日本化学療法学会雑誌
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51 巻, 4 号
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  • 清水 敦之, 金子 真紀, 石川 みどり, 三本木 祐美子, 鈴木 貴久, 高田 利彦
    2003 年 51 巻 4 号 p. 161-167
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床由来のβ-lactamase非産生ampicillin (ABPC) 耐性Haemophilus influenzae (BLNAR) に対するcefditoren (CDTR) のin vitro抗菌活性をcefeapene (CFPN), cefdinir (CFDN) およびcefaclor (CCL) と, BLNARによるマウス肺感染モデルに対するcefditoren pivoxil (CDTR-PI) の治療効果をcefcapene pivoxil (CFPN-PI), CFDNおよびlevofloxacin (LVFX) とそれぞれ比較した。125株のβ-lactamase非産生H. influenzaeに対するCDTR, CFPN, CFDN, CCLおよびABPCのMIC90値は, それぞれ0.25, 1, 4, 32および2μg/mLであり, CDTRの抗菌活性がもっとも強かった。また, 被験菌125株をABPCに対する感受性からMICが0.03-0.25μg/mLの群, 0.5-1μg/mLの群, および2-4μg/mLの群の3群に分け, 各群のCDTR, CFPN, CFDNおよびCCLに対する感受性を比較した。その結果, ABPCのMICが高い群ほど各抗菌薬のMICが高くなった。しかし, CDTRのMICの上昇は他経口セフェム薬3剤のMICの上昇に比較して小さく, 被験4剤のなかでもっとも強い抗菌活性を示した。CDTR-PIはBLNARによるマウス肺感染モデルに対してCDTRのin vitro抗菌活性を反映した治療効果を示し, その効果は投与量依存的であった。また, CDTR-PIは, CFPN-PI, CFDNまたはLVFXの治療効果が認められない感染モデルに対しても治療効果を示した。以上の結果から, CDTR-PIは, 他の抗菌薬では治療効果が期待できないようなBLNAR感染症に対しても治療効果が期待できる抗菌薬であることが示された。
  • 上野 和行, 橋本 秀子, 井倉 恵, 吉村 尋典, 光武 耕太郎
    2003 年 51 巻 4 号 p. 168-172
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Teicoplanin (TEIC) の薬物動態におよぼす腎機能の影響および副作用を評価するべくMRSA感染症にてTEICの投与を受けている入院患者42例を対象としてクレアチニンクリアランス (Ccr) と薬物動態パラメータおよびTEIC血清中濃度と腎・肝機能との関係を調べた。Ccrと分布容積間には相関性が認められなかった。Ccrが40mL/min以上の患者においてはCcrと消失半減期の間には相関性が認められなかったが, Ccrが40mL/min以下の患者においては有意な相関性が認められた。血清中TEIC濃度と血清クレアチニンあるいはAST間には相関性が認められなかった。また血清中TEIC濃度とALTとの間では相関性がないとは言い切れなかった。これらの結果よりCcrが40mL/min以上の患者にTEIC400mg1日1回投与で有効かつ安全な血中濃度が維持できるが, Ccrが40mL/min以下ではより慎重な血中濃度のモニタリングが必要である。またTEIC投与により腎機能は影響を受けないが, 肝機能は影響を受けるかも知れないことも示唆された。
  • 荒明 美奈子, 田端 麻紀子, 清水 正樹, 谷 真理子, 原 哲郎, 渡部 宏臣
    2003 年 51 巻 4 号 p. 173-178
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規カルバペネム系薬biapenem (BIPM) のPseudomonas aeruginosaに対する短時間殺菌力をimipenem/cilastatin (IPM/CS), meropenem (MEPM) およびceftazidime (CAZ) と, ヒト血漿中濃度推移下での殺菌力についてIPM/CSおよびMEPMと比較した。P. aeruginosaに対するBIPMの短時間殺菌力はIPM/CSと同程度であった。BIPMはMEPMおよびCAZに比べ, 抗菌薬作用後1~2時間の初期に強い殺菌力を示した。BIPMおよびIPM/CSの高接種菌量での殺菌力は, 通常接種菌量での殺菌力と変わらなかったが, MEPMおよびCAZでは殺菌力の減弱が認められた。ヒトにBIPM300mg/30min投与時とIPM/CSおよびMEPMの500mg/30min投与時の血漿中濃度に薬物濃度をシミュレートしたin vitro pharmacokinetic modelにおける3剤の生菌数推移は同程度であった。以上の結果から, BIPMは緑膿菌感染症に優れた治療効果を示すことが期待できると考えられた。
  • 2000年分離グラム陽性球菌および嫌気性菌に対する抗菌力
