日本畜産学会報
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29 巻, 6 号
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  • 森本 宏
    1959 年 29 巻 6 号 p. 313-318
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • I 第一胃の内容物の採取法と予備飼育期間の決定
    亀高 正夫, 伊藤 宏
    1959 年 29 巻 6 号 p. 319-322
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 緬羊に直接大型のカニューレ(外径9.1cm)をつけるために,永久瘻管(フィステル)設着手術を施したが,そのまま1カ月以上の飼養は不可能であった。
    2. 必要の都度,腹側および胃壁を切開して第一胃内容物を採取する方法を試みた結果,もし同一部位の切開なら3回まで,また毎回異なる部位の切開なら4回まで,実施が可能であった。
    3. 35Sを含む硫酸バリウムを経口投与して,その排泄を追跡した成績から,試験飼料について必要な予備飼育期間は10日であると推定した。
  • II. 移動量の測定
    亀高 正夫
    1959 年 29 巻 6 号 p. 323-328
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 糞袋と尿受けとを装着して生草を放食させ,放食前後の重量の差から食下量を測定した成績によると,緬羊(体重50kg)では5.1~5.7kg(6時間),山羊(体重42kg)では2.1~2.9kg(4時間)であつた。
    2. 山羊に永久瘻管(フイステル)をつけ,これを通して第一胃の内容物を,背嚢,腹嚢,腹盲嚢および前庭,以上4つの部位について別々に順序に全量取り出し,一定量を試料として採取した後,ふたたび大約もとの位置におさめた。その所要時間は,木製四分割型カニユーレの場合は,約1時間,プラスチツク製カニユーレの場合は約40分である。いずれの実験でも,ほとんどの場合,背嚢にある内容物は,他の部位のものに比べて,水分含量が少なかつた。毎日4時間放食させた直後の第一胃内容物は,山羊では,原物量として約10kg,固形物の量として約1.3kgであつた。
    3. 22時間の移動量(第一胃内容物の減量)は,原物量として放食直後の量の32~34%,固形物の量として49~56%を示した。放食中にも若干の内容物が第一胃から流去する可能性が認められたが,食下量に比例するという明確な成績は得られなかつた。また,放食後の第一胃内容物の移動に影響する因子としては,固形物として第一胃中に存在している量よりも,むしろ原物としての量であると推測された。
  • III 山羊の実験的尿素中毒に対する糖蜜併用の効果
    中村 亮八郎, 吉田 條二, 坂藤 忠之
    1959 年 29 巻 6 号 p. 329-334
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Goats, more than 6 months of age, fasting from the preceding day, were fed rations containing 1g of urea per kg of body weight (These feeding conditions of urea could bring animals to death by acute toxicosis, as previously reported.), and effects of molasses added to rations, upon the progress of urea toxication were investigated.
    1) When fed urea with 10 times as much molasses as urea, all 9 animals showed only trace symptoms of toxication and survived.
    2) When fed urea with 5 times as much molasses as urea, two animals died in 1 to 2 hours, one died after 15 hours, and eight survived showing various degrees of toxic symptoms for a few hours. One animal fed with 4 times as much molasses as urea also died.
    3) All animals fed urea without molasses died after showing acute toxicosis, with the progress similar to that described in the preliminary report.
    4) In animals which were fed rations with or without molasses and died eventually from urea toxication, NH3-N contents of their jugular vein blood increased very rapidly after feeding, reached the maximum levels at the dying stage which were more than 4mg per 100 cc blood and 10 times higher than those in normal animals. On the other hand, urea-N contents increased slowly and were only 2 to 3 times higher than those in normal animals at the same period.
    5) In animals surviving after feeding of urea with molasses, NH3-N contents of their jugular vein blood reached the maximum 1 to 2 hours after feeding and then decreased. This progress was almost parallel to the degree of toxic symptoms. The maximum value, on the average, was 0.5mg per 100 cc blood in animals fed 10 times as much molasses as urea and 1mg per 100 cc in those fed 5 times as much molasses, Urea-N contents of their jugular vein blood increased slowly, did not decrease during 7 hours after feeding, and showed no considerable difference between surviving and dying animals.
