日本化学療法学会雑誌
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50 巻 , 4 号
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  • 杉浦 陽子, 山田 博司, 高畑 正裕, 南 新三郎, 舘田 一博, 山口 惠三
    2002 年 50 巻 4 号 p. 203-208
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Legiomlla pmumophilaに対するtosufloxacin (TFLX) のin vitroおよびin vivo抗菌活性を検討した。臨床分離L. pneumophila (21株) に対するTFLXのMIC rangeは0.002~0.0078μg/mLで, MIC50およびMIC90値はいずれも0.0039μg/mLであり, MIC90他はrifampicin (RFP) の16倍, sparfloxacin (SPFX), gatifloxacin (GFLX) およびclarithromycin (CAM) と同値で, levofloxacin (LVFX), cipronoxacin (CPFX), moxinoxacin, azithromycin (AZM) およびerythromycin (EM) の1/4~1/64であった。また, in vitro感染によりモルモット肺胞マクロファージ内に存在するL. pmumophila ATCC 33152に対し, AZMおよびRFPは64MICでも明確な殺菌作用を示さなかったが, TFL, Xは16MICで殺菌作用を示した。L. pmumophila ATCC 33152により惹起したモルモット実験的肺炎モデルにおいて, TFLXでは1.25mg/kgおよび2.5mg/kg経口投与群のいずれも死亡例は見られなかったが, AZMの1.25mg/kgおよび2.5mg/kg経口投与群でそれぞれ80%および20%, また, RFPの1.25mg/kg経口投与群で20%のモルモットが死亡した。また, TFLX経口投与群の肺内生菌数は無治療群より有意 (p<0.05) に少なかった。なお, L. pneumophila感染モルモットにおけるTFLXの肺内濃度曲線下面積 (AUC) はRFPと同程度で, AZMより小さかった。
  • 永沢 善三, 草場 耕二, 一世 靖子, 小林 とも子, 相本 秀臣, 有馬 純徳, 増永 晴子, 永山 在明
    2002 年 50 巻 4 号 p. 209-214
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Vancomycin-resistant enterococci (VRE) は米国において治療への難治性から重症院内感染症の原因上菌として注目され, その増加は社会的に問題化している。一方, ヨーロッパ地域では院内感染によるVREの検出率は米国に比べ低いが, 家畜などにvanA遺伝上子群を保有する大きな感染源の存在が指摘されている。日本では1996年に東京, 京都でVREがはじめて分離され, その増加が懸念されていたが, VREの分離例に関する報告は現在においても少ない。そこで, 北部九州地域でVREの分離例について調査した結果, 4施設9名の患者よりEnterococcus faecalis vanA 2株, E. faecalis vanB 3株, Enterococcus faecium vanA 4株, E. faecium vanB 1株の合計10株を分離した。また, 本症例菌株とEnterococcus gallinarumおよびEnterococcus casselifzavusの21株を対象にvancomycin, teicoplanin, rifampicin, ampicillin, linezolidに対する抗菌力を寒天平板希釈法で検討した結果, わが国で唯一VRE感染症に適応をもつlinezolidはvanA, oanB, vanC-1, vanC-2/3のいずれかを保有する菌株すべてに対しMICは≦2μg/mLであった。
  • 武内 可尚他
    2002 年 50 巻 4 号 p. 215-222
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Respiratory syncytial virus (RSV) 感染に対してハイリスクと考えられる在胎期間35週未満で月齢6か月齢未満の乳児, あるいは気管支肺異形成症 (BPD) などの慢性呼吸器疾患を有する24か月齢未満の乳幼児計31例にヒト化抗RSVモノクローナル抗体製剤であるpalivizumab (PMAB) 15mg/kgを30日に1回計2回筋肉内投与し, それぞれ30目後の血清中PMAB濃度が有効濃度と考えられる30μg/mL以上を示すか否か, および安全性について検討した。
    1. 投与30日後の平均血清中濃度は, 初回投与後で50.5±17.5μg/mL, 2回目投与後で76.8±17.6μg/mLと, 初回投与後より目標濃度とした30μg/mL以上を上回る値が得られた。また, 30μg/mL以上を示した乳幼児の割合は初回投与後で26/31例 (83.9%), 2回目投与後で30/31例 (96.8%) であった。
