地学教育
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70 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著論文
  • 吉本 直弘, 松尾 亮太朗
    2017 年 70 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2017/07/28
    公開日: 2018/08/24
    ジャーナル フリー

    児童生徒が雨音に対して持つ主観的な感覚と,客観的データである雨滴の大きさや雨の強さとの関連づけを図る,雨音の簡易な観察装置を製作した.この装置では,雨滴を厚さ2 mmのステンレス板で受け,その衝突音をポータブルメディアプレーヤーとステレオコンデンサーマイクで録音する.球等価直径2.1~5.4 mmの水滴を高さ13.2 mから滴下し,観察装置に衝突させる屋外実験を行った.その結果,水滴の衝突音はその直径とともに明らかに大きくなった.加えて,学校での授業実践を想定して,水滴を高さ1 mから滴下する実内実験を行った.室内実験では屋外実験と同様の結果が得られた.したがって,本装置を雨滴の大きさの違いを捉える教材として活用できると結論づける.

資料論文
  • 三嶋 渉, 山本 順司, 在田 一則, 加藤 義典, 田中 公教, 鳥本 淳司, 高畑 幸平, 日下 葵, 寺西 辰郎
    2017 年 70 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2017/07/28
    公開日: 2018/08/24
    ジャーナル フリー

    本研究は,岩石の凍結融解による風化の実験手法における新たな試料としてモルタルを提案し,その試料の作製方法の検討を行った.試料の作製は,岩石カッターで試料を切り出す方法とシリコンゴムシートの型枠で試料を打設する方法とで実施した.本研究では,先行研究で提案された凍結融解工程と破断荷重測定工程による破断荷重を調べる実験を行った.その結果,岩石カッターを用いず,型枠で試料を打設して作製した試料の場合には,含水試料と乾燥試料の破断荷重の違いを明瞭に識別でき,岩石の凍結融解による風化のモデル実験の試料としてふさわしい素材であることが明らかとなった.

  • 廣木 義久, 寺戸 真
    2017 年 70 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2017/07/28
    公開日: 2018/08/24
    ジャーナル フリー

    高校生の火成岩組織に関する知識と火成岩標本の鑑定能力を調査した.90人の生徒を対象に深成岩と火山岩のスケッチを示し,火成岩のタイプ(深成岩か火山岩)とそれぞれの組織名(等粒状組織と斑状組織)を質問した.火成岩のタイプについては98.9%の生徒が正答を与え,組織名については84.4%の生徒が正答を与えた.また,花崗岩の標本(研磨面あるいは非研磨面)あるいは写真を示し,標本あるいは写真が深成岩であるか火山岩であるかを尋ねたところ,研磨面については30人中の53.3%,非研磨面については30人中の33.3%,写真については30人中の40.0%の生徒が正答を与えた.これらの結果は,生徒は火成岩の組織に関する知識を獲得していたが,その知識が火成岩標本の鑑定能力に結びついていなかったことを示している.標本における組織を識別するのは生徒にとって難しい.そこで,中学校の火成岩の学習の中で標本を観察する機会を増やすとともに,標本組織の識別能力を向上させるための授業方法の開発が望まれる.

  • 山本 順司, 徳永 彩未, 田中 公教, 高畑 幸平, 田島 貴裕, 三嶋 渉
    2017 年 70 巻 1 号 p. 31-41
    発行日: 2017/07/28
    公開日: 2018/08/24
    ジャーナル フリー

    われわれは媒体の粘性抵抗に着目した堆積実験教材の開発に挑んだ.級化組織の学習において,水が持つ粘性抵抗を理解するには粘性抵抗が異なる媒体を用いた比較観察実験が有用であろう.そこで本研究では,粘性が異なる透明な媒体である空気,水,キャノーラ油を用い,大学生を対象に,堆積組織の比較観察を行う実習プログラムを実施した.実習前に実施したアンケート調査では,堆積組織の形成において媒体の粘性抵抗が及ぼす影響を理解している学生は僅か10%であった.実習後に再度アンケート調査を実施したところ,粘性抵抗の影響を理解できた学生は82%に達した.このことから,本プログラムは堆積組織の再現実験において有用な教材となりうるであろう.

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