滋賀県琵琶湖西岸の高島市地域では,後背地の地質体が異なる2河川が隣接しており,堆積岩を後背地とする百瀬川と花こう岩を後背地とする知内川とを比較することや,それぞれの河川の上流域,中流域,下流域を比較することにより,風景や暮らしの景観などの人間生活との関わりの対比が明瞭である.そこで,人間生活との関わりの視点から地学の視点へのアプローチにより,隣接した2河川流域の野外観察を行う教員研修プログラムを開発した.実践の結果,参加者は景観や暮らしの風景が河川の後背地の地質体に関連していることを理解できたことが示され,研修プログラムの有効性が確かめられた.
高等学校の地学基礎で使用可能な岩石鑑定マニュアルと岩石鑑定マニュアルを使った岩石鑑定の授業を開発した.マニュアルで扱った岩石は14種類である.岩石に関わる全4時限分の授業の中で,第1~3時で火成岩,堆積岩,変成岩の特徴と成因を講義し,第4時で岩石鑑定マニュアルを用いた岩石鑑定の授業を行った.岩石鑑定調査から,授業を通して生徒の正答者率が向上したことが明らかになるとともに,マニュアルの有効性が確かめられた.また,岩石鑑定に対する自信は第4時の授業後の事後調査で高くなるとともに,85人のうち90.6%の生徒が岩石鑑定マニュアルを使いやすいと回答した.
小・中学校の地学領域で学習する科学用語に関連する日常用語として,石・岩・泥・粘土・土の意味について検討した.石・岩・泥・粘土・土の意味を明らかにし,これらの日常用語と混同されやすい科学用語(岩石・鉱物・礫,および,科学用語としての砂・泥・粘土)との違いを考察した.日常用語は人の生活における用途によって定義,使い分けされているのに対して,科学用語は物質の構成物の特徴によって定義されている.
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