    吉田 勇, 木村 美司, 東山 伊佐夫, 杉森 義一, 山野 佳則
    2003 年 51 巻 4 号 p. 179-208
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    2000年に国内各地の16施設において, 種々の臨床材料から分離された好気性グラム陽性球菌30菌種1,126株, ならびに別途収集株を含む嫌気性菌23菌種166株について, 寒天平板希釈法で各種抗菌薬の抗菌力を測定した。Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) は61.5%, methicillin-resis tant S. epidermidis (MRSE) は82.0%と高い分離頻度であった。MRSAおよびMRSEに対し優れた抗菌力を示したのは, arbekacin (ABK), quinupristin/dalfopristin (QPR/DPR) とvancomycin (VCM) であり, MIC90はいずれも1.56μg/mL以下であった。Streptococcus pneumoniaeにおけるpenicillin (PC)-intermediate S. pneumoniae(PISP), PC-resistant S. pneumoniae (PRSP) の割合は, それぞれ27.3%, 30.5%であった。PRSPに対し, cefpirome, carbapenems (CBPs), VCM, teicoplanin (TEIC), およびQPR/DPRは, 0.78μg/mL以下の濃度で測定全株の発育を阻止した。Enterococcus fbecalisおよびEnterococcus faeciumに対して優れた抗菌力を示したのは, VCM, TEICおよびlinezolidであり, MIC90は3.13μg/mL以下であった。MRSA, MRSEおよび腸球菌属を含めMIC測定を行ったすべてのグラム陽性球菌 (Enterococcus casseriflavusおよびEnterococcus gallinarumを除く) において, VCM耐性株は認められなかったが, TEICではMRSE, Staphylococcus haemolyticusなどで耐性株が検出された。嫌気性菌全般に対しては, CBPsの抗菌力が優れていたが, Bacteroides fragilis, Prevotella spp.に対するCBPsの抗菌力に低下傾向がみられ, 有効な抗菌薬が少ないことから今後の動向に注意が必要と考えられた。
  • 2000年分離グラム陰性菌に対する抗菌力
    吉田 勇, 杉森 義一, 東山 伊佐夫, 木村 美司, 山野 佳則
    2003 年 51 巻 4 号 p. 209-232
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    2000年に全国16施設において種々の臨床材料から分離されたグラム陰性菌19菌種属, 1,227株に対する各種抗菌薬のMICを寒天平板希釈法で測定し, 抗菌力の比較検討を行った。腸内細菌科の抗菌薬感受性は, ほとんどのβ-lactam系薬に対して, 過去のデータに比べ耐性化傾向は認めなかったが, ニューキノロン系薬 (NQs) に対する低感性株を含む耐性株の分離頻度は引き続き上昇していた。Escherichia coli, Klebsiella spp., Proteus spp.においては, ceftriaxone, ceftazidime, aztreonamあるいはcefbodoximeに対する非感性菌は, それぞれ9.8%, 4.0%, 8.3%検出された。Neisseria gonorrhoeae, Branhamella catarrhalisに対し, 多くの抗菌薬は良好な抗菌力を有していたが, N.gonorrhoeaeではNQs低感性株を含む耐性株が92%にまで達し, きわめて高い分離頻度であった。Haemophilus influenzaeにおけるβ-lactamase産生株は7%であり, 1998年より減少したが, β-lactamase-negative ampicillin耐性株 (BLNAR) の分離頻度は1992年3.3%, 1994年3.5%, 1996年15.6%, 1998年24.4%, 2000年37.0%と大きく増加していた。Pseudomonas aeruginosaの各抗菌薬に対する感受性は上昇しており, tobramycin, doripenem, meropenem, arbekacinは, MIC90で6.25μg/mL以下を示した。抗緑膿菌薬11剤に対する感受性解析の結果, 多剤耐性化は進んでおらず, すべての抗菌薬に感性の株の分離頻度が上昇していた。P. aeruginosa以外のブドウ糖非醗酵グラム陰性菌においても, 測定抗菌薬の抗菌力は若干上昇していた。
  • 2003 年 51 巻 4 号 p. 233-250
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 2003 年 51 巻 4 号 p. 250-267
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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