), cefpodoxime (CPDX;25μg/mL), cefdinir (CFDN;25μg/mL), cefixime (CFIX;50μg/mL), amoxicillin (AMPC;>100μg/mL), CCL (>100μg/mL) より小さくニューキノロン薬のnorfloxacin (NFLX;3.13μg/mL) と同程度であった。セフェム感受性E.coli25株に対する各薬剤のMIC90は, CDTR (0.2μ;g/mL)<CFIX (0.39μg/mL)<CFTM (0.78μg/mL)<CPDX (3.13μg/mL), CFDN (3.13μg/mL), CCL (3.13μg/mL), AMPC (3.13μg/mL) の順であり, セフェム耐性株と感受性株のMIC90の差はCFTMにおいてもっとも小さかった。セフェム耐性E.coli 37株はいずれもCCL分解活性を有していたが, CCL以外のセフェム薬に対する分解活性は検出されなかった。また, セフェム耐性E.coli TK-776株によるマウス尿路感染モデルに対するCFTM-PIの治療効果は, そのMICをほぼ反映してcefditoren pivoxil, CFDN, CCL, CFIXよりも強かった。
  • 斎藤 厚, 大塚 真奈美, 小林 一雄, 大坪 一之
    2002 年 50 巻 1 号 p. 29-46
    発行日: 2002/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    細菌感染症に対するβ-lactam系薬による治療無効例の要因の主なものとして起炎菌が産生するβ-lactamaseによるものが考えられる。Cefepime (CFPM, 注射用マキシピーム ®) はこのβ-lactamaseにきわめて安定であるので, β-lactam系薬治療無効例に対しても高い臨床効果が期待できることから, 今回特別調査を実施した。全収集症例563例のうち423例を解析対象症例として臨床効果を検討した。全体の有効率は68.6%であり, 前治療薬剤種類別にみるとペニシリン系注射剤無効例に対して74.0%, セフェム系注射剤無効例に対して65.9%の高い有効率が得られた。細菌学的効果では適応菌種全体において82.3%の高い菌消失率が得られ, 緑膿菌を含むシュードモナス属でも72.4%の菌消失率が得られた。検出菌のβ-lactamase産生の有無と菌消失率の関連を検討したが, 両者に明らかな差を見出し得なかった。また, 臨床効果でもβ-lactamase陽性例における有効率 (72.7%) とβ-lactamase陰性例の有効率 (80.9%) の間には有意差はみられなかった。前治療薬として使用されたペニシリン系注射剤はいずれもβ-lactamaseに不安定な薬剤であり, これらによる治療群で検出菌がβ-lactamase陽性であった症例に対する有効率は88.9%と高い有効率が得られた。しかし, ペニシリン系薬剤無効例でβ-lactamase陰性の症例に対するCFPMの有効率は100%とさらに高い有効率が得られ, 検出菌のβ-lactamase産生の有無と有効率の間に差は見出し得なかった。同様に前治療薬がセフェム系注射剤であったものも検討したが, 検出菌のβ-lactamase産生の有無による有効率に差異は見出し得なかった。以上より, β-lactam系薬による前治療無効例のうち, 検出菌のβ-lactamase産生菌に対しても非産生菌に対する有効率とほぼ同等の有効率が得られたことは, 本剤がβ-lactamaseにきわめて安定であるということを支持する結果と解釈することができた。また, 本剤発売6年を経た現在, 本剤開発時 (1990年) の他剤 (β-lactam系薬) 無効例に対する本剤の有効率 (全体: 62.5%, ペニシリン系: 40.0%, セフェム系: 68.4%) と比較しても同等以上の有効率が得られたことは, 臨床的に本剤に対する耐性菌の明らかな増加はみられないと推定することができる。
  • 二木 芳人
    2002 年 50 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 2002/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    日本と英国を中心とするヨーロッパ各国の感染症研究者および抗菌薬開発担当者を対象とした情報交換と親睦の場として, 去る6月7日~9日にかけて英国のEdinburghで第1回日英合同化学療法会議が開催された。本会議の今後の発展に資するべく, 本稿ではそのあらましをレポートする。議題として取り上げられたのは慢性呼吸器疾患, なかでもびまん性汎細気管支炎, 慢性気管支炎, 気管支拡張症, 肺炎, 結核などで, その疫学, 薬剤耐性, 臨床試験の現状, ガイドラインの諸相をめぐって最新の知見の報告がなされ, 活発な議論が展開された。誌面の都合上, 各演題の内容報告は簡潔なものとならざるをえなかったが, 本会議の全貌の一端でも伝えられることができれば幸いである。
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