    6) When urea was substituted by the toxic lethel dose previously established of ammonium carbonate (equivalent to 0.8g of urea on N base perkg of body weight), and 10 times as much molasses as ammonium carbonate was added to rations, animals fed these rations survived. In this case, progressive changes of NHR3-N and urea-N in jugular vein blood were very similar to those in animals which survived after urea feeding.
    7) The blood concerning directly to the alimentary absorption contained more NH3-N than other blood, whereas no remarkable differences were shown among urea-N contents of blood in various veins of dead animals.
    8) Under experimental conditions, urea toxicosis was not influenced by pre-feeding of urea or cane molasses over long periods.
  • II いわゆる人工破殻雛の死亡に関する要因の解析, ことに人工破殻雛の卵黄嚢吸収の不良現象について
    石垣 房治
    1959 年 29 巻 6 号 p. 335-338
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    孵卵終期の卵殻内の卵黄嚢の状態と胎児の発育成長との関係を検討するため,叩殻開始直後の鶏卵の卵殻,卵殻膜,尿膜,羊膜をすべて取り除き,胎児のみをとり出して,その飼育を試みた。
    1) 叩殻期における卵黄嚢の状態には,胎児腹腔内への吸収完了,吸収直後,吸収未了の三種をみとめた。
    2) 施術時38°の場合には,死亡率は40-57%であつたが,39°の場合には死亡率は25%に低下した。これらの死亡例は,卵黄嚢の腹腔内への吸収未了のもの,ならびに吸収直後のものに多くみられた。
    3) 痕跡程度の吸収未了部分を有する卵黄嚢は,人工破殻後といえども,腹腔内に吸収される場合もあつたが,これは吸収未了のもの12例中,わずかに2例であつた。
    4) いわゆる人工破殻雛は,下痢を起こしやすく,飼養中の死亡率は高かつた。
    5) 人工破殻雛で生存したものの平均体重は,飼養第4週目において,一般標準体重と比較すると,はるかに低位にあつた。
  • III. いわゆる人工破殻雛に対する酸素処理の影響
    石垣 房治
    1959 年 29 巻 6 号 p. 339-344
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鶏胎児の成長に及ぼす諸条件を解析するために,孵卵終期叩殻期に,人為的に卵殻,卵殻膜,尿膜,羊膜をとり去つた胎児を,空気を基準として種々の割合で酸素を含有する気体で処理し,さらにそれらの幼雛を飼養し,卵黄嚢の腹腔内への吸収と,胎児および幼雛の発育,成長に及ぼす影響を追究した。
    1) 人工破殻雛のうち,卵黄嚢の吸収未了のものに対して,酸素補給はきわめて有効であつたが,酸素が高濃度の場合には,反つて効果が減少するように見えた。
    2) 酸素処理によつて死亡率は激減し,ことにO2 61%の場合には死亡皆無となつたが,これより濃度を高めると,死亡率はふたたびやや上昇するように見えた。
    3) 酸素を補給した人工破殻雛の飼養成は,空気の場合を最低として,O2 41%の場合に最高となり,さらに高濃度の酸素で処理した場合には漸次低下した。
    4) 空気中で人工破殻した幼雛は,下痢を起こしやすく,高度の死亡率を示したのに反し,酸素処理をした人工破殻雛では,下痢を呈したものはみられなかつた。
  • 津郷 友吉, 林 俊雄, 松岡 博厚
