日本化学療法学会雑誌
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51 巻, 1 号
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  • 柴 孝也, 中澤 靖
    2003 年 51 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2003/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    日本感染症学会, 日本化学療法学会は学会として一般臨床医の教育をすることが社会還元のひとつと認識し, 積極的な対応が求められる。感染症・化学療法の教育では卒後教育, 特に研修医, レジデントの時期は重要であり, 現状では不十分であることが一部の内科認定医教育施設のアンケートから明らかとなった。研修医制度の改革のいまこそチャンスであり, 研修会の開催や手引書の改善, インターネットを利用した教育などで積極的に教育にかかわる必要がある。さらに理想としては診療や教育において感染症学, 化学療法学が独立し, 系統的な教育がなされるべきである。
  • 四方田 幸恵, 高橋 綾子, 大久保 豊司, 村上 正巳, 伊豫部 志津子
    2003 年 51 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 2003/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1997年1月から2001年12月までの5年間に群馬大学医学部附属病院検査部において臨床検査材料から分離したPseudomonas putidaは, 患者の重複を除くと83株であった。このうち27株はimipenem (IPM) 耐性菌で, これらはIPM感受性菌に比べpiperacillin, ceftazidime, amikacin, norfloxacinに対して有意に耐性率が高く, 多くは多剤耐性であった。27株のIPM耐性菌のすべてがIMP型メタロ-β-ラクタマーゼの遺伝子(blaIMP) を保有しており, 多剤耐性P. putida株におけるblaIMPの伝播が示唆された。この27株は8病棟から分離されていたが, そのうちもっとも多くの株が分離された病棟における患者由来株 (9株) および病棟環境由来株 (4株) について調べたところ, 10薬剤のMIC, パルスフィールドゲル電気泳動パターンから同一と思われる株が見出され, 長期にわたるP. putidaの院内定着が疑われた。さらにこれら13株のうち病棟環境由来株を含む9株のblaIMP遺伝子がPseudomonas aeruginosaに接合伝達した。接合伝達株では, blaIMP遺伝子によるβ-ラクタム薬耐性に加えて, 全株がamikacin耐性を, また4株がgentamicinとtobramycinに対する耐性を同時に受け取っていた。これらの結果は, 院内に定着するP. putidaP. aeruginosaに対する耐性遺伝子の供給原になりうることを示唆するものである。
  • 杉田 香代子, 上遠野 保裕, 内田 博, 小林 芳夫
    2003 年 51 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2003/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    当院検査部に提出された各種臨床材料より分離された肺炎球菌のうち, ディスク法にてオキサシリンの阻止円が≦19mmを示した38株と≧20mmを示した3株, 合計41株について, ペニシリン耐性にかかわるpbp 1a, pbp 2x, pbp 2b遺伝子の変異検出とともに, Etestによりpenicillin (PCG), cefotaxime (CTX), cefriaxone (CTRX), cefditoren (CDTR), cefdinir (CFDN), ciprofloxacin (CPDX), imipenem (IPM), meropenem (MEPM), ofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX), levofloxacin (LVFX), sparfloxacin (SPFX), linezolid (LZD) のMICを測定した。PBP遺伝子の変異は, pbp 1a+2x+2b変異が21株 (51.2%), pbp 1a+2x変異が3株 (7.3%), pbp 1a単独変異株が1株 (2.4%), pbp 2x単独変異株が13株 (31.7%) であった。また, 変異を認めない株が3株 (7.3%) であった, PCGのMIC分布は0.032~4μg/mLであり, PRSP9株 (22.0%), PISP20株 (48.8%), PSSP12株 (29.3%) であった, 各薬剤のMIC分布はCTX0.032~4μg/mL, CTRX0.016~1μg/mL, CDTR0.032~2μg/mL, CPDX0.032~8μg/mL, CFDN0.125~8μg/mL, IPM0.008~0.25μg/mL, MEPM0.008~0.5μg/mL, CPFX0.25~16μg/mL, SPFX0.125~1μg/mL, LVFX0.5~8μg/mL, OFLX1~≧32μg/mL, LZD0.5~1μg/mLであった。
  • 木村 利美, 国分 秀也, 野々山 勝人, 島田 慈彦, 松浦 信夫, 砂川 慶介
    2003 年 51 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2003/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    アミノ配糖体系抗菌薬であるarbekacin (ハベカシン注射液; ABK) は小児への適応が認められているが, 発育特性を考慮した詳細な薬物動態の検討はなされていない。われわれは乳児期から小児期におけるABK薬物動態の変化を非線形薬物動態解析プログラムNonlinear Mixed Effects Model (NONMEM) を用いて解析し母集団パラメータを推定した。解析は, 北里大学病院小児科人院中にABKが投与されTDMの実施された患児37例 (2か月~17歳) について, レトロスペクティブに収集されたデータにもとづき行った。母集団パラメータの算出およびABK薬物動態の変動要因の解析にあたっては, クリアランス (CLABK), 分布容積 (VdABK) を薬物動態パラメータとし, ADVAN1, TRANS2を用いた1-コンパートメントモデルによって行った。なお, 個体間変動には相対誤差モデルを, 個体内変動には絶対誤差モデルを使用した。平均投与量3.5mg/kg/回における血中濃度 (総数80ポイント) は, 点滴開始後1時間値の血中濃度は1.5~23.5mg/L, トラフ濃度は<0.4~2.8mg/Lであった。NONMEMのBasicモデルによって得られた対象群全体の平均CLABKは0.140±0.09 (L/h/kg), VdABKは0.47±0.16 (L/kg) であった, CLABKは血清クレアチニン (Scr) 値に依存し, さらに体重 (wt) あたりの加齢 (Age) による変化は, 対数関数によくあてはまっていた。体重あたりのABK分布容積は乳幼児から次第に小さくなり, その減少は指数関数によくあてはまり, 成人に近づくにつれ0.3L/kgに収束してゆく結果となった。最終推定によって得られたABKの母集団パラメータはCLABK=0.146×Ln(wt)÷Scr(L/h), VdABK=(0.334+0.121×Age0.536)×wt(L) であった。
  • 高岡 洋五
    2003 年 51 巻 1 号 p. 24-26
    発行日: 2003/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    in vitroにおいてトリクロサン (2, 4, 4'-trichloro-2'-hydroxy diphenyl ether) は, 供試真菌株すべてに発育阻止効果が観察された。またトリクロサンに尿素と微量の硫酸を併用した場合の発育阻止効果は, トリクロサン単剤に比べ明らかに優れていた。この結果, 静菌的トリクロサンが尿素との相乗効果により抗真菌作用の増強を示すことが明らかになった。
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