日本化学療法学会雑誌
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50 巻 , 3 号
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  • 千葉 菜穂子, 小林 玲子, 長谷川 恵子, 生方 公子, 紺野 昌俊
    2002 年 50 巻 3 号 p. 161-170
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    急性期にある呼吸器感染症, 急性中耳炎, ならびに髄膜炎由来の検査材料から分離された200株の肺炎球菌を対象としてbiapenem (BIPM), meropenem (MEPM), imipenem (IPM) およびpanipenem (PAPM) のカルバペネム系4薬剤と, ampicillin (ABPC), セフェム系薬2薬剤, およびvancomycin (VCM) の計8薬剤の感受性を寒天平板希釈法により測定した。PCR法によるPBPs遺伝子解析にもとつく被験菌の内訳は, PSSPが51株, PISPが71株, PRSPが78株であった。8r薬剤のPRSPに対するMIC50とMIC90はそれぞれ次の通りであった: ABPC (2μg/mLと4μg/mL), cefotaxime (CTX: 1μg/mLと1μg/mL), cefotiam (CTM: 4μg/mLと8μg/mL), IPM (0.125μg/mLと0.25μg/mL), PAPM (0.063μg/mLと0.125μg/mL), MEPM (0.5μg/mLと0.5μg/mL), BIPM (0.25μg/mLと0.5μg/mL), VCM (0.25μg/mLと0.5μg/mL)。2株のPRSPに8薬剤それぞれのMICを作用させた後の殺菌効果はセフェム系薬に比べカルバペネム系薬が明らかに優れていた。日本化学療法学会によって肺炎症例に対して設定されたカルバペネム系薬のブレイクポイント (1-2μg/mL) 以下の作用では4薬剤の殺菌力に差は認められなかった。BIPM, MEPMおよびCTXのMICをそれぞれ3時間作用させた後のPRSPME19株 (血清型19F) の形態変化は, 走査型電子顕微鏡下に観察した。BIPMとMEPMの作用により, 長軸方向に伸長する新たな細胞壁合成が阻害され, 分裂部位のconstrictionも阻害された膨化細胞が認められた。そして隔壁付近で物理的に引っ張られた細胞壁部分からの溶菌像が観察された。MICにおけるCTXの作用では隔壁形成は阻害されフィラメント細胞が観察された。細胞を長軸方向に伸長させる細胞壁合成はほぼ正常と思われ, 短時間での溶菌細胞はほとんど認められなかった。これらの成績から, 宿主に明らかなリスクファクターが認められない場合のPRSPによる肺炎や敗血症例に対しては, カルバペネム系4薬剤の臨床効果は同程度に期待できると推論された。
  • 三鴨 廣繁, 玉舎 輝彦
    2002 年 50 巻 3 号 p. 171-173
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    処方された薬を患者が指示された通りに服薬しているかどうかは感染症治療において重要な側面である。今回, クラミジア子宮頸管炎に罹患した女性患者における服薬コンプライアンスについて検討した。学生群, 勤労社会人群では分2, 分3投与群で飲み忘れが多くなっていたが, 主婦群では, 飲み忘れの回数がきわめて低かった。飲み忘れの時間については, 学生群, 勤労社会人群においては, 分2, 分3投与における朝食後の飲み忘れの頻度が高かった。飲み忘れの主な理由は, 学生群, 勤労社会人群においては, 朝食をとらない, 薬を持参するのを忘れたなどであった。希望投与回数については, 学生群, 勤労社会人群では, 1回のみ投与の薬を希望するものがほとんどであったが, 主婦群では, 1日2回投与が多かった。クラミジア感染症の治療においては, sexually transmitted diseasesとしての位置づけを十分説明した上で, 服薬指導を行うことが重要であると考えられる。
  • 国分 秀也, 木村 利美, 村瀬 勢津子, 佐川 賢一, 野々山 勝人, 砂川 慶介
    2002 年 50 巻 3 号 p. 174-181
