中学校1年生を対象に単元「大地の成り立ちと変化」において,試行授業が行われた.その授業は,地震波の特性,地震が起こる仕組みなどを学んだ後に,地震が発生した際に身の回りで起こる災害を考え,どのような対処したら良いのかを考える授業である.そのねらいは地震についての理解や防災意識の向上の有効性を検証することである.その結果,次のことがわかった. 1)授業で生徒がよくわかったと回答した内容は,災害被害,地震の伝わり方であった. 2)よくわからなかったと回答した内容は地震の伝わる速さ揺れ方,プレートであった. 3)授業の結果,震度分布の特徴,震源分布の特徴,身近な地域で起こりうる災害の理解度が向上したとともに,地震について家族で話し合おうという動機づけにおいても効果があったと考えられる. 4)地震についての単元内に防災教育の内容を入れるには時間的に無理があり,理科の授業と連動する防災教育のため時間の必要性が示された.
非常勤教員として勤務した都立国立高等学校には,屋上にニコン15 cm屈折赤道儀が設置されている.赴任を機会に地学部の生徒を指導し,生徒とともに太陽面スケッチ観測を実施した.本論文は在任5年のうち,試行の初年度を除く2013年から2016年までの4年間の観測スケッチを元に,解析データから高校教育に活用できる学習項目について考察を行った.最終的に観測データから,
(1)南北半球別黒点群発生数の変化
(2)黒点群の出現日面緯度の変化
(3)黒点による自転周期の算出
の3点について,その結果を報告する
火成岩学習に関する中学校理科の教科書記述の整理と質問紙調査による大学生と高校生の理解・定着状況の検討を行った.その結果,40%以上が岩石組織と岩石区分の用語上の対応ができていたが,マグマの動きについての言及は約2%であった.火成岩形成を通時的に捉えることに関して,マグマの温度変化とその動きを関連付けて考えることに課題があることが示唆される.火成岩組織を通時的に捉えるための指導内容の検討が望まれる.
直径2 mmの粒子は礫なのか砂なのか,という質問に対する回答について考察した.地質学者や堆積学者は堆積物や堆積岩を礫(礫岩),砂(砂岩),泥(泥岩)のいずれかに分類することができればよく,堆積物や堆積岩の中に含まれる直径2 mmの特定の粒子を礫と呼ぶべきか砂と呼ぶべきか,ということを問題にすることはない.粒子は一般に不規則な形をしており,直径が2 mmちょうどの完全な球からなる粒子は自然には存在しない.直径約2 mmの粒子は直径2 mmより大きな礫と分類されるか,直径2 mmより小さな砂と分類されるかのいずれかである.
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