日本畜産学会報
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12 巻
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  • 橋本 重郎
    1939 年 12 巻 p. 1-19
    発行日: 1939年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 鳥類のクロアカは主なる三つの横褶襞により區劃せらる。その第一は最も奥に横はるものにして,直腸の末端部との境をなす。第二はウロデュームとプロクトデュームと境するものにして,背側より腹側に向つてやゝ傾斜し發達す。第三は最も外部即ち肛門開口部の括約筋よりなるものにして,その腹側に於て第二褶襞と近接す。
    2. 鷄にありては,この第二並に第三褶襞が腹側に於て相接近する部位に退化交尾器認められ,七面鳥,鶉などの場合には同じ部位にその痕跡殘存するも,家鳩にありては全く退化消失しその痕跡をも認め得ず。
    3. 鶩にありては同じ部位に勃起するところの大なる鳥類特有の螺旋状の交尾器(ペニス)を有す。駝鳥など平胸類に屬する鳥類は何れもこれと同形態13のベニスを有す。而して雌鶩にありては雄鷄の退化交尾器と略類似の形態の生殖隆起(ファーラス)の痕跡認めらる。また雌七面鳥の場合にもその痕跡殘存するも.雌鷄,雌鶉の場合,更に家鳩に於とは雌鳥のみならず雄鳥にありても,生殖隆起は全く退化消失して,その痕跡をも認め得ず。
    4. ホロホロ烏もまた同じ部位に勃起するところの交尾器を有するも,クロアカ第二褶襞よリ突出し,鳥類のペニス特有の螺旋状の形態を現はすことなく,全く特異のものなり。
    5. クロアカ内部の粘膜上皮は單層圓柱状上皮にして,クロアカ第二褶襞もまた同樣單層圓柱状上皮を被る。然るにクロアカ第三褶襞は深く肛門内に轉入するも,その粘膜上皮は重層扁平上皮なり。而してその下織はクロアカ第二褶襞のそれに比してやゝ緻密にして,神經末端器官なるヘルブスト小體の分布を見るも,クロアカ第二褶襞の粘膜下織はヘルブスト小體を含有すること稀なり。
    6. 鷄の退化交尾器にありては,その白色體並に八字状襞は共に重層扁平上皮を被り,下織はその構造やゝ緻密にして,ヘルブスト小體を多數含有するなど,クロアカ第三褶襞の組織的構造と全く類似す。七面鳥及鶉などに於ける生殖隆起(ファーラス)の痕跡に就てもまた同樣なり。
    7. 鶩の交尾器(ペニス)の粘膜上皮を見るに,その先端より殆ど全長に亘り重層扁平上皮を被り,たゞその着根のクロアカ第二褶襞が覆ふ部分に於てのみ單層圓柱状上皮を被る。また雌鶩の生殖隆起の痕跡は,その頭部,基部共に重層扁平上皮を被ること鷄の退化交尾器の場合と同樣なり。而してペニスの根本にやゝ近き部分,また雌鶩の生殖隆起の痕跡には,その粘膜下織にヘルブスト小體の多數の分布を見る。
    8. ホロホロ鳥の特異の交尾器にあつては,その大部分をなすところの左右對をなす膨大突出部は單層圓柱状上皮を被り,下織もやゝ粗鬆にしてクロアカ第二褶襞の組織的構造と全く一致す。然るにこの膨大突出部の先端に位置するところの左右對をなす暗色小突起は重層扁平上皮を被り,その下織はやゝ緻密にして多數のヘルブスト小體を含有す。
    9. 發生の初期に於て,生殖隆起(ファーラス)はクロアカの外界に開くべき部分に突出して現はれ,肛門唇の腹側壁より起り尾側壁に接す。
    10. 肛門唇尾側壁と生殖隆起との接する部分より,プロクトデュームは内部に深く陥入し,その先端はファブリシュウス氏嚢の原始に通ずるも,發生の初期に於ては腸の末端部と未だ開通するを見ず。
    11. 生殖隆起を内面より見るに,これに接續する部分は奥深く入り,所謂根部を形成するも,根部と生殖隆起との境には劃然たる溝あり,明かに二者を分つ。
    12. 生殖隆起の生殖溝に接續して,根部にも縦溝あり,後發生の進むに從ひ,この縦溝を中心として,根部は開き,遂にプロクトデュームはクロアカ内部と通ずるに至る。而して,根部自體は褶を生じ,その周壁にクロアカ第二褶襞を形成す。
    13. 肛門唇は發達して,その内縁に副肛門唇を形成し,遂にクロアカ第三褶襞を完成す。而して生殖隆起はクロアカ第三褶襞の形成の經過に於て,肛門内に陥入すると共に,これより分離するに至る。
