日本化学療法学会雑誌
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55 巻, 4 号
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  • 藤田 信一
    2007 年 55 巻 4 号 p. 257-267
    発行日: 2007/07/10
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    血液培養から分離されたCmma属57株に対する, micafungin (MCFG), amphotericinB (AMPHB), flucytosine, voriconazole (VRCZ), itraconazole, miconazole, fluconazole (FLCZ) の最小発育阻止濃度 (MIC) と最小殺菌濃度 (minimalfungicidalconcentration, MFC) を求めた0生菌数測定には菌の凝集および薬剤のキャリーオーバーを防止するために, 菌希釈用生理食塩水にはpolysorbate 80を, サブロー寒天培地にはpolysorbate 80, lecithinおよびhistidineを添加して使用した。MFCは接種菌数の99%が殺菌される最小薬剤濃度とした。
    Candida albicans14株, Candida tropicalis11株およびCandida glabrata14株に対してMCFGは最も優れた殺菌効果を示した0MCFGおよびAMPH-BのMFC90は, それぞれC.albicansに対して0.03μg/mL, 1μg/mL, C.tropicalisに対して0.125μg/mL, 0.5μg/mL, C.glaprataに対して0.5μg/mL, 2μg/mLであった。また, FLCZ耐性のC.albicans1株およびC.tropicalis1株は他のアゾール系薬にも交差耐性を示したが, MCFGおよびAMPH-Bはこれらの耐性株に対しても優れた殺菌作用を示した。Candida parapsilosis16株に対する発育阻止効果はVRCZが最も優れ, MIC90は0.008μg/mLであったが, MFCは0.03から≧32μg/mLの範囲に分布し菌株ごとの差がみられ, MFC90は32μg/mL以上であった。一方, AMPH-BとMCFGは殺菌能に優れ, MFC90はそれぞれ2μg/mL, 8μg/mLであった。Candida guilliemondii2株に対しては, MCFGよりもAMHLBの活性が優れていた。一方, 今回検討したカンジダ属菌に対するアゾール系薬のMFC90は測定濃度以上であった。以上, 臨床的に重要な血液由来Candida属に対しMCFGおよびAMPH-Bは優れた殺菌作用を示した。
  • 佐藤 吉壮, 山藤 満, 岩田 敏, 秋田 博伸, 砂川 慶介
    2007 年 55 巻 4 号 p. 268-273
    発行日: 2007/07/10
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    小児急性上気道感染症治療には経口セフェム系抗菌薬が選択されることが多い。今回, cefdinir (CFDN) 細粒15mg/kgあるいはcefcapene pivoxil (CFPN・PI) 細粒9mg/kgを1日3回に分割し, 5日間経口投与した時の有効性, 安全性および服薬性を検討した。CFPN-PI細粒は研究期間中に製剤が改良されたため, 改良前後を2期に分け2004年1月から同年9月までを第1期, 2004年10月から2006年4月までを第2期として評価を行った。第1期ではCFDN細粒群33例, CFPN-PI細粒群36例, 第2期ではそれぞれ50例を対象とした。投与前後の体温推移および臨床症状の改善度から求めた有効率はCFDN細粒群 (第1期: 100%, 第2期: 91.8%), CFPN-PI細粒群 (第1期: 100%, 第2期86.0%) であり, 両被験薬群間に有意差を認めなかった。軟便一下痢の副作用の発現率はCFDN細粒群 (第1期: 12.1%, 第2期: 18.0%), CFPN-PI細粒群 (第1期: 13.8%, 第2期: 320%) であり, 両被験薬群問に有意差を認めなかった。服薬性については, 問題なく全部服用した症例はCFDN細粒群 (第1期: 80.8%, 第2期829%), CFPN-PI細粒 (第1期: 5Z1%, 第2期66.7%) であり, CFPN-PI細粒の改良製剤は旧製剤に比して改善は認められたものの, CFDN細粒群が有意に優れた (p<0.05)。今回の研究で, 小児急性上気道感染症に対してCFDN細粒およびCFPN-PI細粒はいずれも優れた有効性と安全性を示すことを確認した。特に服薬性を考慮する必要がある小児, 特に低年齢層の患児に対しては, CFDN細粒は有用な選択薬であると考えられた。
  • 山崎 多江子, 石田 茂伸
    2007 年 55 巻 4 号 p. 274-277
