2000年に国内各地の16施設において, 種々の臨床材料から分離された好気性グラム陽性球菌30菌種1,126株, ならびに別途収集株を含む嫌気性菌23菌種166株について, 寒天平板希釈法で各種抗菌薬の抗菌力を測定した。Methicillin-resistant
Staphylococcus aureus (MRSA) は61.5%, methicillin-resis tant
S. epidermidis (MRSE) は82.0%と高い分離頻度であった。MRSAおよびMRSEに対し優れた抗菌力を示したのは, arbekacin (ABK), quinupristin/dalfopristin (QPR/DPR) とvancomycin (VCM) であり, MIC
90はいずれも1.56μg/mL以下であった。
Streptococcus pneumoniaeにおけるpenicillin (PC)-intermediate
S. pneumoniae(PISP), PC-resistant
S. pneumoniae (PRSP) の割合は, それぞれ27.3%, 30.5%であった。PRSPに対し, cefpirome, carbapenems (CBPs), VCM, teicoplanin (TEIC), およびQPR/DPRは, 0.78μg/mL以下の濃度で測定全株の発育を阻止した。
Enterococcus fbecalisおよび
Enterococcus faeciumに対して優れた抗菌力を示したのは, VCM, TEICおよびlinezolidであり, MIC
90は3.13μg/mL以下であった。MRSA, MRSEおよび腸球菌属を含めMIC測定を行ったすべてのグラム陽性球菌 (
Enterococcus casseriflavusおよび
Enterococcus gallinarumを除く) において, VCM耐性株は認められなかったが, TEICではMRSE,
Staphylococcus haemolyticusなどで耐性株が検出された。嫌気性菌全般に対しては, CBPsの抗菌力が優れていたが,
Bacteroides fragilis, Prevotella spp.に対するCBPsの抗菌力に低下傾向がみられ, 有効な抗菌薬が少ないことから今後の動向に注意が必要と考えられた。
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