日本化学療法学会雑誌
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53 巻 , 11 号
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  • 吉田 稔
    2005 年 53 巻 11 号 p. 673-678
    発行日: 2005/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    深在性真菌症は血液疾患や造血幹細胞移植時に合併するが, 通常は確定診断が困難で, 診断後にamphotericin B等による標的治療を行っても予後が不良であった。したがって好中球減少時の抗菌薬不応性発熱が3~4日以上持続する場合には抗真菌薬の経験的治療 (empiric therapy;ET) が推奨されている。しかし実際にこのうちどの程度が真菌症かは明らかではなく, かなりの症例では不必要な抗真菌薬が投与されている可能性がある。近年診断法の進歩は著しく従来より早期に診断が可能となり, またアスペルギルスに抗菌力を有する種々の薬剤が開発されている。新規抗真菌薬はいずれも高価格であり, 医療経済的にも従来のような経験的治療は現在, 見直されるべき時期にある。近年注目されてきた治療戦略にpreemptive therapyあるいはpresumptive therapyがある。Preemptive therapyは感染のエビデンスはあるが, 未だ疾病を発症していない状態で治療を開始する考え方である。Presumptive therapyは画像や血清診断など, 何らかの真菌感染特異的なエビデンスがあり, 疾患を発症している状態である。この場合は現在のETよりは若干治療開始は遅れるかもしれないが, 真菌感染症が確定診断されてから治療するtargeted therapy (標的治療) よりは早期の治療となる。いずれも未だ確立したエビデンスは得られていないため, 今後ETとの比較試験が必要であろう。その際には適切な検査計画と安全性を考慮した研究デザインが必要である。
  • 山田 高也, 頓宮 美樹, 平久 治, 橋本 麻子, 鈴木 達夫, 鈴木 幸男, 厚田 幸一郎, 浅沼 史樹, 山田 好則
    2005 年 53 巻 11 号 p. 679-685
    発行日: 2005/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    エストロゲンレセプター (ER) 陽性のヌードマウス可移植性ヒト乳癌株 (MCF-7, R-27, Br-10) を用い, S-1とtamoxifen (TAM) の併用効果の検討を行った。初めに5-fluorouracil (5-FU), S-1, TAMの単剤での実験を最大耐容用量で行い, 次いで併用効果を検討した。推定腫瘍重量が100~300mgに達した時点で, 5-FUは60mg/kgを4日ごと計3回腹腔内投与, 31は20mg/kgを週5日計3週間経口投与, TAMは5mg/kgを週6日計3週間経口投与して, 実験期間中の薬剤投与群の対照群に対する相対腫瘍重量の比 (T/C値) により薬剤の効果を比較した。5-FUのMCF-7, R-27およびBr-10に対するT/C値は, それぞれ68.6, 80.4, 52.7%であった。S-1の3株に対するT/C値は, 49.0, 60.0, 29.6%であり, いずれも5FUの場合よりも低値であった。一方, TAMの3株に対するT/C値は, それぞれ505, 62.3, 39.8%であった。次に, 単剤での効果が最も小さかったR-27を用いて, 併用実験を行ったところ, T/C値は5-FUとTAM併用群で51.9%, S-1とTAM併用群で28.7%であった。この併用効果に対する5-FUの代謝経路の関与を検討する目的で, R-27を用いてthymidylate synthase (TS) 阻害率を検討したが, S-1単独群とS-1, TAM併用群間に差は認められなかった。同様に, dihydropyrimidine dehydrogenase (DPD) 活性においても, 両群間で差は認められなかった。さらに, 腫瘍中およびRNA中の5FU濃度の測定を行ったが.両群間で差は認められなかった。したがって, 31とTAMの併用効果発現には, 腫瘍中5FU濃度の修飾とは, 別の作用機序が関与しているものと考えられた。S-1とTAMの併用療法は, ホルモンレセプター陽性の進行再発乳癌に対する有用な治療方法であることが示唆された。
  • 有効性および安全性に関する検討
    長谷川 廣文, 青木 信樹
    2005 年 53 巻 11 号 p. 686-695
    発行日: 2005/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    腎機能障害を有するMRSA感染症患者でのteicoplanin (TEIC) の有効性と安全性の検討ならびに現在推奨されている「腎機能障害の程度別の投与方法」の妥当性を検討した。
    23例で検討し, 判定不能の3例を除いた安全率は80.0%(16/20例) であった。有効率は, さらに判定不能の2例を除き72.2%(13/18例) であり, 投与量別には400mg群が90.9%(10/11例), 200mg群が3/7例であった。また, 有効性の目安となる血中濃度トラフ値は, 透析患者またはCcr≦10の患者群で, 9日目では他の群に比べて大きく低下していた。
    Ccr>10の患者群でのTEICの投与間隔は妥当であり, また1回投与量は400mgが望ましいと思われた。透析患者またはCcr≦10の患者群では, 投与間隔の再検討が必要と考えられた。
  • 板橋 繁
    2005 年 53 巻 11 号 p. 696-700
    発行日: 2005/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    レジオネラ肺炎は進行が急速なため, 早期に適切な抗菌薬の選択が必要である。今回, レジオネラ肺炎患者に対して, 注射用ニューキノロン系薬のメシル酸バズフロキサシン (PZFX) を1回500mg, 1日2回, 7日間単独投与して奏効した例を経験した。喀痰培養でLegionella pneumophila group 1が検出され, PZFXのMICは0.015μg/mLと良好であった。レジオネラ肺炎は時に重症化するため, その第一選択薬は注射薬であり, わが国においてレジオネラ菌への適応を取得している抗菌薬は, 注射薬ではPZFXとミノサイクリンのみである。PZFXはレジオネラ属に対する抗菌力も良好で, 喀疲や肺組織への移行も優れているため, レジオネラ肺炎の治療に有用である。
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