新規な注射用ニューキノロン系抗菌薬であるpazufloxacin注射薬 (以下PZFX注射薬と略す) の呼吸器感染症と複雑性尿路感染症に対する至適用量の検討を, 臨床第H相試験 (前期第H相および後期第H相一般臨床試験, 用量検討試験) における用量別の試験結果を鑑み行った。
1) 呼吸器感染症
一般臨床試験における臨床効果の有効率は75.4%(172/228) で, おもな1日投与量・投与回数である600mg (分2) 投与での有効率は75.4%(49/69), 1,000mg (分2) 投与での有効率は74.4%(116/156) であった。細菌性肺炎を対象とした用量検討試験における有効率はL群 (600mg分2) で100%(32/32), H群 (1,000mg分2) で92.6%(25/27) であり, 2用量間に有意差はみられなかった。副作用発現率は, 一般臨床試験にて600mg (分2) 投与で2.6%(2/77), 1,000mg (分2) で5.1%(9/175) であった。用量検討試験ではL群 (600mg分2) は0%(0/35), H群 (1,000mg分2) で3.0%(1/33) であった。臨床検査値異常発現率は, 一般臨床試験にて600mg (分2) 投与で17.4%(12/69), 1,000mg (分2) で12.4%(20/161) であり, 用量検討試験ではL群 (600mg分2) 14.7%(5/34), H群 (1,000mg分2) で24.1%(7/29) であった。いずれも主な臨床検査値異常は, 好酸球の増多とGOT, GPTなどのトランスアミナーゼの上昇であった。基礎疾患・合併症を有するなど, 重症, 難治性要素のある症例においては600mg (分2) 投与よりも1,000mg (分2) 投与の方が有効率が高く, かつ, 1,000mg (分2) 投与においても安全性に問題が見られなかったことより, 1,000mg (分2) 投与が推奨された。
2) 複雑性尿路感染症
一般臨床試験における総合臨床効果の有効率は787%(118/150) で, おもな1日投与量・投与回数である600mg (分2) 投与での有効率は81.6%(40/49), 1,000mg (分2) 投与での有効率は77.0%(77/100) であった。複雑性尿路感染症を対象とした用量検討試験における有効率はL群 (600mg分2) で86.7%(26/30), H群 (1,000mg分2) で78.8%(26/33) であり, 2用量問に有意差はみられなかった。副作用発現率は, 一般臨床試験にて300mg1回/日投与で1/1, 1,000mg (分2) では0.8%(1/123) と低値であった。用量検討試験ではL群 (600mg分2) は2.8%(1/36), H群 (1,000mg分2) で0%(0/38) であった。臨床検査値異常発現率は,(一般臨床試験にて600mg (分2) 投与で6.3%(3/48), 1,000mg (分2) 投与では88%(10/113) にみられた。用量検討試験ではL群 (600mg分2) で14.3%(5/35), H群 (1,000mg分2) で16.2%(6/37) であった。いずれも主な臨床検査値異常は, 好酸球の増多とGOT, GPTなどのトランスアミナーゼの上昇であった。用量検討試験においては, 1,000mg (分2) 投与で細菌学的効果, 特に耐性菌における消失率において良好であったこと, また, いずれの試験においても1,000mg (分2) 投与において安全性に問題が見られなかったことより, 1,000mg (分2) 投与が推奨された
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