    発行日: 2007/07/10
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    われわれは悪性腫瘍がアルベカシン (ABK) の薬物動態に与える影響をレトロスペクティブに検討した。非悪性腫瘍患者36例と悪性腫瘍患者20例 (肺癌患者14名, その他の悪性腫瘍患者6名) を対象とし, one-compartment modelを用いてABKの薬物動態パラメータを算出した。
    非悪性腫瘍患者群と悪性腫瘍患者群とではABKの薬物動態パラメータに有意な違いがみられなかった。悪性腫瘍患者を肺癌患者群とその他の悪性腫瘍患者群とで比較したところ, その他の悪性腫瘍患者群は非悪性腫瘍患者群とABKの薬物動態パラメータにおいて有意な違いはなかったが, 肺癌患者においてはABKのクリアランスが有意に高くなった (それぞれ, 0.0648±0.0355 0.0828±0.0281 L/hr/kg [平均値±標準偏差]; P<0.05)。
    肺癌患者において, ABKの薬物動態が変化する可能性が示唆された。
  • 石井 良和, 大野 章, 岩田 守弘, 村上 日奈子, 山口 惠三
    2007 年 55 巻 4 号 p. 278-285
    発行日: 2007/07/10
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    2004年および2005年に東邦大学医療センター大森病院において分離された下気道感染由来緑膿菌402株および尿路感染由来緑膿菌208株の各種抗菌薬に対する薬剤感受性を検討した。Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI) のブレイクポイントに基づき算定した感性率は, 2003年の成績と比較して改善傾向が認められた。下気道感染由来株の感性率 (2004年/2005年) は, ceftazidime (CAZ) に対して94.0%/91.6%, imipenem (IPM) に対して675%/755%, ciprofloxacin (CPFX) に対して81.5%/85.6%, amikacin (AMK) に対して990%/99.0%であった。一方, 尿路感染由来株の感性率 (2004年/2005年) は, CAZに対して90.6%/82.4%, IPMに対して82.1%/69.6%, CPFXに対して76.4%/78.4%, AMKに対して95.3%/98.0%であった。
    一方, 今後問題になってくる可能性のある事象として, セフェム系薬における感性率の低下傾向や尿路分離株を中心とする多剤耐性菌の増加傾向などが認められ, 適切な対応が必要であると考えられた。
  • 永山 在明, 山口 惠三, 渡邉 邦友, 田中 正利, 小林 寅哲, 永沢 善三
    2007 年 55 巻 4 号 p. 287-295
    発行日: 2007/07/10
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1968年にわが国独自の最小発育阻止濃度 (MIC) 測定法である寒天平板希釈法が制定された。その後, 諸外国でのMIC測定法との間で2, 3の差違がみられたことから, 1981年に三橋進委員長により再改正版が報告され現在まで使用されてきた (Chemotherapy, Vol.29, 1981)。
    この期間, 1979年に小酒井望委員長により嫌気性菌に関する寒天平板希釈法による測定法が制定され (Chemotherapy, Vol.27, 1979), 1990年には五島瑳智子委員長により一般細菌を対象とした微量液体希釈法が新たに追加承認された (Chemotherapy, Vol.38, 1990)。さらに斎藤厚委員長により, 一般細菌および栄養要求性の厳しい菌種を対象とした培地の検討および嫌気性菌を対象とした微量液体希釈法の検討がなされ, 1992年に第40回日本化学療法学会総会 (名古屋) で提案し, 一部原案に修正を加えられた後, 学会標準法として設定された (Chemotherapy 41: 183~189, 1993)。
    今回, 日本化学療法学会では寒天平板希釈法による測定法の改定が約20年近く行われていなかったことより, 再検討の依頼があり上記委員が委託され委員会が組織された。この委員会では1981年に再改定された測定法と国際的な標準法であるClinical and Laboratory Standards Institute (CLSI) の測定法を比較し改定のための検討を行った。
  • 術後感染予防抗菌薬臨床試験に関するガイドライン委員会
    2007 年 55 巻 4 号 p. 297-303
    発行日: 2007/07/10
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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