    2. 主な有害事象は呼吸器系9例17件, 発熱6例9件, 消化・器系4例8件, 皮膚系6例6件であった。これらの有害事象のうち, 嘔吐, 下痢で脱水症状を示した1例が入院し, 重篤と判断された。いずれも薬剤と関連性は認められなかった。なお, 鼻汁, 鼻閉を示した1例でRSVが検出されたが, この例は入院には至らず軽症に経過した。
    3. 臨床検査値の異常変動は, 尿たん白陽性化, AST上昇, AST・ALTの上昇が各1例に認められた。
    4. 抗PMAB抗体を測定した結果, いずれも陰性であった。
    以上から, 本薬は安全で早産児, 慢性呼吸器疾患を有する乳幼児のRSV感染による重篤な下気道疾患の発症を抑制することが期待される。
  • 中谷 佳弘, 内山 和久, 谷村 弘
    2002 年 50 巻 4 号 p. 223-226
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    近年, 米国はもちろんわが国においても日帰り手術 (day surgery) が, 積極的に行われるようになったが, これには組織移行性に優れた経口抗菌薬が不可欠である。Levonoxacin (LVFX) を術前に経口投与し, 手術時に採取した皮膚組織への組織内濃度を検討した。皮膚組織内濃度および血清中濃度はそれぞれ0.13~3.36μg/g, 0.05~3.46μg/mLであった。LVFXは皮膚移行性が良好で, 日帰り手術に適した経口抗菌薬であるといえる。
  • 林 典宏, 和田 鉄郎, 阿部 和宏, 波多野 孝史, 清田 浩, 大石 幸彦
    2002 年 50 巻 4 号 p. 227-231
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    表在性膀胱癌の経尿道的切除術 (transurethral resection of bladder tumor; TUR-BT) 後の膀胱腔内再発予防のためのpirarubicin (以下THP) 連続膀胱内注人療法の有用性と安全性を明らかにする目的で, THP注入後の腫瘍組織内濃度を測定するとともに, THP膀胱内注入療法の再発予防効果と副作用の有無について検討した。(1) THP組織内濃度の検討: 1992年3月から1995年2月までに東京慈恵会医科大学にて表在性移行上上皮癌と診断された初発膀胱癌症例32例を対象とした。対象症例をTHP 30mg/body膀胱内注人1時間後 (26例) と24時間後 (6例) の2群に分け, それぞれ正常膀胱粘膜組織と腫瘍組織におけるTHP組織内濃度をHPLC法により測定した。1時間後の腫瘍組織内THP濃度は, 正常膀胱粘膜組織のそれらに比べ有意に高値であったが, 24時間後では腫瘍, 正常膀胱粘膜組織ともに測定感度以下の値であった。(2) 5日間連続THP膀胱内注入療法の表在性膀胱癌術後再発予防効果: 1998年7月から1999年8月までに富士市立中央病院においてTUR-BT施行後, 表在性移行上皮癌と診断された24例を対象とし, THP 30mg/body 5日間連続膀胱内注入療法を施行した。平均観察期間は8.8か月 (範囲: 2~26か月) で, 24例中7例に術後2~8か月に再発が認められ, 近接効果としての非再発率は7008%であった。副作用は, 45.8%(11/24例) に膀胱刺激症状が認められたが, これによって投与を中1土した症例は認められなかった。5日間連続THP膀胱内注入療法後の血中THP濃度は測定限界値以下であり, 全身的副作用はなかった。以上より5日間連続THP膀胱内注入療法は安全で, しかも表在性膀胱癌術後に優れた再発予防効果があるものと考えられた。
  • 佐藤 勝昌, 冨岡 治明, 佐野 千晶, 清水 利朗, 佐野 啓介, 松島 敏春
    2002 年 50 巻 4 号 p. 232-235
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Mycobacterium avium complex (MAC) には集落形態を異にする3種の集落変異株, すなわちSmT株, SmO株およびRg株があるが, それらのビルレンスは異なることが知られている。今回は同一のMAC菌株から分離された各集落変異株がrifabutin, rifampicin, streptomycin, kanamycin, ethambutol, isoniazid, ofloxacin, cipronoxacinおよびcefbxitinに対してどのような感受性を示すかについて検討した。その結果,(1) ethambutolとisoniazidを除くいずれの供試薬剤に対しても, SmT株はSmO株に比べて, その感受性が著しく低いこと,(2) Rg株はSmT株とSmO株の中間型の薬剤感受性を示すことが明らかになった。これらのことは, 臨床材料より分離されたMAC菌株の薬剤感受性判定においては, 供試菌株の集落形態を知ることが重要であることを示している。
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