地層の特徴やその形成過程に関する学習では,実験によって砕屑物粒子の移動や堆積過程を観察することは効果的な手法の一つである.本研究の主な目的は,簡易実験水槽を用いて三角州の形成過程や将来の変化の可能性を考察することをねらいとした教材および授業を開発し,授業実践を通じてその評価を試みることである.授業実践の結果,クラスの半数以上の生徒は海水準変動に伴う三角州の形成過程の特徴を理解することができた.一方,一部の生徒(約20%)は理解が不十分であった.したがって,ここでの課題を踏まえた改善によって,より理解しやすい教材として活用できるようになると考えられる.
気象庁59型地震計は気象庁の主力地震計であった.われわれはこの地震計の波形記録を用いた教材を開発した.その目的は,記録波形を用いた,震央の推定,マグニチュードの推定,波形の観察などである.59型地震計記録を用いることの利点は,変位記録であることで地動との対比がしやすい,100倍の変位倍率と1 mm/secの送り速度は実際のスケールに換算がしやすい,などである.波形を収集するときの要点は,坪井の式が使える浅い地震であること,マグニチュードの推定に使えるように飽和して(振り切れて)いないこと,初期微動継続時間や最大振幅が容易に読めること,震央を取り囲むような観測点配置になっていることなどである.教材は,地震波形,実習シート,マグニチュード計算用のノモグラムからなっている.これにより生徒は容易に地震計記録や地震について学ぶことができる.生徒・学生の読み取りの精度も度数分布により評価した.
台風の進路による天気の変化や台風と降雨との関係を学習した後に,地域の災害を知り,避難場所と避難時の持ち物を考えさせる試行授業を小学校5年生を対象に4時間構成で行った.台風の理解や児童の防災意識に与える影響を調べた結果,今回の授業は成績中位者群・下位者群で気象や災害に関して興味関心の向上に効果があった.
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