経口抗菌薬の対象となる成人の歯科・口腔外科領域感染症に対するcefcapenepivoxil (CFPN-PI) の有用性を探索する目的で臨床的検討を行った。
全国の一次医療機関 (開業歯科医院) 3施設, 二次医療機関9施設の計12施設において, 歯周組織炎84例, 歯冠周囲炎10例, 顎炎52例の計146例にCFPN-PIが投与された。
(1) 主治医判定による有効率は疾患別では歯周組織炎84例で有効率90.5%, 歯冠周囲炎10例で有効率80.0%, 顎炎52例で有効率94.2%, 全体146例では有効率91.1%であった, 一次医療機関と二次医療機関で有効率を比較してみると87.7%と93.3%とほぼ同様であった。
(2) 年齢別有効率は青年層で84.8%, 壮年層で92.1%, 高齢層で97.3%であった, 投与量別有効率は300mg/日の139例で91.4%, 450mg/日の7例で85.7%であった。
(3)「歯科口腔外科領域における抗菌薬効果判定基準」による3日目判定では, 歯周組織炎59例では有効率91.5%, 歯冠周囲炎7例では有効率85.7%, 顎炎38例では有効率92.1%, 全体104例では有効率91.3%であった.
(4) 新薬シンポジウム時との有効率の比較では, 主治医判定で89.8%と91.1%, 3日目判定で91.2%と91.3%と同等の成績であった。
副作用は153例中2例 (1.4%) に軽度の副作用が認められた.
以上の成績より, CFPN-PIは歯科・口腔外科領域感染症に対し300mg/日の常用量投与で, 開発時と同様の優れた治療効果と安全性を示したことから, 現時点でも本領域の治療に有用な薬剤であると検証された。
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