日本化学療法学会雑誌
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52 巻 , 3 号
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  • 宇野 芳史
    2004 年 52 巻 3 号 p. 163-168
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    2001年10月から12月までの3か月間に当院で治療した小児急性中耳炎症例190例から鼻咽腔から検出されたHaeemophilus influenzae 267株についてpolymerase chain reaction (以下PCR) 法を用いてpenicillin binding protein (以下pbp) の変異およびTEM-1型不活性化酵素を支配する遺伝子の部分について検討を行った。検討を行った遺伝子は,(1) TEM-1型遺伝子,(2) pbp3-1遺伝子,(3) pbp3-2遺伝子である。検出されたH.influenzaeの内訳は, β-lactamase-nonproducing ampicillinsusceptible Haemopkilus influenzae (以下BLNAS) 162株 (60.8%), β-lactamase-nonproducing and low-level ampicillin-resistant Haemophilus influenne (以下10w-BLNAR) 27株 (10.1%), β-lactamase-nonproducing ampicillin-resistant Haemopkilus influenzae (以下BLNAR) 39株 (14.6%), β-lactamase-producing ampicillin-resistant Haemophihs influenzae (以下BLPAR) 23株 (8.6%), β-lactamase-producing and low-level amoxicillin-clavulanate resistant Haemophilus influenzae, possessing TEM-1 and low-BLNARresistantgenes (以下BLPACR-1) 10株 (3.7%), β-lactamase-producing amoxicillin-davulanate resistant Haemophilus influenzae, possessing TEM-1 and BLNAR resistant genes (以下BLPACR-II) 6株 (2.2%), 年齢との関係では, 各年齢とも感受性株であるBLNASが検出株の過半数を占めていた。耐性株においてBLNARは, 1歳代, 4歳代, 5歳代で検出数が多く, low-BLNARは2歳代をピークに1峰性の分布を認めた。BLPARは2歳代および1歳代をピークに1峰性の分布を認めた。BLPACR-IおよびBLPACR-IIは3歳代以下に多く認められ, BLPACR-Iは1歳代にBLPACR-IIは2歳代にピークを認めた。しかしながら, 7歳以上の症例では, TEM-I型遺伝子およびpbp遺伝子の変異を認めた症例は見られなかった。また検出株に対する耐性株の割合いは1歳と4歳にピークをもつ2峰性の分布を示していた。Streptococcus pneumoniaeと異なり低年齢においても, 感受性株の割合いがまだ50%以上を占めていたが, 今後耐性株の割合いがS. pneumoniaeのように増加することも考えられるため, 注意深く観察を要するものと考えられた。また, 従来のMIC値の測定よりより短時間で結果が得られるため, 耐性株の検出においては, PCR法を用いた検討は有効であると考えられた。
  • 藤田 正信
    2004 年 52 巻 3 号 p. 169-175
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ヌードマウス皮下に継代移植されたヒト大腸癌株Exp-388を用い, 5-fluorouracil (5-FU) の投与スケジュールによる抗腫瘍効果を検討した。治療によるF-RNA (腫瘍組織内RNAに取り込まれた5-FU) およびTS (thymidylate synthage) の変化を検討した。腫瘍細胞浮遊液を用い, CD-DST (collagengel droplet embedded culture drug sensitivity test) を行い, 5-FUの抗腫瘍効果の時間および濃度依存性を検討した。5-FU間歇投与は連日投与に比べ, 有意に高い抗腫瘍効果を示した。5-FU間歇投与では連日投与に比べF-RNAが有意に高く持続性を示し, TSに関しても長時間にわたる抑制を見た。CD-DSTの結果, 5-FUの抗腫瘍効果は接触時間にも薬剤濃度にも同程度に依存しており, 5-FUはExp-388に対しtype I bの薬剤として作用することが判明した。
  • 頓宮 美樹, 山田 高也, 橋本 麻子, 平久 治, 氏原 淳, 町田 充, 厚田 幸一郎, 鈴木 達夫, 鈴木 幸男, 浅沼 史樹, 山田 ...
