第8次医療計画に基づいて青森県内のへき地医療を概説するとともに,へき地医療とそれに関わる教育や救急分野での卒業生の活躍を述べた.今後も自治医科大学卒業生がへき地医療の根幹を支え続けことになるが,依然として医師確保は大きな課題である. 持続的なへき地医療の実現と医師確保には教育を中心にした制度の改革と診療看護師等によるタスク・シフト/シェアが必要である.
青森県のへき地でさらに役に立つ医師になりたいと考え,自治医科大学に戻り外科の勉強をしていたが,青森県立中央病院内に自治医科大学卒業医師の人事を主な業務とする地域医療支援部が設置され,青森県に戻ってきた. 本州最北での10年以上に及ぶへき地医療の経験を通して,1.医師以外の地域医療のキーパーソンをみつける,2.医師と気軽に語り合える場をつくり顔のみえる関係を目指す,3.医師を含む職員にとって魅力ある病院・診療所にする,4.医師が“患者さん,地域”を知る,5.“お医者さん”を知ってもらう,6.ある程度の妥協の関係を目指す,ことが「より良い地域医療のために」必要と考えていた.以上の6項目を県内のできるだけ多くの地域で達成したいと思い,「『先生でいいよと頼りにされる医師』の育成と『先生でいいよと頼りにする地域』づくりを通し,『先生がいいよ』と地域で総合診療医が成長できる青森県を目指して」総合診療医を中心とした青森県地域医療連携を推進している.
へき地病院は自己完結が不可能となり,基幹病院の応援が必要となってきた.しかし基幹病院も医師・看護師不足が顕著でへき地応援は満足にできていなかった.ブランド化により救命救急センターに十分な医師を確保できるようになり機能が充実した.その結果へき地支援が可能となった.転院依頼は救急病床が豊富にあり,救急医師が受け持ちとなるので断ることがなかった.転院依頼時はドクターヘリとドクターカーでへき地 医療施設の診察室まで迎えに出た.
大間病院は青森県下北郡大間町に位置する本州最北端の病院である.その独特な地理的条件から医師・看護師・その他のスタッフ確保が難しく,令和3年に地域の高齢化率は40%を超え,介護者の確保も課題となっている.少子化も進み,地域の子どもの数は減っているが最寄りの小児科までは1時間かかるため,大間病院には小児対応も求められる. 一方で,大間町には大間原子力発電所の建設が進められており,2030年の稼働を目指しているため,関連事業によって人流・物流は比較的保たれている.今後も少子高齢化に伴い人口減少は避けられないが,高齢化に伴う医療費・介護費のピークと推測されている2040年まで,大間病院へのニーズは維持~増加傾向が予測される.最新のICT(情報通信機器)などを柔軟に取り入れつつ,持続可能な医療の模索が今後も必要である.
青森県八戸医療圏に属する三戸町の医療機関と医療状況のこれまでの経緯,現状と問題点について検討し報告する.田子町との医療連携についての報告をする.
地域医療振興協会(以下,協会)が1999年に東通村からの指定管理を受けて有床診療所を核とした複合施設を運営して25周年になる.自治体運営の診療所との違いは何か? 協会が運営計画から診療所の設計など一から関わった経緯1)と,圏域の変遷を振り返ると自治体の持つ「モノ」,「カネ」,「情報」を協会の「ヒト」が動かすことで意味(価値)を持たせ,それを活用して地域医療の要である“総合医”育成を行っていることであろう.さらに医師などの人材確保には「支援は文化」という協会の合言葉によって全国の施設からの派遣がある. そして人口減少と産業構造が変化しつつある現状から,協会の理念である「医療人,行政,住民が三位一体となって」を基本に包括ケアの一環で産業保健連絡協議会を結成し,産業保健と地域保健の融合を目指す取り組みを紹介する.
青森県は山岳地帯に阻まれる形で市町村が位置している.地域医療はカバーする範囲が広く,医師数の少ない青森県では効率的な配置が求められる. 長らく勤務医師の獲得に苦労していた深浦町では,中心部に新しい診療所を建築し,医療を集約させる作戦に出た.新しい診療所には2018年に吉岡が着任したものの,医師不足は続いていた.2023年4月,青森県から自治医科大学卒義務年限内医師の派遣が開始された.量の面での解決をみたが,今後は質の維持向上が課題となる. 継続的に地域医療に医師が派遣されて地域の医療が維持される一方で,派遣された医師間の負担が軽減されて不公平感がなくなるように,外交官の人事システムを紹介して地域医療医師の働き方改革への提言を行った.
私は,自治医科大学卒業後出身地である青森県に戻り,市部から離れた町村部の病院・診療所に勤務し,その後に開業した.本県では,健診は定期的に受けるが,その後すぐに受診せず悪化してから受診する傾向がある.これでは,医療の目的である早期発見・早期治療,または病院につなぐことができず,重症化後では医療費が増え,紹介先の病院にも負担を強いることになる.地域で身近な開業医としてそれらに対応することも病・ 診連携のひとつと考える.
青森県の地域医療は,人口減少や高齢化といったさまざまな課題に直面しつつある.入院患者数は増加し続ける一方で,医師やスタッフの労働力は制限されている.これらの課題に対処するためには,医療機能を集約化し,リソースを効率的に活用するだけでなく,医師やスタッフの連携を強化する必要がある.良好な連携を支えるのは目に見えない人と人との関係性であり,教育の果たす役割は大きい.地域医療の将来に向けて,変わらない価値観を守りながら,青森県の特徴を生かした教育を提供することが重要である.教育や学びの場を通じて,青森県の地域医療が更に発展することを期待したい.
東京都には11の有人離島があり,小笠原諸島父島はその1つである.父島唯一の医療機関である小笠原村診療所を見学し,離島医療についてインタビュー調査を実施した.離島の診療所における一般外来や専門診療の見学を通した学びについて,今回は特に眼科領域に着目して報告する.
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