日本化学療法学会雑誌
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50 巻 , 10 号
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  • リネゾリドを中心に
    柳原 克紀, 河野 茂
    2002 年 50 巻 10 号 p. 633-639
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Linezolid (LZD) は米国ファルマシア・アップジョン社で合成されたoxazolidinone骨格を有する薬剤であり, 30年ぶりに新しい分類に属する抗菌薬として開発されている。LZDは50SサブユニットのドメインVに特異的に結合することにより, 50Sリボゾーム, 30Sリボゾーム, m-RNAおよびf-Met-t-RNAからなる開始複合体の形成を阻害する。その結果, 既存の抗菌薬と異なり, 蛋白合成の開始を抑制することにより抗菌力を発揮する。LZDは, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA), バンコマイシン耐性腸球菌 (VRE) およびペニシリン耐性肺炎球菌 (PRSP) といった多剤耐性菌に対しても良好な抗菌力を発揮するため, 新規の抗菌薬としておおいに期待されている。2002年6月現在, 米国をはじめ多くの国々において承認されている。わが国においてはVRE感染症のみの適応で2001年3月に承認され, 現在MRSA感染症に対する臨床試験が進行中である。
  • 柴 孝也, 加治木 章, 原田 泰子, 原田 進, 高本 正祇, 宮崎 三弘, 小山 優, 山田 陽介, 千田 守, 山本 俊信, 鈴木 幹 ...
    2002 年 50 巻 10 号 p. 640-645
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規ペネム系経口抗菌薬faropenem sodiumの市販後臨床試験として, 入院中の患者で感染が確認された高齢者 (平均年齢78.4歳) 17例を対象にFRPM錠150mgを1回1錠, 1日3回, 4-8日間連続経口投与し, 血漿中濃度の推移ならびに安全性を検討し, 以下の結果を得た.
    1. 薬物動態パラメータ
    高齢者に本抗菌薬を投与した時の薬物動態パラメータは, Cmax 1.09±0.43μg/mL, Tmax 2.29±1.16h, T1/22.42±3.09h, AUC0-245.03±2.57μg・h/mL, 健常成人のパラメータと比較すると, Cmaxは低く, TmaxおよびT1/2は延長され, AUC0-24はやや増加する傾向を示した.
    2. 安全性
    副作用は17例中1例に投与開始7日後に軽度の下痢が発現したのみであった。本抗菌薬との関連を否定されなかった臨床検査値異常変動は, GOT・GPT上昇, GOT・GPT・ALP・BUN上昇がそれぞれ1例に認められたがいずれも軽度であった。
  • 斎藤 篤
    2002 年 50 巻 10 号 p. 646-673
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Gatifloxacin (GFLX) の内科領域感染症に対する臨床試験は1992年1月より開始され, 一般臨床試験3試験, 用量設定試験ならびに二重盲検比較試験2試験の計6試験が1998年10月まで実施され, それらの成績はすでに公表された。その後, 製造承認申請に伴う規制当局による実地調査でGCP不適合症例が指摘されたため, 申請者である治験依頼者が原資料との照合調査を実施した。その結果, 一部の症例に実施計画書違反が新たに判明したため症例の採否を再検討し, 再度の集計解析を行った。再解析の結果は以下の通りである。
    1. 一般臨床試験
    一般臨床試験における疾患別有効率は肺炎91.8%(78/85), 慢性気管支炎の急性増悪93.8%(61/65), 気管支拡張症 (感染時) 92.1%(35/38), 慢性呼吸器疾患の二次感染97.0%(32/33) であった.
    2.用量設定試験 (慢性気道感染症)
    L群 (100mg×2回/日), M群 (150mg×2回/日) ならびにH群 (200mg×2回/日) の投与量群別有効率はそれぞれ97.1%(33/34), 86.7%(26/30), 94.3%(33/35) であった>3群間に有意差はみられなかったが, 臨床推奨量は1回200mg, 1日2回が妥当と考えられた.
    3.二重盲検比較試験
    1) 肺炎に対するlevofloxacin (LVFX) との二重盲検比較試験の薬剤群別有効率はGFLX群98.0%(97/99), LVFX群94.9%(94/99) で, GFLX群のLVFX群に対する同等性 (非劣性) が検証された.2) 慢性気道感染症に対するLVFXとの二重盲検比較試験の薬剤群別有効率はGFLX群98.9%(91/92), LVFX群78.7%(70/89) で, GFLX群のLVFX群に対する同等性 (非劣性) が検証されるとともに両薬剤群間に有意差がみられた.
