医療の質改善(Quality Improvement: QI)とは,“健康に資する専門医療を持続可能な対価で患者と社会が公平に享受できるように,体系的に改善し標準化しようとする枠組み”である.米国では政策や社会的土壌を背景に,近年,プライマリ・ケア領域のQI活動が発展している.本邦のQI活動は病院を中心に行われており,プライマリ・ケア領域の取り組みは少ない.我々は,Practice Based Research Network( PBRN)と電子カルテのデータ収集体制 JADECOM Community Health Information Network(JCHIN)を基盤とした QIの実装を試みている.今後,国,組織,個人レベルで取り組むべき活動だと考える.
地域の診療所や小・中規模病院のプライマリ・ケア外来では,患者の人生に寄り添うAdvance Care Planning: ACP相談を実施することは重要であるが,個人の意識や取り組みだけでは困難であり,組織的に多職種で取り組むことが必要である.そこで,医師,看護師,作業療法士,管理栄養士などの多職種で研修チームを編成し,継続してACP相談が実施できるACP相談チームを養成することを目的に研修を開始した.本研修は,単に知識を得るだけの研修ではなく,実践と振り返りによる学びを繰り返しながら,研修を通してチームビルディングを行うことにより,チーム全体で継続してACP相談ができることを目指したものである.