    14. 生殖隆起は發達して,鷄の場合には白色體及八字状襞よりなるところの隆起即ち退化交尾器を形成し,鶩の場合にはこれらの部分が完全に發達し,同時にクロアカ第二褶襞の一部をもその着根に巻き込み,鳥類特有の螺旋状の大なる交尾器(ペニス)を形成す。然るにホロホロ鳥の場合には生殖隆起の奥に接續するところの根部が發生の初期より異常なる發達をなし肛門唇外に突出し,そのため生殖隆起は更に押し出されて,早く肛門唇より分離す。而して根部が發達してクロアカ第二褶襞を形成するに至れば,その腹側に於て膨大突出部を生じ,生殖隆起はその先端に小突起として認めらるるに過ぎず。
    15. 然れども生殖隆起は何れの場合に就て見るも,發生時に於てクロアカ第三褶襞と共に肛門唇より發達したるものにして,クロアカ第二褶襞より分化し來たりたるものにあらざること明かなり。
  • 釘本 昌二, 枡田 精一
    1939 年 12 巻 p. 20-29
    発行日: 1939年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    12囘の實驗例に於て振動時間3例は3時間9例は5時間で,振動數は1分間160-170乃至400-420迄行つたのであるが本實驗の範圍内では
    (1) 振動時間と精蟲生存時間が反比例する様な明かな傾向は認め得なかつた。又振動囘數では反比例する傾向が窺はれたが何れも尚實驗例を加へなければ確固としたことは認められない。
    (2) 振動期間中の保存温度と生存時間との關係に就ては9,10,11の各例で夫々25°C,30°C,25°Cに保温して振動を與へ振動後は10°Cの定温器に納め觀察したのであるが,著しい短縮は認められなかつた。勿論對照も振動期間中は同温度に保存し振動後も同様10°Cに保存したのである。然し振動,對照兩方共,常に10°Cに保存した他の各例に比較すれば幾分生存時間の短縮が認められた。
    (3) 本實驗では水平振動は垂直振動より強く作用するであらうといふ著者等の豫想に反し其の差異は明瞭に認められなかつた。又短時間振動(3時間)では振動直後精蟲は反つて對照より活〓な運動をして居るのを認めたが5時間振動では常に對照より弱くなよつて居た。
    (4) 對照を100とすれば水平,垂直振動の生存時間比は略70-90%であつて著者等の豫想した程生存時間に悪影響がないことを知つた。
    末田氏の報告に依れば氏は牛の副〓丸より得た材料で振動數1分間140,振幅2cm,保存温度室温,振動時間30分,1時間,2時間,3時間,5時間の5例を行つて居るが,對照を100とすれば30分振動では水平44,垂直50,1時間では殆んど30分同様,2時間,3時間では水平62,垂直87,5時間振動では殆んど零である。對照の生存時間は16時間15分である。
    之を要するに直腸マツサーヂ法に依つて採取した牛の精液を材料として振幅2cm,振動數1分間160-420,振動時間3-5時間,保存温度10°C-27°C,振動温度10-30°Cの諸條件の下に行つた實驗に於て,此の程度(精液は試驗管内で泡立つて居る)の振動では著者等の豫想した程悪影響はないもので換言すれば牛の精蟲は振動に對して相當に抵抗力のあることが略判明した。
    然し實驗例が少い爲本實驗の結果を以て直ちに結論を下すことは尚早である。引續き温度,振動と精蟲の生存時間及之等と受胎力の關係に就て研究を進める考へである。
  • 釘本 昌二, 枡田 精一, 丹羽 太左衞門
    1939 年 12 巻 p. 30-42
    発行日: 1939年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ヨークシャー種及大ヨークシヤー種4頭の去勢材料より副睾丸内各部の精蟲に就て二,三の觀察を行つた結果を總括すれば
    1. 精蟲の生存時間及活力
    副睾丸内各部精蟲の生存時間及活力は注入法たると細切法たるとを問はず確然たる差がある。即ち注入法に於て副睾丸頭部精蟲の最長生存時間は24時間,中部精蟲102時間,尾部精蟲150時間にして尾部精蟲の生存時間を100とすれば中部精蟲は約70,頭部精蟲16の割合となる。活力も之に比例してゐる。
    2. 二,三藥品に對する抵抗力
    1%硼酸液に於て頭部精蟲は瞬間不動となるも中部精蟲は平均5分3秒にして完全靜止し,尾部精蟲は平均15分36秒を要し完全靜止する。
