日本化学療法学会雑誌
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51 巻, 8 号
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  • Common diseaseとしての新たな認識の必要性
    渡辺 彰, 高橋 洋
    2003 年 51 巻 8 号 p. 461-469
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    急性Q熱は, リケッチア科に近縁のコクシエラ属の偏性細胞内寄生体であるCoxiella bumetiiが主に経気道感染して発症する肺炎や気管支炎などの総称である。臨床病像のみでは他の呼吸器感染症との鑑別が困難であり, 肝炎や不明熱などの病型も見られる。急性Q熱の多くは, 夏季を中心に発熱や倦怠感, 関節痛などのインフルエンザ様の症状を呈する一過性熱性疾患であり, 予後良好なself-limitingdiseaseであるが, 心内膜炎などの形で慢性化して予後不良の慢性Q熱となる例もあり, 確定診断した例や疑いの強い例では積極的な治療が望ましい。現時点での確定診断は複数回測定した血清抗体価の有意上昇によるが, 抗体価が上昇するまでに長期間を要する例も多いので頻回に測定する必要がある。急性期の気道系検体を用いたPCR法の成績も診断にとって有用であるが, 将来は迅速で高感度, かつ簡便な診断法の開発が望まれる。治療面では, 細胞内への移行が低率なβ-ラクタム薬は無効であり, テトラサイクリン薬が第一選択薬となる。マクロライド薬やニューキノロン薬, リファンピシンも有効であるが, 治療開始後数日で得られる解熱の後も1~2週間の治療を続行する必要がある。
  • 従来法との比較
    柴田 明佳, 鈴木 健, 福山 正文
    2003 年 51 巻 8 号 p. 470-476
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    抗真菌薬の治療法にMICの利用が推奨されているにもかかわらず, MIC測定に用いる濁度法による判定には撹絆の必要性, 人的関与などの間題点がある. かかる間題点のないCCDカメラを用いてMICを測定する画像法が開発されたことより, 著者は真菌のATCC株と臨床株のMIC測定に対する本法の有用性を, NCCLSおよび日本医真菌学会が推奨する標準濁度法と検討した。ATCC5株と臨床分離60株 (Canolida albicans22株, Canolida glabmta10株, Candliola pampsilosis19株, Candioia trolpicalis 9株) を対象とし, MICを測定した。本法では顕微鏡用CCDカメラにより凝集塊による透過光の減衰を撮影, その画像より得られた透過光強度をコンピュータで画像処理することにより得られた菌発育面積から菌発育終末点を決定してMICを求めた。MICがNCCLSM27-Tの公表値と一致したものは画像法, 濁度法とも9検体中6検体であったが, 日本真菌学会の公表値との一致は画像法に比べ濁度法で多かった (20検体中14検体vs20検体中17検体). 臨床株における画像法と濁度法のMICはC.albicansC.pampsilosisを除き1管差以内であったことより, 両検査法の相関は高かった。臨床株への応用において, 画像法を用いたMIC測定は従来の方法と大差なく, 手技の簡便性からも有用性の高い検査法と考えられた。
  • Bolus静注と点滴静注の比較
    戸枝 弘之
    2003 年 51 巻 8 号 p. 477-484
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Escherichia coli ATCC 25922によるラット皮下感染モデルを用い, cefazolin (CEZ) を10mg/kgあるいは20mg/kg投与した後の滲出液中の細菌を定量培養し, bolus静注投与 (IV) と点滴静注投与 (DIV) における抗菌効果を比較検討した。また血中, 滲出液中のCEZ濃度を経時的に測定し, 薬物動態について検討した。10mg/kg投与群と20mg/kg投与群ともIV群は1時間および2時間DIV群に比ベ有意に強い抗菌効果を示した, また10mg/kgIV群は投与量が半分であるにもかかわらず, 20mg/kgDIV群よりも強い効果を示した。血中における最高薬剤濃度 (Cmax) はIV群がDIV群に比べ1.3~3.8倍高値であった, しかし, DIV群の血中消失半減期 (T1/2) はIV群より0.6~2.1時間長いため, 試験菌の最小発育阻止濃度 (MIC;2μg/mL) 以上の濃度を維持した時間 (time above MIC) はDIV群の方がIV群より好成績であった (10mg/kg投与ではIV群;2.8時間, 1時mDIV群;3.7時間, 2時間DIV群;4.4時間, 20mg/kg投与ではIV群;2.9時間, 1時間DIV群;5.9時間, 2時間DIV群;4.6時間)。滲出液中におけるCEZのCmaxは血中の1/10~1/20と低値であったが, T1/2は血中より0.8~2.0時間長かった。滲出液中におけるCEZのtime above MICは血中に比べて短く, 血中とは逆にIV群の方がDIV群より好成績であった (10mg/kg投与ではIV群;1.4時間, 1時間DIV群;0.1時間, 2時間DIV群;0時間, 20mg/kg投与ではIV群;2.7時間, 1時間DIV群;1.8時間, 2時間DIV;0時間)。CEZのように蛋白結合率の高い薬剤に関しては, 高い血中濃度が得られるbolus静注投与が薬剤の組織移行を良好にし, 強い抗菌効果につながると考えられた。