    1959 年 29 巻 6 号 p. 345-349
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Penicillium caseicolumを用い,カマンベールチーズの製造法に準じてチーズを製造したが,その際,半硬質のカードを得るように温度,時間等の製造条件を改変した。また対照としてゴーダ式硬質チーズを製造し,これら2種のチーズの熟成中の成分の化学的変化を比較した。
    1. 3週間熟成の半硬質チーズは,カマンベールよりもおだやかな風味を有していたし,さらにゴーダ式チーズに比べて一層すぐれた風味を有しており,一般日本人の嗜好に適しているように思われた。
    2. 半硬質チーズは,蛋白分解の程度ならびに風味の強さから判断すると,ゴーダ式チーズよりも熟成が一層早い。3週間熟成のものは,3ヵ月またはそれ以上熟成のゴーダ式チーズと同じ熟成を示した。
    3. 3週間熟成の半硬質チーズでは,二次元のクロマトグラフィーにより17種のスポツトが検出された。半硬質チーズでは,熟成の後期にアスパラギン酸が消失したが,ゴーダ式チーズでは消失はみられなかつた。
  • 山内 昭二, 秋岡 照夫
    1959 年 29 巻 6 号 p. 350-356
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. ここに報告された生殖器異常の豚はヨークシヤー一種で年令約6カ月のものである。外部生殖器は一見したところでは雌型を呈し,その各要素には特に異常を認めない。陰門から外界に向かつて,わずかに陰茎様の突出物があり,その基部には貧弱な包皮が認められた。
    2. 内部生殖器には雌雄両性の各器官が見られた。尿生殖管起始部付近はきわめて複雑な様相を示し,そこには精嚢末端すなわち射精管および尿道が開口するが,この部分は同時にまた腟の末端でもあり,さらにその周囲を前立腺が取り巻いている。この部分から先は迂曲する長い骨盤部尿道となり外陰部に通ずる。
    3. 精巣組織は大形で精細管および間質組織がよく発達していたが,これに反し卵巣組織は実質的には欠除していたといえる。精細胞および卵細胞は全く認めることができなかつた。生殖器の奇形としてはPseudoherm-aphroditismus bilateralisの型に属するものと考えられる。
    4. 生殖器の正常発達に関する知見を参考にして,その成因を発生学的および内分泌学的見地から論じた。豚の雌雄同体に関する報告が現在まで比較的少ないので充分な考察を加えることができない。成因についてなんらかの結論に達するためには,さらに多くの報告が必要となるであろう。
  • I 関東地方の牛乳について
    佐々木 林治郎, 中江 利孝
    1959 年 29 巻 6 号 p. 357-361
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    関東地方の各地28カ所から集めた生牛乳試料82個から,25°培養低温性分離,45°培養高温性分離および加熱後培養高温性分離の方法により,乳酸菌を培養淘汰し, 分離用特殊寒天培地平板培養によつて,138株の菌株を 分離した。これらをまず形態および生理学的性質により整理して,68株を選定した。次に各菌株についてその性 質を検討し,BERGEYおよびその他の文献による分類と 照合した結果,ここに選定した68株の菌株は,次のごと きtypeに分類されるごとを確かめた。Str. lactis 41.0. %,Str. cremoris 1.5%, Str. thermolactis 1.5%, Str. thermophilus 7.4%, Str. faecalis 5.9%, Lb. acidophilus 11.8%, Lb. lactis 1.5%, Lb. casei 1.5 %, Lb. thermophilus 1.5%, Leuc. citrovorum 1.5 %. Micrococcus 16.2%, Staphylococus 5.9%,その他2.9%。ただしこの中に典型的なStr. cremoris, Lb.bulgaricus, Lb. caseiは見られなかつた。
    また関東各地の牛乳において,乳酸菌の分布状態はほとんど同じようである。ただし南方の小島(青ケ島)の牛乳においては多少異なり,やや高温性の菌種にかたよつている。
  • II 乳酸菌の蛋白分解力について
    佐々木 林治郎, 中江 利孝
