Cefteram pivoxil細粒 (以下, CFTM・PI細粒) の承認最大用量での有効性と安全性を確認し, あわせて他の経口セフェム細粒群 (以下, CE群) と副作用発現頻度について比較した。2005年9月~2006年3月までに調査施設に受診し, 咽頭炎, 扁桃炎, 急性気管支炎, 肺炎と診断された15歳未満の小児CFTM-PI細粒群259例 (中央値4.2歳), CE群108例 (cefcapene pivoxi145例, cefditoren pivoxil 49例, その他14例)(中央値3.5歳) を対象とした。投薬量はCFTM-PI細粒18mg/kg. 原則5日間 (肺炎は7日間)・分3の投薬とし, 5日後 (肺炎は7日後) までに有効性を評価した。CE群の投薬量は承認用法・用量とし, 投薬期間は定めなかった。有害事象は投薬終了時に確認した。
CFTM・PI細粒群およびCE群の投薬期間は各5.96±1.76日, 6.27±194日であった。CFTM-PI細粒群の有効性解析対象症例は223例であり, 臨床効果は421±1.18日後に評価され, 有効率は咽頭炎96.2%(128/133), 扁桃炎97.4%(37/38), 急性気管支炎97.4%(38/39), 肺炎100%(13/13), 全体で96.9%(216/223) であった。主な検出菌別の臨床効果は延べ症例数で,
Streptococcns pneumoniae 100%(28/28),
Streptococcus pyogenes98.8%(85/86),
Haemophilus influenzae95.0%(57/60),
Moraxella (Branhamlla) catarrhalis100%(24/24) であった。このうち,
S. pneumoniae28例中PISP6例, PRSP7例,
H. influenzae60例中にBLNAR9例が認められた。服薬性は, 70.7%(183/259) が「飲みやすい」以上であった。副作用はCFTM-PI細粒群, CE群ともに全例消化器症状であり, 発現率は各54%(14/259), 130%(14/108) であり, 3歳未満の副作用発現率はCFTM-PI細粒群9.4%, CE群2a2%でCFTM-PI細粒群が有意に低かった (p=0.0129)。
以上のことより, CFTM-PI細粒の高用量投薬は, 小児呼吸器感染症に対して十分な治療効果を示し, 耐性菌による感染症への有効な治療法として期待できる。
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