    昇汞0.005%溶液に於ては頭部精蟲は瞬間不動となり中部精蟲は平均8分11秒にて完全靜止し,尾部精蟲は平均19分47秒を要し完全靜止する。
    今尾部精蟲の抵抗生存時間を100とすれば中部精蟲は約30-40,頭部精蟲は零となる。
    3. Protoplasmatropfenの附着部位
    副睾丸頭部精蟲の約98%はProtoplasmatropfenを頸部Halsに附着し,中部,尾部のものは約86-89%を接續部Verbindüngsstuckの終端に附着し8-12%はProtoplasmatropfenを有しない。
    4. 各部精蟲の頭部の大さ
    副睾丸頭部精蟲の頭部の長さは平均8.42μで比較的大小不同多く,中部尾部のものは平均8.52μで頭部のものに比し大小不同が少い。幅は頭部のものは平均4.61μ,中部平均4.51μ,尾部のもの平均4.45μである。即ち精蟲頭部の大さは副睾丸頭部より尾部に至るに從ひ僅か乍ら長さを増し幅を減ずるが如き傾向が窺はれる。尚弱擴大の鏡下に於ても尾部精蟲の頭部は頭部のものに比し著しく充實したる觀を呈する。
    尚本實驗の結果よりすれば精蟲の大さに明かなる2型は認め得なかつた。
    要之,豚の副睾丸内の精蟲は頭部より尾部に至るに從ひ生存時間,活力及藥品に對する抵抗力等を増加するばかりでなく型態上に於ても著しく成熟するものと云ふことが出來る。
  • 里 正義, 村田 喜一
    1939 年 12 巻 p. 99-105
    発行日: 1939年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 宮脇 冨, 前野 正久
    1939 年 12 巻 p. 106-112
    発行日: 1939年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    全乳のみより製造せる粉乳には榮養的に種々の缺陷がある爲に粉乳以外の成分を種々配合して製造せる調製粉乳なるものの榮養試驗は從來主として白鼠の發育試驗によつて行はれて來たのであるが之等白鼠の發育に於てその體重増加が正常のものであるか或は異常脂肪蓄積によるのではないか,又その骨が正常の發育をなせるものであるかどうかを知る爲に敢て此の試験をなしたものである。
    最初に調製粉乳に於ける添加榮養分の最も含量の多い炭水化物についての試驗として市販滋養糖二種についてその含量を變化して粉乳に混じ白鼠に給與してその發育試驗を行つた後蓄積された體脂肪を測定した。
    次に市販調製粉乳によつて3ケ月間白鼠を發育せしめたる後の體各部の脂肪蓄積並にその骨の石灰と燐酸を定量したのである。
  • 岡本 正幹
    1939 年 12 巻 p. 149-169
    発行日: 1939年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    著者は本研究を,家畜家禽の肥育に際して通例世に行はれてゐる去勢の生理的意義を究明する爲に企てた。然而其の第一歩として,先づ家鷄の血液成分の内血糖,血乳酸及び血脂肪の性別による差異を測定し,生殖腺の除去によつて如何にそれが影響されるか,又其の差異は成長中の如何なる時期に現れて來る物であるか,等の檢索を試みた。此處に血糖及び血脂肪が含水炭素並に脂肪代謝上重要なる役割を占めるべき物である事は附言を要しないのであらう。血乳酸の測定を之に加へたのは,之が肝臓糖原質の合成に重大な關連を持つと云ふHIMWICH et al (1928)1)の見解を考慮した爲である。研究の目的上,本報文は後續する若干の報文を持つ事であらう。が,兎に角以上の事實を取纒めて以下に之を記したいと思ふ。
  • 岡部 利雄, 増井 清
    1939 年 12 巻 p. 170-228
    発行日: 1939年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 1. 白色,褐色レグホーン及び其の交雜種に於ける人爲的間性
    増井 清, 宮本 平治
    1939 年 12 巻 p. 285-339
    発行日: 1939年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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