本研究では,全国15大学の教員志望の学生(1,815人)を対象に,小学校理科の重要な単元である月の満ち欠けについての理解度調査を行った.その結果,月の満ち欠けについて理解している学生は僅か19%にとどまり,月の満ち欠けを月食と混同している学生は12%もいることがわかった.われわれの以前の研究から,教員志望の学生は,児童に月の満ち欠けを教えることに不安を抱えていることが明らかになっている.彼らに月の満ち欠けを理解させ,教える自信を持たせるためには,大学でどのような授業を行うべきかを考察した.東京学芸大学の教員志望の学生(102人)を対象に,(i)基礎知識を習得させ,(ii)月の運動と太陽・地球・月の3天体の位置関係を理解させ,(iii)児童への指導方法を考えさせる,という流れで授業を実践した.その結果,このような授業実践は,受講生の理解度の向上と教える自信の改善に有効であることがわかった.
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