小学校の理科では,野外に出掛け体験的に学習することが求められているが,「流水の働き」における川原の石の野外観察については,実施に困難を伴うことが多い.本研究では,川原の実物大写真と石の標本を組み合わせ,学校内に川原を再現する教材を作成した.大分川流域の小学校において実践したところ,石の標本のみを用いる場合と比べ,観察内容も豊富であり,有効であることを明らかにした.
天文の学習にプラネタリウムが有効であることを示すため小学校の空き教室にプラネタリウムを持ち込み,星や星の集まりの授業を行った.約40名の4年生の児童は半径3 mの半球状のドームに入り床に座ることができた.プラネタリウムドーム内は暗いためメモがとれなかった.気分が悪くなる児童がいた.授業前後に質問紙調査を行った結果,以下のことが明らかになった.空には明るさの違う星があることについては授業前に90%の児童はすでに知っていたが,色の違う星があることについて理解した児童は授業前の76%から授業後の93%に増加した.時間が経過しても星の集まりの並び方が変わらないことは授業の効果は認められず,3割程度の児童しか理解していなかった.
中学校理科での火成岩に関する各学習項目をマグマの一連の冷却過程の中で通時的に関連付けて配置し,生徒の探究的な活動を組み入れたW型問題解決モデルと親和性の高い学習プログラムの開発とその実践的検討を行った.生徒と指導者が双方向に関わりながら探究的な活動を繰り返し行い,生徒自身が計画・実施した実験を通して,生徒は斑状組織のでき方をマグマの動きと関連付けて考察した.その結果,約9割の生徒がステージ間連携段階の理解に至ったと判断された.
ユールストロームダイアグラムを用いて柱状図データから流速変化のグラフを描く方法を解説した.その手順は次のようである.(1)柱状図データについて侵食・堆積イベントを認定する.(2)各イベントにおける流速をユールストロームダイアグラムから読み取る.(3)横軸にイベント,縦軸に流速をとってプロットする.(4)プロットを曲線でつなぐ.この作業中,侵食イベントの認定には堆積学的な知識が必要である.ただし,流速変化のグラフは認定が容易な堆積イベントのみでも描くことが可能である.
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