【目的】現在推奨される予防抗菌薬使用法がCDCのガイドラインや「抗菌薬使用の手引き」で勧告されているが, その実施の現状を把握する。
【方法】2002年8-9月に, 47都道府県3, 823名 (北海道・東北567名, 関東1, 051名, 東海324名, 北陸・信越262名, 近畿643名, 中国・四国495名, 九州・沖縄481名) の外科医に対しアンケート調査を実施し, 地区別, 病院機能別, ベッド数別, 臨床経験年数別に勧告に対する実施率を比較した。
【結果】勧告の実施率は, 予防抗菌薬の選択 (下部消化管, 第置.世代セファマイシン) 35%, 投与時期 (術直前) 63%, 投与期間 (4日以内);胃手術63%(3, 4日56%+短期7%), 大腸手術51%であり, 特に予防抗菌薬選択での実施率が低率であった。地区別では東海が長期投与53%と最も高率であった。病院機能別では, 長期投与は一般病院44%, 教育病院31%と差を認めた。ベット数別では, 100床未満の病院は500床以上と比較し術直前投与実施率が低く (45%vs66%), 長期投与が高率 (62%, 31%) であり, 勧告が守られていなかった。臨床経験年数別では, 5年未満のほうが20年以上.より, 薬剤選択 (41%vs34%), 投与時期 (73%vs55%), 投与期間 (68%vs59%), いずれも推奨されている内容の回答が高率に得られた。
【結論】勧告の実施率は未だ低率で, 一般病院, 100床未満, 臨床経験年数20年以上でのさらなる啓蒙が必要と考えた。投与期間, 下部消化管手術での抗菌薬の選択に関しては, CDCの勧告と大きく異なっており, 日本でのrandomized controlledtrial (RCT) の実施が望まれる。
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