  • 池田 文昭, 中井 徹, 若杉 昌宏, 堀田 久範, 樋口 貞夫, 小林 寅哲
    2003 年 51 巻 8 号 p. 485-489
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    本邦において2001年10) 1から2002年8月までの期間に各種臨床材料から分離されたCandida属105株およびAspergillus属23株のmicafungin (MCFG) および各種抗真菌薬に対する薬剤感受性をNCCLSの感受性測定標準法M27-AおよびM38-Pに準拠した微量液体希釈法を用いて測定した。Candida albicansのfluconazole感性および耐性株, Candida tropicalis, Candida glabrataおよび菌種同定不能なCandida属に対して90%以上の株の発育を阻止するMCFGの最小薬剤濃度 (MIC90) は0.0625μg/mL以下であり, amphotericin B, fluconazole, itraconazole, miconazoleおよび5-fluorocytosineより低値を示した.Candida pampsilosisおよびCandida guilliermondiiに対するMCFGのMICは0.25~1μg/mLに分布し, 比較薬剤と同等またはやや高値であった。一方, Aspergillus fumigatus, Aspergillus niger, Aspergillus terreus, Aspergillus flavusおよび同定不能なAspergillus属に対するMCFGのMICは0.002~0.0313μg/mLに分布し, 比較薬剤よりも低値であった, 今回, 感受性を測定したCandida属およびAspergillus属のいずれの菌種においてもMCFGに対して低感受性の菌株は認められなかった。
  • 上田 康晴, 柴田 泰史, 小川 太志, 原田 尚重, 山本 保博
    2003 年 51 巻 8 号 p. 490-496
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    救急領域におけるmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 感染症に対するteicoplanin (TEIC) の適正な投与方法を探る目的で, 本薬投与後の血中トラフ値推移と1効性および安全性との関係について検討し, 下記の成績が得られた。
    1.MRSAに起因する肺炎14例, 敗血症1例および胸膜炎1例に対するTEICの有効率は, 62.5%であった。
    2.細菌学的効果は消失3例, 減少2例, 菌交代5例, 不変6例であった, 単独感染例では複数菌感染例に比べて消失例ないし減少例が多く, 複数菌感染例では単独感染に比べて同時分離菌存続例がやや多かった。
    3.投与例では本薬に起因する副作用は認められなかった。
    4.TEIC血中トラフ値は, 6日目以降にほぼ定常化し平均値で10μg/mLを超えていたが, 有効例では無効例よりも高値で推移した。また, 投与8日目に血L中トラフ値が10μg/mLを超えた症例群では, 10μg/mL以下であった症例群に比べて臨床効果がやや高い傾向があった。
    5.MRSA感染症に対するTEICの有用性が示されたが, MRSA重症感染症ではより高い血中濃度が必要と考えられ, さらなる臨床効果を高める投与方法の検討が必要であることが示唆された。
  • 齋藤 厚, 砂川 慶介, 炭山 嘉伸, 中島 光好, 池澤 善郎, 比嘉 太, 佐々木 緊, 矢野 裕二
    2003 年 51 巻 8 号 p. 497-506
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 井上 松久, 河野 茂, 岩崎 甫, 西野 武志, David P. Nicolau, 青木 信樹, 渡辺 彰, 二木 芳人, 柴 孝也
    2003 年 51 巻 8 号 p. 507-527
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2011/08/04
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