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    現在, teicoplanin (TEIC) のTDM手法は確立されていない。人院中にTEICの血中濃度が測定された7例を対象とし, 投与初期のデータをもとにSawchuck-Zaske法 (Zaske法) ならびにVd外挿法 (Vd;分布容積) を用いて定常状態における血中濃度を予測し, 適切な投与設計法を検討した。採血は, 3日目の投与直前, 2時間, 6時間および次回投与直前の4点, 定常状態 (7~10日目) の投与直前で行った。Zaske法;投与直前他・2時間値および次回投与直前値, ならびに投与直前値・6時間値および次回投与直前値の3点をそれぞれ使用し, 2種類のクリアランス (CL)・Vdを算出。Vd外挿法;Vdを1L/kgに固定し, 3日目または4日目の投与一直前値の1点を使用し, CLを算出・全症例 (7例) では, Zaske法およびVd外挿法のいずれも予測値の正確性, 偏りは同等であったが, バラツキに関してはVd外挿法が優れていた。初期投与時に定常状態と同程度の濃度に達している5症例と前述の全症例を比較した場合, Zaske法による定常状態での予測値と実測値との相関はそれぞれr=0.83, r=0.67であり, 非定常状態採血1を含む全例でのZaske法による推定の悪さが示唆された。また, 2時間値を使用しZaske法で算出されたVd (0.44L/kg) と報告値 (1L/kg) との比較では2倍以上の差異が認められた。一方, CLはVd外挿法 (0.024~0.026L h kg) とZaske法 (0.018~0.022L h kg) で大きな差は見られなかったが報告値 (0.008L/h/kg) よりも大きな値であった。TEICのTDMを実施するにあたってZaske法による解析は不適切であると考えられた。今回検討した解析法では, 投与初期に推定されるパラメータの信憑性が低く, さらに精度のよい投与設計法の検討が必要であると思われた。現状では3~40目および定常状態での1点を確認することが推奨される。
  • 山田 尚, 濱田 朱美子, 南 新三郎, Hoan-Jong Lee
    2002 年 50 巻 3 号 p. 182-185
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1995~1997年に大韓民国 (韓国) 国内で分離された小児科山来肺炎球菌80株に対するbenzylpenicillin (PCG), ニューキノロン3薬, 経日セフェム3薬, minocycline (MINO) およびclarithromycin (CAM) の計9薬剤の抗菌活性を測定し, ほぼ同時期 (1996~1998年) に日本国内で分離された小児科由来肺炎球菌53株と比較した。PCGのMICが0.125μg/mL以上を示すペニシリン低感受性/耐性株の割合は, 国内株では49.1%であったが, 韓国株では日本より高く72.5%であった。経 [セフェム薬に感受性 (cefteramのMICが0.0313μg/mL以下) の株は, 韓国株に多かった。また, MINOに対する感受性は類似していたが, CAMに対する高度耐性株は韓国株に多かった〇両国株において, ニューキノロン薬に対する耐性株は認められなかった。
  • 前田 重孝, 柚須 恒, 長谷川 太郎, 和田 鉄郎, 山崎 春城, 清田 浩, 大石 幸彦
    2002 年 50 巻 3 号 p. 186-189
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    症例は, 68歳女性。右腰背部痛を主訴に近医を受診し, 右副腎腫瘤を指摘され1999年10月当科初診。1999年12月に右副腎摘出術+肝部分切除術を施行した。病理診断は, 副腎皮質腺腫であった。以後, 外来で経過観察していたが, 2000年6月に手術創に沿った皮下腫瘤が出現した。ECHO下腫瘤生検を施行し, 副腎皮質癌 (以下, 副腎癌) の局所再発と診断した。2000年8月よりmitotaneの単独投与を開始したところ, 著明な腫瘍縮小効果を認めた。副腎癌は比較的まれな疾患であるが, あらゆる年齢の男女いずれにも発生する予後不良な疾患である。現在のところ外科的治療法のみが根治を期待できる治療法とされ, 不完全切除例の予後はきわめて不良である。今回われわれは, 副腎癌の局所再発にmitotaneの単独投与が奏効した症例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する。
  • 継田 雅美, 吉川 博子
    2002 年 50 巻 3 号 p. 190-192
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Methicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA) 骨髄炎を発症し腎機能障害を有する59歳の女性に対し, TDMを実施しながらteicoplanin (TEIC) の投与を行い軽快した。症例は当初vancomycin (VCM) の全身ならびに局所投与を受けたが一時的に軽快するも再発し, 軽度の腎機能障害を併発した。骨移行性の高さと腎機能への影響が少ないことからTEICを選択し, TDMにより投与量と間隔を設定した。TEICは腎機能を低下させることなく長期投与にも耐えうる薬剤であり, TDMにより安全かつ有効に投与できる。したがってMRSA骨髄炎において選択しうる薬剤と考える。
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