    4.喀痰への移行性の検討
    慢性気道感染症患者におけるGFLXの最高喀痰中濃度は1.45-7.11μg/mLに分布し, 喀痰/血清の濃度比は1.09-6.25であった。以上の再解析結果はすでに公表された成績と大差なく, GFLXは呼吸器感染症にとって臨床的有用性がきわめて高い薬剤と考えられた。
  • 由良 二郎, 荒田 次郎, 馬場 駿吉, 松田 静治, 大石 正夫, 佐々木 次郎
    2002 年 50 巻 10 号 p. 674-699
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Gatifloxacin (GFLX) の外科系領域感染症 (外科, 皮膚科, 耳鼻咽喉科, 産婦人科, 眼科, 歯科・口腔外科) に対する臨床試験は1993年11月から1997年2月まで実施され, それらの成績はすでに公表された。その後, 製造承認申請に伴う規制当局による実地調査でGCP不適合症例が指摘されたため, 治験依頼者は原資料との照合調査を実施した。その結果, 一部の症例に実施計画書違反が新たに判明したため, 症例の採否を再検討し再度の解析を行ったので, これらの成績全体をまとめて報告する。
    1. 体内動態
    胆嚢壁, 皮膚, 中耳粘膜, 副鼻腔粘膜, 扁桃, 耳下腺, 骨盤内性器組織, 結膜, 瞼板腺, 歯肉, 目蓋粘膜など組織中のGFLX濃度は血清中濃度の1.24~4.64倍, また, 胆汁, 皮膚滲出液, 口腔外科手術創滲出液中の濃度は1.24~9.47倍で, GFLXは良好な組織移行性を示した。
    2. 臨床効果
    各科領域感染症に対する有効率は, 外科88.3%(113/128), 皮膚科86.9%(139/160), 耳鼻咽喉科83.5%(162/194), 産婦人科93.8%(137/146), 眼科94.2%(114/121), 歯科・口腔外科90.5%(153/169) であった。
    3. 細菌学的効果
    各科領域感染症での菌陰性化率は, 外科88.9%(96/108), 皮膚科88.5%(85/96), 耳鼻咽喉科87.1%(142/163), 産婦人科87.0%(60/69), 眼科96.0%(72/75), 歯科・口腔外科99.1%(109/110) であった。各領域の起炎菌を総合的にみた菌消失率は, グラム陽性菌93.0%(572/615), グラム陰性菌94.2%(195/207), 嫌気性グラム陽性菌96.5%(223/231), 嫌気性グラム陰性菌99.5%(198/199) であった。
    4. 安全性
    各領域での副作用発現率, 臨床検査値異常発現率とも従来のフルオロキノロン系抗菌薬に比べ同程度であることが確認され, 特に重篤なものはみられなかった, 以上より, 再解析の結果はすでに公表された成績と大差は認められず, 外科系領域感染症の治療においてGFLXは有用性の高い抗菌薬と考えられた。
  • 河田 幸道, 大森 弘之
    2002 年 50 巻 10 号 p. 700-718
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    泌尿器科領域感染症に対するgatifloxacin (GFLX) の臨床試験成績はすでに公表されたが, その後製造承認申請に伴う規制当局による実地調査でGCP不適合症例が指摘されたため, 申請者である治験依頼者が原資料との照合調査を実施した, その結果, 一部の症例に実施計画書違反例が新たに判明したため症例の採否を再検討し再解析を行った。今回, これらの臨床成績全体をまとめたので報告する。
    1. 再解析の結果, すでに公表された成績と相違なく, また用量設定試験および二重盲検比較試験においても統計学的に再解析前と同様の傾向が認められた。
    2. 体内動態
    血清中および尿中へ良好な移行を示し, 前立腺組織および精巣上体組織へ血清中濃度を上回る移行を示した。前立腺圧出液へは血清中濃度とほぼ同等の移行を示した。
    3.臨床成績
    (1) 急性単純性尿路感染症
    UTI基準による有効率は, 急性単純性膀胱炎では99.1%であった。二重盲検下での1回100mg, 1日2回の3日間投与と, 7日間投与におけるUTI基準 (第4版) の治癒効果の比較ではともに治癒率は90%以上で有意差は認められなかった
    。(2) 複雑性尿路感染症
    一般臨床試験でのUTI基準による有効率は80.8%であった。用量設定試験では, 有意差はないものの1回200mg1日2回の有効率が高く, 臨床推奨量と考えられた。また, levofloxacin (LVFX) を対照薬とした二重盲検比較試験では, GFLX群の有効率は93.6%, LVFXは86.2%でGFLX群のLVFX群に対する同等性 (非劣性) が証明された。
    (3) 淋菌性・非淋菌性尿道炎
    淋菌性尿道炎で分離された淋菌36株に対するMIC90は0.063μg/mLであった。またUTI基準による有効率は100%であった。同様にクラミジア性尿道炎での14日後判定は100%であった。
    (4) 前立腺炎
    急性および慢性細菌性前立腺炎に対するUTI基準による有効率は, ともに100%であった。
    (5) 精巣上体炎