    2004 年 52 巻 3 号 p. 176-181
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    5-fluorouracil (5-FU) 系経口抗癌薬であるS-1 (tegafur, gimestat, otastatpotassiumの合剤) とcisplatin (CDDP) の, 可移植性ヒト乳痛株MX-1およびR-27, MCF-7に対する抗腫瘍効果を, in vivoのヌードマウス移植法およびin vitroのSDI法を用いて検討した。ヌードマウスに腫瘍株を移植し, 腫瘍が100~300mgに達した時点でS-1は10mg/kgを週5日3週間経口投与・CDDPは3mg/kgを4日ごとに3回腹腔内投与した。併用療法は両薬剤を組み合わせて実施し, 効果判定はT/C値 (推定腫瘍体積の対照群に対する治療群の比) により行った。In vitroでは, SDI法により5-FU, CDDP併用効果を検討した。また, 併用の順序が抗腫瘍効果におよぼす影響についても検討した。In vivoの検討において, MX-1ではS-1, CDDPそれぞれの単独治療群に比べ併用群のT/Cが低く, 腫瘍も完全に消失し, 併用することによる腫瘍抑制効果の増強がみられた。R-27, MCF-7においては, 各単独治療群, 併用群いずれも効果が得られず, 併用による効果の増強は認められなかった。一方, in vitroのSDItestを用いた検討においても両薬剤併用時に腫瘍抑制効果の増強が見られ, 特にMX-1, R-27では単剤接触で抗腫瘍効果の得られなかった濃度でも, 併用することにより50%以上のIJ. 値が得られた。さらにMCF-7において, IC50値を用いたclassical isobologramにより薬剤の接触順序を検討した結果, CDDP接触後に5-FUを接触させる方が, 5-FUを接触後にCDDPを接触させるよりも, より高い効果の増強が認められた。これらの結果より, 乳癌に対する新たな治療戦術のひとつとして, 5-FUとCDDPの併用療法, とりわけS-1とCDDPの併用が有用である可能性が示された。
  • 織田 慶子, 沖 真一郎, 阪田 保隆
    2004 年 52 巻 3 号 p. 182-185
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    2001年に聖マリア病院小児内科もしくは久留米大学小児科を受診した患児より分離された72株のHaemophilus influenzaeの薬剤感受性を検討し, 血清型, β-lactamase産生の有無, 臨床症状も合わせて検討した。β-lactamase産生ampicillin (ABPC) 耐性菌 (BLPAR) はH.influenzae 72株中4株 (6%) みられた。β-lactamase非産生ABPC耐性菌 (BLNAR, 今回はABPCに対するMICが4μg/mL以上の株とした) は5株 (7%) であった。Low-BLNAR (ここではABPCに対するMICが2μg/mL以上とした) は20株 (28%) であった。β-lactamase産生ABPC, clavulanic acid耐性菌 (BLPACR, ここではABPCに対するMIC4μg/mL以上でamoxicillin/clavulanicacidに対するMICが8μg/mL以上でsulbactam/ampicillinとのMICの差が2管以上のものとした) は3株のみであつた。H.influeneaeによる重症感染症は4例経験したが, いずれもABPCに対するMICは4μg/mL以下で後遺症もなく全員治癒した。
  • Telithromycinをモデルとして
    小林 慎, 朝野 和典, 河野 茂
    2004 年 52 巻 3 号 p. 186-195
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    耐性菌の集積を抑制するためにも市中肺炎の外来治療には多様な抗菌薬選択を行うことが望ましい。2003年12月に新規ケトライド系抗菌薬であるtelithromycin (TEL) が発売され, 抗菌薬選択の多様性が広がった。そこで, 市中肺炎患者に対する外来治療モデルを構築し, その外来治療戦略についてケトライド系抗菌薬であるTELをモデルとして医療経済的な観点から検討を行った。モデルには, 1evofloxacinを比較対照とした二重盲検比較試験であらかじめ規定した方法により前向きに収集されたデータや医師へのアンケート調査結果により推計されたデータをパラメータとして設定した。パラメータの基本値による基本分析のほか, さまざまな感度分析により各パラメータの影響度を検証した。TELによる7日間治療の期待医療費は32,981円となり, その内訳では検査費用がもっとも大きな割合を占めていた。使用したパラメータに対する感度分析の結果, 確率パラメータでは, 治療切り替え時入院率, 初期治療抗菌薬治癒率, 初期治療抗菌薬脱落率の3つのパラメータの影響が大きいことが確認された。費用項目では初診時検査費, 原疾患症状緩和薬剤費, 初期治療抗菌薬薬剤費, 再診時検査費の4つのパラメータの影響が大きいことが確認された。また初期治療抗菌薬投与期間の短縮による期待医療費の減少についても確認した。以上の検討から, 市中肺炎治療においては, (1) 抗菌薬の治療を短く, (2) かつ入院そのものをなるべく増やさず, (3) 不必要な併用薬は避ける, という3点が医療経済的な面からは重要であることと思われた。
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