    1959 年 29 巻 6 号 p. 362-364
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    関東地方の生牛乳から分離した乳酸菌および類似の菌株138株のうち,典型的乳酸菌,またはリトマス牛乳に培養した場合の性質に特徴を示すもの30株をえらび,蛋白分解力を試験した。
    実験の結果,乳酸菌には蛋白質を加水分解するものは少ないが,Lactobacillus casei typeのT-32およびStreptococcus faecalis typeのT-49は,乳酸を生産するとともに,蛋白質を強く(約30%)分解し,Str. the-rmophilus typeのT-136, Lb. casei typeのT-126およびMicrococcus typeのT-18は,やや強く(約10%)分解することを明きらかにした。
  • II 家兎のhard fecesおよびsoft fecesの排泄状態とその成分について
    神立 誠, 吉原 一郎, 吉田 勉
    1959 年 29 巻 6 号 p. 365-371
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    家兎のhard feces (h. f.)とsoft feces (s. f.)の排泄量および排泄の経過を調べ,飼料,h. f., s. f.および盲腸内容物にっき,粗蛋白質,純蛋白質,組繊維を定量,また二型の糞の無機成分中Si, P, S, Mg, CaおよびFeの含量を調べ,とくにPについては無機態,有機態の分別定量を行なつて,次の結果を得た。
    1. 家兎の食糞を完全に阻止するには,口が底網に絶対に届かぬようにすることが必要である。
    2. 実験飼料給与時のs. f.の排泄量は,新鮮物として総糞量の約1/3,乾物として約1/4で,午前10時半ごろに飼料を与よた場合には,h. f.からs. f.へは,遅くも午後11時までに,常に少量の中間型の糞を伴つてきりかわつた。頚輪除去により,s. f.はほとんど,あるいは全く認められなくなった。
    3. s. f.はh. f.に比べ,水分,粗蛋白質,純蛋白質の含量が着しく高く,粗繊維は著しく低かつた。盲腸内容物の組成はs. f.に酷似していた。
    4. 粗蛋白質中の純蛋白質の割合は,s, f.はh. f.より明きらかに小さく,盲腸内容物も同様であった。
    5. 灰分中の熱水可溶性区分の割合は,s. f.はh. f.よりはるかに大きかった。
    6. P, S, Mg含量は,h. f.よりs. f.ではるかに大であつたが,アルカリ可溶性Siの含量は反対であった。
    7. Ca含量は,h. f.よりs. f.で小であつたが,砂分をindexとした含量では差がなかつた。Fe含量は,乾物中では差がなかつたが,砂分をindexとすると,h. f.よりS. f.でわずかに大であつた。
    8. 無機態Pは,h. f.よりs. f.に多く含まれていたが,有機態Pでは,その差が明瞭でなかつた。
  • I ヒナの脂肪肝臓を防ぐ抗脂肪肝因子の影響
    小柳 達男, 見上 晋一, 小野 一幸, 吉田 まどか
    1959 年 29 巻 6 号 p. 372-376
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 飼料に魚油を添加した場合起こるヒナの脂肪肝を抗脂肪肝因子の添加によつて防ぐ試験を行なつた結果,コリン,メチオニンを組み合わせて与えると,脂肪沈着を防ぐ効果が強いことを認めた。
    2. 次に基礎飼料に殿粉,ステアリン酸-,オレイン酸-,リノール酸-メチルエステルを添加して飼育すると,リノール酸,イワシ酸添加では肝臓のコリン含量は低下し,脂肪沈着が多く,Ceroid色素顆粒が発生した。これに対し,オレイン酸あるいは殿粉を与えたものでは肝臓は正常に近く,その脂肪含量は低くて,Ceroid色素も認められなかつた。
    3. 上記脂肪酸とともにビタミンEを添加して飼育するといずれの脂肪酸を使つた場合でも,肪臓の脂肪含量は低く,Ceroid色素はイワシ酸の場合を除いて全部消失した。ビタミンEの添加により,肝臓中のコリンの減少がわずかの程度にとどまるので,Eはコリンの消費を飾約する作用があるように考えられる。
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