日本化学療法学会雑誌
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53 巻 , 10 号
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  • その軌跡をふり返って
    小林 宏行
    2005 年 53 巻 10 号 p. 603-618
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2011/09/13
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症の時代的変遷について記した。古典的ともいえる解剖学的視野からの大葉性および小葉性肺炎という名称は1930年頃から次第に菌名を冠した肺炎名に変化し, その結果いわゆる濾過性病原体を意識した非定型肺炎という言葉も出現するにいたった。この背景には微生物学の発達があった。さらに1980年頃にはCommunity acquired pneumonia, Hospital acquired pneumoniaなど患者背景と起炎病原体の嗜好性を勘案した分類も登場した。この分類は, 肺炎の病態を理解するうえで新鮮な響きを与え, かつempiric therapyとして抗菌薬選択のうえでも有益であった。しかしながら, 担癌患者, 難病保有例のほか高齢者などが, 共生という合言葉のもとにCommunity societyのなかで占める比率が増加しつつあるという社会構成の階層的変化は, このような肺炎分類を再考しなければならない時代へきているものといえよう。このように肺炎呼称一つ取り上げてもたどった時代に応じ変遷してきたことも事実である。
    さらに“British Bronchitis”に始まるいわゆる慢性気道感染症は, Cystic fibrosisやびまん性汎細気管支炎での感染を加え, 気道系の防御機構の破綻, 細菌定着の遷延化と好中球自己抗体の産生, 細菌バイオフィルム形成, そして2000年代にはquorum sensing systemの解明へと発展した。
    1935年のプロントジル発見, 1940年代のペニシリンの実用化, さらに引き続く構造活性の解明に基づく抗菌薬の合成などは化学療法学を体系化した。耐性菌の出現など紆余曲折もあったが, 感染症治療に果した功績は限りなく多大なものである。呼吸器感染症に対しても例外ではない。
    このような軌跡を俯瞰し, 現に起こっている事象を深く理解することは, 明日からの厚みのある見識や展望を生み出すうえで決して無用なことではあるまい。すなわち温故知新である。その意味から, 呼吸器感染症について時系列的なreviewを試みた。
  • 荻野 弘美, 城戸 謙一, 土屋 雅勇, 木津 純子, 堀 誠治
    2005 年 53 巻 10 号 p. 619-622
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    フルオロキノロン系薬のより効果的な投与法を考えるうえで, pharmacokinetic/pharmacodynamic (PK/PD) 解析が注目されている。PK/PD解析には, 患者における薬物体内動態パラメーターの推定が必要であり, 対象患者のキノロン系薬血中濃度測定が必須となる。高速液体クロマトグラフィーを用い, システム自身を変更することなく, 検出に用いる蛍光波長 (励起波長/蛍光波長) の調整により, 9種類のフルオロキノロン系薬 (ciprofloxacin, enoxacin, gatifloxacin, levofloxacin, lomefloxacin, moxifloxacin, norfloxacin, pazufloxacin, tosunoxacin) の濃度測定を可能とした。また, 本測定法を用い, マウスのgatifloxacin血中濃度が測定可能であることを確認した。この簡便なフルオロキノロン系薬測定法は, 臨床の場におけるPK/PD解析において有用な測定法となることが期待される。
  • 坂田 宏
    2005 年 53 巻 10 号 p. 623-626
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1998年から2004年までに当院NICUにおいて, 生後4日目以降に発症した菌血症の原因菌であるグラム陰性桿菌11株について薬剤感受性を測定した。菌種は. Acinetobacter spp. 3株, Enterobacter cloacae2株, Ralstonia pickettii2株, Klebsiella pneumoniae, Burkholderia cepacia, Pseudomonas aeruginosa, Proteus mirabilisが1株であった。感受性率が80%以上であったのはciprofloxacin, imipenem, meropenemの3薬剤であり, ciprofloxacinはP. aeruginosa以外に感受性を示し, meropenemとimipenemはR. pickettii以外に感受性を示した。
  • 山口 惠三他
    2005 年 53 巻 10 号 p. 627-640
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床分離株のgatifloxacin (GFLX) に対する感受性の経年的推移を検討する目的で, 2002年度に引き続き, 2004年11月から2005年3月までにわが国の15施設において, 喀痰・尿・副鼻腔液などから分離されたグラム陽性4菌種, グラム陰性7菌種, 計2,508株についてGFLXを含めた12薬剤に対する薬剤感受性を測定した。Streptococcus pneumoniaeに対するGFLXのMIC50, MIC90はともに0.25μg/ml, 感性率は96. 5%と他のフルオロキノロン系抗菌薬に比べて優れた抗菌活性と高い感性率が示された。一方, ペニシリン耐性はG肌Xの抗菌力と感性率には影響をもたらさなかった。Haemophilus influenzae, Moraxella catarrhalisに対するフルオロキノロン系抗菌薬のMIC90は0.015~0.03μg/mlと非常に低い値を示した。Escherichia coliおよびEnterococcus faecalisに対するGFLXのMIC50はおのおの0.06μg/ml, 0.5μg/ml, MIC90はおのおの8μg/ml, 16μg/mlであり, フルオロキノロン系抗菌薬に対する耐性率は17. 2~33. 5%であった。本結果より, フルオロキノロン系抗菌薬は前回調査時と同様にH. influenzae, M. catarrhalisに強い抗菌活性を示していた。中でもGFLXはS. pneumoniaeのMIC90が0.25μg/mlと上市時と変わらない優れた抗菌活性を有しており, 呼吸器・耳鼻咽喉科・泌尿器科領域感染症のエンピリック治療に有用であると考えられた。なお, フルオロキノロン系抗菌薬のE. coli, E. faecalisに対する抗菌活性は2002年度とほとんど変わらなかったが, 今後も継続的な調査が必要であると思われた。
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