1998年に臨床材料から分離された菌株を用いて, cefebpimeをはじめとするβ-ラクタム薬間での感受性および耐性菌の出現状況を把握する目的で, 全国レベルで疫学調査を実施した。1997年に実施したサーベイランスに参加した22施設が前回と同様にEtestを用いて, それぞれの施設から分離された10菌種, 各10菌株に対する薬剤感受性試験を実施した。グラム陽性菌としてoxacillin感性
Staphylococcus auteusではceftazidimeおよびcefpiromeを除き耐性菌の出現は認められなかった. またコアグラーゼ陰性staphylococciでは, ceftadizimeを除き耐性菌の出現は認められなかった.
Eschetichia coliにはpiperacillinに対する耐性菌が12.6%存在したが, そのほかの抗菌薬に対する耐性菌は認められなかった.
Klebsiella spp. に対しては, cefbpimeおよびimipenemに対する耐性株は認められなかった.
Citrobactet spp. にはcefbpimeおよびimipenemには耐性株が認められなかった。
Entetobacter spp. にはimipenemおよびcefbpimeが0.5%の割合で,
Serratia spp. に対してはimipenemが4.4%, cefbpimeが5.8%, cefpiromeおよびceftazidimeが6.3%および6.8%の割合でそれぞれ耐性株が認められ, piperacillinおよびcefbperazone/sulbactamに対する耐性率と比較して小さい値を示した. インドール陽性Proteusの場合, cefbperazone/sulbactamには耐性株が認められず, cefbpimeおよびcefpiromeには耐性率が0.5%以下であった。
Pseudomonas aetuginosaに対しては, cefbpimeの耐性率は9.1%であり, ceftazidimeの耐性率, 8.7%につぐ小さな値であった. Imipenemは,
P. aetuginosaに対して24.9%の耐性率を示した. 以上の結果を総合すると, cefbpimeに対する耐性菌の出現は, 今回対象としたほかのβ-ラクタム薬と比較して, 同等あるいはそれらより低いものと考えられた。
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