日本化学療法学会雑誌
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51 巻 , 2 号
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  • 菅谷 憲夫
    2003 年 51 巻 2 号 p. 55-59
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    最近の数年間で, 日本のインフルエンザの診断と治療は急速に進歩して, 世界のトップとなった。インフルエンザは, 外来やベッドサイドで迅速診断を実施し, 抗ウイルス剤で治療する疾患となった。日本では, 今後, ノイラミニダーゼ阻害剤が広く使用されることになるが, その耐性と副作用の監視が重要となる。 新型インフルエンザ対策として, ノイラミニダーゼ阻害剤の備蓄を検討すべきである。
  • 肺炎球菌等による市中感染症研究会収集株のまとめ
    生方 公子, 小林 玲子, 千葉 菜穂子, 長谷川 恵子, 紺野 昌俊
    2003 年 51 巻 2 号 p. 60-70
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1998年から2000年の3年間に,「肺炎球菌等による市中感染症研究会」に参加の187施設より収集された総計6,692検体を解析対象とした。重複例を除く4,030例の疾患は, 急性中耳炎 (n=1,425), 急性上気道炎 (n=961), 急性気管支炎 (n=390), 肺炎 (n=175) の順であった。肺炎球菌は上咽頭ぬぐい液 (n=2,869) からもっとも高率に分離された (56.6%)。次いで耳漏 (21.4%) と鼓膜切開液 (29.9%) であった。成人由来の喀痰 (n=74) からの分離率は39.2%であった。すべての分離菌株に対し, 菌種の同定と薬剤耐性を識別するためのPCRを実施した。すなわち, (i)LytA遺伝子, (ii)pbp 1a遺伝子,(iii)pbp 2x遺伝子, (iv) pbp 2b遺伝子, (v) ermB遺伝子,(vi) mefA遺伝子の各遺伝子である。これらの菌株の莢膜血清型別は抗血清を用いた莢膜膨化試験によって同時に実施した。本菌に対する経口14薬剤の感受性測定は寒天平板希釈法によって測定した。解析対象となつた1,945株のpenicillin Gに対するMIC90と耐性遺伝子との関係は, PSSP (304株, 0.031μg/mL), pbp 2x変異のPISP (386株, 0.063μg/mL), pbp 2b変異のPISP (13株, 0.25μg/mL), pbp 1a+pbp 2x変異のPISP (179株, 0.25μg/mL), pbp 1a+pbp 2b変異のPISP (3株), pbp 2x+pbp 2b変異のPISP (106株, 0.5μg/mL), pbp 1a+pbp 2x+pbp 2b変異のPRSP (954株, 4μg/mL) という内訳であった。マクロライド耐性にかかわるmefA遺伝子保持株は635株, ermB遺伝子保持株は796株, 両者保持株が85株であった。PSSP, PISP, およびPRSPの血清型には明らかな偏りがみられた。PSSPにはさまざまな血清型が認められたが, PISPのなかのpbp 2x変異株では3型と6型が多く, その他のPISPでは14型, 23型, 6型が優位であったで。PRSPでは19型, 6型, 23型, 14型で94.2%を占めた。PRSPのなかには, β-ラクタム系薬の抗菌力がさらに低下している株, あるいは新たな血清型の菌株も認められはじめた。このような成績から, 今後とも分子疫学解析にもとづいたサーベイランスが必要であると結論された。
  • 山田 好則, 浅沼 史樹, 山田 高也, 鈴木 達夫, 平久 治, 堤 大基, 林 正彦
    2003 年 51 巻 2 号 p. 71-75
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規のvinca alkaloid系抗癌薬であるvinorelbineについて, 乳癌に対する抗腫瘍効果の実験的検討を, estrogen receptor陽性のヒト乳癌株であるMCF-7およびR-27を用いて行った。In vivoの検討では, 腫瘍株を移植されたヌードマウスに対し, vinorelbineを含む各種抗癌薬の最大耐用量を全身投与して, 実験終了時の薬剤投与群の対照群に対する相対腫瘍重量の比 (T/C値) により比較した。VinorelbineはMCF-7に対し, 26.7%, R-27に対し44.1%という高いT/C値を示した。これは比較した他の薬剤である, 5-fluorouracil (5-FU), docetaxel, cisplatin (CDDP), CPT-11, tamoxifbnのうち, docetaxelに匹敵する高い抗腫瘍効果であった。In vitroの検討はMTT試薬を用いたsuccinate dehydrogenase inhibition (SDI) 法を川いて行った。Vinorelbineの50%抑制濃度 (IC50) はMCF-7に対し2.4μg/mL, R-27に対し3.0μg/mLであり, 他のvinca alkaloidsであるvindesin (VDS) およびvincristine (VCR) のIC50) の10%以下と優れていた。次に, 培養液中の5-FUまたはCDDPにそれぞれvinorelbineを添加して腫瘍増殖抑制を観察することにより併用実験を行った。5-FUとの併用で, 単独では抑制効果を示さない0.01μg/mLというvinorelbine濃度でも5-FUの増殖抑制を著しく高めることが示された, 以上により, vinorelbineは従来のfirst line, Second lineの対乳癌治療薬に加え, 新たな治療戦略を提供できる薬剤であることが示唆された。
