日本畜産学会報
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15 巻, 1 号
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  • 西川 義正, 小泉 年一
    1943 年 15 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 1943/01/30
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 大條 方義
    1943 年 15 巻 1 号 p. 17-31
    発行日: 1943/01/30
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    分離源(habitats)を異にするLactobacillus casei 4株を撰び,諸性質について檢討を加へた。
    試驗はLactobacillus caseiのチーズ醗酵に及ぼす影響の研究の一部として行つたものであつて,實驗室,チーズ工場等に於て確實に本菌を分離し増殖して實用starterとして利用し得るために必要と思はれる點に關し重點を置いて實驗した。
    適温が40°Cであること,蔗糖に對してば株間の差がかなりあるけれども,何れの株も多少とも蔗糖を分解する性質を有するものであること等は從來の研究と異つた結論である。
  • 追補:Lactobacillus caseiの蔗糖醗酵性に就いて
    大條 方義
    1943 年 15 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 1943/01/30
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    第1報に於ける試驗の追補としてLactobacillus caseiの蔗糖醗酵性を檢討した。
    本菌は,試驗に供用しだ株に關する限りでは,何れも多少は蔗糖を醗酵したが,其の能力には互に差異あり,是の差異は株間の特性であらうと考へられる。
    本菌の分離,又は分類に蔗糖の醗酵性を檢索因子として用ふるには考慮を要する。
    又醗酵物質と菌の大さとの關係を見た結果からは,菌形と發生乳酸量との間に明確な關係は認められなかつたが,一般的に謂つて,醗酵し易い物質中では,菌は他の場合に比し少しく大形になり,幾分slenderになる傾向あるものと考へられる。
  • 大條 方義
    1943 年 15 巻 1 号 p. 36-45
    発行日: 1943/01/30
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Lactobacillus caseiのチーズが蛋白質醗酵に及ぼす影響に就いて試驗を行ふ前に,豫備試驗の意味で,先づ,本菌の牛乳蛋白質分解作用に就いて研究を行つた。對照にStreptococcus lactisを用ひたが,概要次の如き結果を得た。即ちL. caseiをstarterとしてチーズを製造せる場合,チーズはアミノ酸の多量と,アムモニアのより少量を生産するから,S. lactis單用のチーズに比して,夫の風味は相當改良せられるであらうことが豫想せられるに到つた。又,L. caseiを用ふればチーズの醗酵期間を幾分短縮し得る可能性があるものと思はれる。
  • 大條 方義
    1943 年 15 巻 1 号 p. 46-63
    発行日: 1943/01/30
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    殺菌乳に依つてチーズを作り,Lactobacillus caseiをstarterとして添加した場合のチーズ醗酵期に於ける蛋白質分解作用に及ぼす本菌の影響を,Streptococcus lactisをstarterとした場合のチーズを對照として檢討した結果,次の事が明に見られた。
    1. 本菌は最初から味の生成量が多く,且つ醗酵期間を短縮する。
    2. 本菌添加チーズ中にはアムモニアの生成量が比較的に少く,從つて腐敗臭の缺點を生ずる機會は他の場合に比して少い。
    3. 本菌を用ひたチーズには雜菌の混在が少い。從つてチーズを正規の熟成に導く效果が大である。
    4. 本菌を用ひたチーズは他のチーズに比して何等缺點を認められない。
    以上より綜合すれば,本菌を用ひたチーズは短期間に正規の醗酵を行ひ,同じ醗酵期間内に於ては他のチーズに比して深く醗酵を行ひ,アミノ酸の多量と,アムモニアのより少量とを生産するために,「くせ」のない佳味なチーズを作ることが判る。醗酵期間に本試驗の如く,低温に於ても約1/4位を節約し得るし,又,より深く醗酵する。以上の如く本菌をstarterとして利用することは有利であつて,特に長い間の經驗熟練を有せず,小規模に,試作程度にチーズ製造を行はうとする場合には,異状醗酵を防止して深い醗酵を得るために利用價値が大であるものと思はれる。
    尚本試驗に於けるチーズは,醗酵に及ぼす他の菌及び酵素等の影響を可及的に防止するために殺菌乳を用ひて,結果の對照を明瞭にしようと努力したが,殺菌乳チーズよりも生乳チーズに於ける方が蛋白質の分解が大であるといふことはLANE等(8)の研究に俟つまでもなく,チーズ製造家のよく經驗してゐるところであるから,良質の生乳を用ふることを建前としてゐる一般チーズ業にあつては,本菌の效果がより以上深く及ぶであらうと考へることも出來るのである。
  • 第1報 勞役が體温,呼吸,脈摶,血液等に及ぼす影響
    上坂 章次
    1943 年 15 巻 1 号 p. 64-77
    発行日: 1943/01/30
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    和牛に總重量100瓩の橇を牽かし,距離1600米及3200米を行く仕事(平均抵抗約20kg,分速66m)を課し其の勞役が牛の臨床的並生理的所見に及ぼす影響に付,研究し次の如き結果を得た。
    (1) 體重は勞役直後に於て直前に比し,距離1600米の場合は約1%,距離3200米の場合は約1.5%減少する。
    (2) 體温は勞役直後に於て明らかに上昇し距離1600米の場合は約7%,距離3200米の場合は約16%上昇する。而して前者の場合は勞役後30分にして元に戻るが後者の場合は勞役後1時間を經過しなければ恢復しない。
    (3) 呼吸數も勞役後明らかに増大し,距離1600米の場合は約160%,距離3200米の場合は約350%の増である。恢復の状況は體温の場合に準ずる。
    (4) 脈搏數も勞役後明らかに増大し,距離1600米の場合は約26%,距離3200米の場合は約36%の増である。恢復の状況は前項に準ずる。
    (5) 血壓も勞役後増加する傾向があるが此の増加の程度には可なり大幅な變異があり又距離1600米の場合は距離3200米の場合に比し増大率が大なる如くである。面して之が恢復の状況は幾分遲く何れも勞役後1時間を要する。
    (6) 赤血球數も勞役後増すが此の増加率は距離1600米の場合と距離3200米との間に大差なく何れも約5%である。恢復の状況に於ては前者の方が遲く,後者が30分後に恢復するに反し前者は恢復に1時間を要する。
    (7) 白血球數は勞役に依り殆ど影響を受けないと云ふ結果もあるが大體に於て勞役後減少する傾向があり,距離1600米の場合は約7%,距離3200米の場合は約14%減少する。77恢復の状況は可なり遲く何れの場合も尠く共1時間は要するものの如くである。
    (8) 勞役の血色素量に及ぼす影響は大體増すものらしいが,本結果に於ては此の關係が判然とはしてゐない。
    (9) 血糖量は勞役後減少し,勞役直後に於て距離1600米の場合は約7%,距離3200米の場合は約10%の減少である。之が恢復には何れの場合に於ても1時間以上要するものの如くである。
    (10) 眼結膜は勞役後紅味を増し其の程度は大體仕事の量に比例する樣である。而して距離1600米の場合は30分にして恢復するが,距離3200米の場合は恢復に1時間を要する。發汗の程度は個體に依る差異が可なり大である。
    (11) 距離1600米の場合に比し距離3200米の場合は牽引態度が著しく劣化し途中の佇立囘數は増し,排尿,排糞の囘數も増し,涎を垂らしたり,舌を出したりするに至る。
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