地学教育
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74 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著論文
  • 廣木 義久
    2022 年 74 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

    小学校第6学年の地層の学習で実施する地層形成実験としてドーナツ型水槽を用いた実験を提案し,投入する試料の異なる6つの実験を行った:実験A(細礫・細粒砂・泥),実験B(細礫・極細粒砂・泥),実験C(細礫・細粒砂),実験D(細礫・極細粒砂),実験E(細粒砂・泥),実験F(極細粒砂・泥).実験D・Eでは平行で明瞭な6枚の地層が形成された.実験A・B・Cでは地層境界が不明瞭な地層が形成された.実験Fでは極細粒砂層の下面に火炎構造ができてしまった.したがって,実験D・Eが小学校理科の地層の学習で実施する地層形成実験として適している.また,実験装置は軽量で,実験装置のセッティングが容易であり,実験方法も簡単である.

  • 庄司 真史, 小林 佑介, 河合 研志, 佐藤 友彦
    2022 年 74 巻 1 号 p. 13-30
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

    地学教育において,経済性,安全性等の理由で地質巡検の実施はますます困難になっている.遠隔地を仮想的に閲覧できるVR技術は巡検を仮想的に再現できる可能性があるが,視点位置が固定されており,当地を歩き回ることはできず,実巡検と大きな乖離がある.そこで筆者らは,視点の平行移動が可能なVR教材を開発し,地学の初学者を対象に効果を検証した.その結果,本VR教材は,実巡検を再現し補完できる可能性が示された.

  • 中西 裕也, 磯﨑 哲夫, 林 武広
    2022 年 74 巻 1 号 p. 31-43
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

    学習指導要領と教科書及び理科教育系雑誌における防災教育に関する記述内容から,それぞれの目的・目標の変遷を分析した.その結果,社会的要請や自然災害の有無により異なった価値観の基で防災教育が行われてきたこと,自然現象に関する内容を基盤としたアプローチが伝統的に行われてきており,科学的概念の獲得が中心であったこと,を明らかにした.これらのことから,防災教育の目的・目標は,教育(学)的価値からも再検討される必要があり,防災教育を文脈を伴ったものとして位置づける必要があることを主張した.

資料論文
  • 瀧本 家康, 亀田 直記
    2022 年 74 巻 1 号 p. 45-58
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

    本稿では,個々人が有しているデバイスからアクセスが可能な「地理院地図」と「シームレス地質図」の両方を活用して,地形やその成因についての仮説や予想を段階的に検証していく探究教材を開発した.教材は,生徒にとって身近な地形の1つである「山」をテーマとし,WEB地図から得た情報を基に考察する内容とした.高校生を対象に試行実践を行い,その効果を確認するために意識調査を行った.その結果,生徒の80%以上が学習の意義を感じるとともに,地理院地図の3D機能を活用することで,90%の生徒が地形を立体的に捉えることができた.また,60%以上の生徒は得た情報を基に思考し,正しい山の成因を考察できた.しかし,WEB地図から得た情報を既習の知識と結びつけて考察できるとは限らないことが示されたため,情報の収集と考察の間において,指導者の助言等の介入がある程度必要であることが示唆された.

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