  • 柴 孝也
    2003 年 51 巻 2 号 p. 76-86
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    高齢者7例, 非高齢者7例にpiperacillin (PIPC) 1.0gを30分点滴静注にて投与し, 体内動態の検討を行った。薬物動態パラメータの解析結果より, 以下の知見が得られた。
    1. 高齢者群の最高血漿中濃度 (Cmax) は, 非高齢者群と比較して平均値で約9%高値を示す傾向にあったが, その差異は顕著ではなかった。
    2. 高齢者群の全身クリアンス (CL) は, 非高齢者群と比較して低値を示し, 平均値では非高齢者群の約70%に低下していた。PIPCのCLには年齢の寄与が認められ, 年齢が高くなるにしたがって低下する傾向を示した。
    3. 腎クリアランス (CLR), 腎外クリアランス (CLNR) ともにCL同様年齢が高くなるにしたがって低下する傾向を示し, PIPCを除去する能力は腎, 腎外ともに加齢により低下していることが示唆された。
    4. 今回検討した投与方法 (2g×4回, 4g×2回) においては, 高齢者, 非高齢者ともに蓄積は起こらないことが予測された。
    高齢者においては, 非高齢者に比べCmaxが高値を示し, 全身クリアランスが低下する傾向を示したが, 今回検討した投与方法では蓄積性が認められなかった。したがって, 高齢者においても非高齢者と同様の投与が可能であると考えられた。しかし, 高齢者におけるPIPCの生体外除去能力の低下には, 年齢の影響が示唆されており, 超高齢者などの加齢の影響が強い患者においては投与量の減量が必要と考えられる。
  • 今野 秀樹, 上野 和行, 井倉 恵, 吉村 尋典, 光武 耕太郎
    2003 年 51 巻 2 号 p. 87-90
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新生児および乳児におけるvancomycin (VCM) 投与のための指針を作成することを目的として薬物動態パラメータの解析を行った。対象は1998年8月から2001年8月までの間, 当センターに入院中でMRSAに感染しVCMによる治療を受けた新生児5例, 乳児16例であった。VCMの薬物動態パラメータはSawchuk-Zaske法にて推定した。VCMクリアランス (CL) と体重とは良好な相関関係が認められた。血清クレアチニン (Scr) とCLおよびScrと消失半減期との間には良好な相関関係が認められたが, VCMのみかけの分布容積 (Vd) とScrまたVdと体重の間には相関性が認められなかった。また新生児および乳児のVdは成人より有意に小さいことが認められた (0.499±0.199対0.717±0.0249L/h/kg, P<0.05)。これらの結果より体重とScrは投与指針にとって有用な薬物動態パラメータであることが示唆された。
  • 砂川 慶介, 坂田 宏, 佐藤 吉壮, 寺嶋 周, 柴 孝也, 岩田 敏, 秋田 博伸, 横山 哲夫, 城 裕之, 砂押 渉, 馬場 駿吉, ...
    2003 年 51 巻 2 号 p. 91-96
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    小児を対象とする硫酸アルベカシン注射液 (以下ABK) 血漿中薬物動態パラメータを算出することを主目的とした多施設共同による市販後臨床試験を実施し, 以下に述べる成績を得た。対象は, 新生児・低出生体重児群および乳・幼児群の2群であり, ABKを2~3mg/kgで30分間かけて点滴静脈内投与をした際のABK血漿中薬物動態パラメータは, 以下の通りであった。最高血漿中濃度 (Cmax) は新生児群 (n=4) が6.64±1.13 (μg/mL), 乳・幼児群 (n=3) が7.91±1.43 (μg/mL) であり, 新生児群と乳・幼児群では有意差は見られなかった (p=0.2429)。定常状態分布容積 (Vdss) は新生児群0.382±0.045 (L/kg), 乳・幼児群0.304±0.060 (L/kg), 血漿中濃度半減期 (t1/2) は新生児群3.20±0.91 (h), 乳・幼児群1.73±0.43 (h) であり, いずれの薬物動態パラメータも新生児群と乳・幼児群で有意差は見られなかったが, 新生児群の方が大きな値であった (p=0.1049, 0.0515)。全身クリアランス (Cltot) は新生児群0.091±0.017 (L/h/kg), 乳・幼児群0.154±0.030 (L/h/kg) であり, 乳・幼児群が有意に大きな値を示した (p=0.0148)。ABK血漿中薬物動態パラメータから投与終了12時間後の血漿中濃度 (トラフ値) を計算したところ, その平均値は新生児群0.42±0.25 (μg/mL), 乳・幼児群0.05±0.04 (μg/mL) であった。今回新/主児・低出生体重児および乳・幼児にABKを2~3mg/kgで30分間かけて点滴静脈内投与した結果, 新生児4例, 乳・幼児3例からABK血漿中薬物動態パラメータを算出することができた。また, これらの患児における血漿中薬物濃度は, 成人で臨床効果および安全性が推奨されている血漿中薬物濃度とほぼ似通った推移を示した。
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