日本化学療法学会雑誌
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52 巻 , 12 号
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  • 八木澤 守正
    2004 年 52 巻 12 号 p. 761-770
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ペニシリンが臨床使用され始めてからの58年間に, 国内では累計で238成分の抗菌薬が臨床に導入されてきたが, 世代交代・淘汰により, 現在では154成分が用いられている。現用されている抗菌薬の主流はβ-ラクタム系薬の65成分であり, 次いで, 各種抗生物質が25成分, フルオロキノロン系薬などの合成抗菌薬が24成分という順になっている。
    最近20年間の国内における抗菌薬の承認状況をみると, 前半の10年間には多種多様な46成分が承認されていたが, 後半の10年間には19成分に激減している。国内における抗菌薬開発の低迷が危惧されており, 5年先・10年先の感染症の変貌に対応することが可能である新規抗菌薬の開発の必要性が唱えられている。
    今日の医薬品の開発は国際的なハーモナイゼーションの流れの中で, 世界同時開発が行われているが, 抗菌薬も例外ではなく, 日本で創製された新規物質が日米欧において同時期に臨床評価される場合が多い。しかしながら, アメリカにおける最近10年間の承認状況をみると, 日本とは異なり, 特定の耐性菌を対象とし適応が限定された狭域抗菌薬が優先的に承認される傾向が認められる。さらに, 現在, 日本で開発中の10成分の新規抗菌薬はカルバペネム系とフルオロキノロン系が主であるが, 欧米ではグリコペプチド系やリファマイシン系抗菌薬の開発も活発であり, 開発理念が相違しているように見受けられる。
    抗菌薬開発に携わる企業も, 日本では大手製薬会社に限られるが, アメリカにおいてはバイオファーマと呼ばれる小規模な企業が独自の手法により, 新規な作用機序を有する新規物質を創製し, 目処がついた時点で大手製薬会社が本格的な開発に乗り出すという状況になっている。そのような新規物質は, アメリカ微生物学会主催のICAAC年次会議で評価されており, 新規抗菌薬の開発動向に関して, 同会議で得られる情報は極めて多い。
  • 呼吸器および尿路からの分離株
    山口 恵三, 古谷 信彦, 岩田 守弘, 渡邉 直樹, 上原 信之, 保嶋 実, 葛西 猛, 賀来 満夫, 阿部 裕子, 猪狩 淳, 小栗 ...
    2004 年 52 巻 12 号 p. 771-786
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床分離株のフルオロキノロン系抗菌薬の耐性傾向を検討する目的で, 2002年11月から2003年3月までに本邦の15施設において, 喀痰・咽頭拭い液・尿・副鼻腔液・耳漏・中耳液などから分離されたグラム陽性4菌種, グラム陰性8菌種2, 228株についてgatifloxacin (GFLX) を含めた11薬剤について薬剤感受性をNational Committee for Clinical Laboratory Standardsに基づいて測定した。Penicillinresistant Streptococcus pncumoniae (PRSP) に対するGFLXのMIC90は0.5μg/mL, 感性率は100%と良好であり, ペニシリン感性株と同様の強い抗菌活性と高い感性率を示した。Haemophilus influenzaeに対するGFI.XのMIC90は0.03μg/mLと非常に低い値を示し, 感性率は99%であった。Escherichia coliに対しては, GFLXのMIC90が8μg/mLであった。Neisseria gonorrhoeaeに対して, フルオロキノロン系抗菌薬はMIC90が2~16μg/mLであり, 耐性率は90%以上であった。本調査の結果, フルオロキノロン系抗菌薬はS. pneumoniae, H.influenzae, Moraxella catarrhalisをはじめ, Klebsiella pneumoniaeに強い抗菌活性を示し, 特にGFLXはS.pneumoniaeに薬剤感受性低下をきたすことなく, 良好な結果を示していた。したがって, GFLXは今後臨床的に有用な呼吸器感染症の治療薬剤の1つになりうると考えられた, 一方, E.ooli, 腸球菌属, Pseudomonas aeruginosa, N.gonorrhoeaeではフルオロキノロン系抗菌薬に対する耐性化の進行がみられた。
  • 大河内 眞也, 五味 和紀, 徳江 豊, 菊地 利明, 藤村 茂, 貫和 敏博, 渡辺 彰
    2004 年 52 巻 12 号 p. 787-792
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Vancomycin (VCM) によるmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 腸炎治療後に発症したteicoplanin (TEIC), arbekacin (ABK) 無効かつlinezolid (LZD) 著効のMRSA敗血症を経験した。症例は難治性肺炎として紹介入院し, 広域スペクトラム抗菌薬の併用治療にて肺炎は改善したがMRSA腸炎を併発した。VCM内服により改善したが, 続いてMRSA敗血症を発症し, 急性腎不全併発のため, 透析導入となった。血液から分離されたMRSAはVCM, TEIC, ABKに感受性を示し, トラフ値を参考にTEICを投与するも無効であり全身状態が悪化した。LZD投与で臨床症状は速やかに改善した。血液中のMRSAも消失したためLZD投与を中止したところ再びMRSA敗血症を併発した。トラフ値を参考にしてABKを投与したものの改善は得られず再度LZDを投与したところ今回も速やかな改善が得られた。開始前からあった腎, 肝機能障害を悪化することなく使用可能であった。
  • 二木 芳人, 松島 敏春, 山口 惠三, 河野 茂, 渡辺 彰, 小田切 繁樹, 青木 信樹, 斎藤 厚
    2004 年 52 巻 12 号 p. 793-803
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    経口ニューキノロン薬であるlevonoxacin (LVFX) を用い, 肺炎球菌感染が疑われる肺炎患者を対象として, 1回200mg, 1日2回, 7日間投与における有効性ならびに安全性の検討を行った。また有効性とAUC/MICとの相関性についても検討した。対象患者は, 試験開始前に尿中の肺炎球菌抗原が陽性もしくは喀痰グラム染色により肺炎球菌の感染が疑われた軽症~ 中等症の肺炎患者とし, AUCの算出は, 症例ごとに2点の血中濃度を測定し母集団のパラメータよりベイジアン推定法を用いて算出した。本試験に組み人れられた全71例中, 臨床効果解析対象57例における有効率は93.0%(53/57) であり, そのうち肺炎球菌が培養陽性もしくは同尿中抗原が陽性であったことにより肺炎球菌性肺炎と診断された患者は46例で, その有効率は93.5%(43/46) であった。菌消失率は肺炎球菌培養陽性例で96.7%(29/30) であった。副作用は, 安全性評価対象70例中17例にみられ, うち15例は軽微でLVFXの投与は継続され, 2例の中等度の症例については投与を中止したが, その後速やかに回復した。LVFXに対する肺炎球菌のMICの測定が可能であった22例におけるAUC/MICは68.5±31.9 (mean±S.D.) であり, うちAUC/MICが25を下回ったのは1例のみであった。
    以上の結果より, 肺炎球菌感染が疑われる肺炎患者に対するLVFXの1回200mg・1日2回投与法は, 大部分の症例で十分なAUC/MICが得られ, 高い臨床的有用性が期待できるものと考えられた。
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