    精巣上体炎に対する担当医師判定による臨床効果は, 8例中7例が有効以上であった。
    以上の結果よりGFLXは泌尿器科領域感染症に対し, 高い有効性が期待できる薬剤である。
  • 国井 乙彦
    2002 年 50 巻 10 号 p. 719-729
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Gatifloxacin (GFLX) の臨床試験の成績はすでに公表されているが, その後, 製造承認申請に伴う規制当局による実地調査でGCP不適合症例が指摘されたため, 治験依頼者は原資料との照合調査を実施した。その結果, 一部の症例に実施計画書違反が新たに判明したため症例の採否を再検討し, 再集計を行った。本報では, 再集計にもとづきGFLXの総投与症例2, 889例について安全性を中心に臨床成績をまとめて報告する。
    1.副作用について
    副作用評価採用例2, 727例における副作用発現率は4.5%(122/2, 727例) であった。診療科別の副作用発現率に大きな違いは認められなかった。年齢別の副作用発現率において, いずれの年齢層でも発現率に大きな違いは認められず, 特に高齢者に発現頻度が増加することはなかった。副作用の程度はいずれも軽度・中等度であり, 重篤な副作用は認められなかった。副作用としては, 消化器症状 (112件, 4.1%) が多く全症状の70%を占め, 次いで中枢・末梢神経症状 (26件, 1.0%) が多かった。主な症状は, 下痢, 嘔気, 嘔吐, 発疹, めまいで, その発現率はそれぞれ1.0%, 1.0%, 0.4%, 0.3%, 0.3%であった。従来のフルオロキノロン系抗菌薬で問題となっている光線過敏症は認められなかった。
    2.臨床検査値異常について
    臨床検査評価採用例2, 160例における臨床検査値異常発現率は6.3%(136/2, 160例) であった。主な臨床検査値異常項目は, S-GPT上昇, S-GOT上昇, 好酸球増多で, その発現率はそれぞれ2.8%, 1.9%, 1.1%であった。
    以上, 再集計の結果はすでに公表された成績と大差はみられず, 副作用発現率, 臨床検査値異常発現率とも従来のフルオロキノロン系抗菌薬に比べて同程度であり, GFLXは, 安全性において臨床上問題となるものはないと考えられた。
  • リスク因子の同定および発現頻度の推定
    柴田 義貞, 中山 和彦, 吉田 めぐみ, 瀧口 宗男, 塩貝 陽而, 黒澤 和平, 塩谷 茂, 松岡 浄, 堀田 久範, 樋口 貞夫
    2002 年 50 巻 10 号 p. 730-747
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    注射用広域抗生物質cefoselis (CFSL, ウィンセブ (R)) の中枢神経系副作用発現に関与するリスク因子の究明および発現頻度の調査を目的として, 本剤発売から緊急安全性情報を配布した目までの約3か月間に本剤が納人された4, 120施設のうち, 調査協力の得られた1, 254施設における全投与例をレトロスペクティブに調査した。収集例数は10, 641で, 推定投与例数21, 119の約半数であった。結果は以下の通りである。
    1.症例対照研究によるリスク因子の検討の結果, 透析・腎不全 (透析中であるか腎不全であること) の有無に対するMantel_Haenszel要約オッズ比は23.1 (95%信頼区間: 11.9-44.7) であり, 透析・腎不全は明らかなリスク因子であることが判明した。方, 透析・腎不全患者を除いて腎機能障害の有無をリスク因子とした場合は, Mantel-Haenszel要約オッズ比は1.5 (95%信頼区間: 0.5~5.1) で有意、ではなかった。
    2.中枢神経系副作用発現頻度は10, 174例中93例 (0.91%) であったが, 使川禁忌の「透析・腎不全」の患者を除外すると, 9, 879例中48例 (0.49%) であった。ロジスティック回帰分析によって中枢神経系副作用発現におよぼす透析・腎不全以外のリスク因子の影響を検討した結果, 腎機能障害の程度, 年齢および1日投与量が主要なリスク因子として同定された。これらを説明変数とした推定発現頻度は, 65歳未満の患者に1回1gを1日2回投与する本剤の標準的な使用では, 1腎機能障害がなければ0.05~0.18%, 腎機能障害患者の場合, 軽度障害患者では0.09~0.31%, 中等度障害患者では0.16~0.56%, 高度障害患者では0.28~1.00%であった。また, 65歳以上の高齢患者の初期川量である1回0.5gを1日2回投与した場合は, 腎機能障害がなければ0.07~0.24%, 腎機能1障害患者の場合. 軽度障害患者では0.12~0.44%, 中等度障害患者では0.22~0.78%, 高度障害患者では0.40~1.38%であった。
    3.今回の調査結果から, CFSL投与時の中枢神経系副作用発現頻度は腎機能障害の程度の高度化, 高年齢化, 投与量の増加に応じて上昇すると推測された。したがって, 腎機能の程度, 年齢を考慮してCFSLの投与量を調整する必要があると考えられた。
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