日本畜産学会報
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32 巻, 2 号
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  • 野沢 謙
    1961 年 32 巻 2 号 p. 65-73
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • VI. 傾斜牧草地における群集構造におよぼす高低差の影響
    佳山 良正
    1961 年 32 巻 2 号 p. 74-83
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1959年5月と10月の2回にわたつて,兵庫県多紀郡内の3牧草地において,傾斜の高低差と牧草の分布構造との関係について研究した.観察した草地は,前報と同一であつて,ほとんどLadino cloverとOrchard grassの両草種によつて占められているために,両草種について観察した.調査は(20cm)2のquadratで行なつた.quadratの位置は,土壤および収量採集地点と同一である.
    本稿では,ポリア•エッゲンベルガー型の粗略的判別式であるλ=x+xd/1+dが,草勢によく反応する性質を知つて,本式で求められる直線を草勢直線と名づけ,この直線とx軸とのなす角度によつて草勢を診断した.傾斜草地においては,検定の結果,大略,cloverは低位において,Orchard grassは高位において,それぞれ優占する傾向がみられた.なお草勢直線の性質を研究した結果,次のことがわかつた.
    1) 本数分布と被度分布とでは,分布型の表示にかなり大きな差がある.草勢直線を使用する場合は,被度を使つたほうが,草勢表示がより強調される.
    2) 分布型は,草勢直線とx軸とのなす角度に関係する.また相似た異なる2草地を混合して,草地群として評価する場合,その混合草地の被度あるいは本数から得られた草勢直線から,草地群の草勢診断が可能である.
    3) 前項と逆の場合であつて,2つの異なる分布型を持つ草地を混合して,得られた草勢直線の角度から,おのおのの分布型を推測し得る.しかし被度の分布では,確率変数が0,1,2,…,10に限定されるから,もしある草地では0,1,2などの小さい数値のほうに度数が偏在し,他の草地では,反対に,8,9,10のほうに最大の度数が偏在しているとき,2草地混合の場合は,この草勢直線から2草地の分布型を推測することはむずかしい.この場合は,度数分布表あるいは度数分布図を照合して,推察する必要がある.
  • 森田 琢磨
    1961 年 32 巻 2 号 p. 84-88
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. What is the best ratio of spring-hatched flock to fall-hatched flock in order to get the highest net profit in a commercial egg farm?
    As a result of the theoretical analysis of this problem, the following conclusions were reached.
    (1) In the case of K⟨RA: it is most profitable to hold only a spring-hatched flock.
    (2) K⟩RA: the most profitable way is to hold a spring-hatched and a fall-hatched flock at the same ratio of 1-RA/1-Rs at the period when each floak was the largest in number.
    (3) K=RA: an intermediate value between (1) and (2) should be taken.
    In the foregoing, K indicates the ratio of the average profit per fall-hatched layer to that per spring-hatched layer.
    RA indicates the ratio of the remainder of the fall-hatched flock at the period when spring-hatched pullets started laying.
    Rs indicates the remaining ratio of the spring-hatched flock at the period when fall-hatched pullets started laying.
    Then, actual profitable ratios under K⟩RA were calculated in proportion to several values of Rs and RA.
    2. If the holding of a laying flock hatched in a certain month is assumed to be a process, there are twelve adoptable processes.
    The question is what combination of processes is the most profitable.
    Then, it was pointed out that this problem could be solved from the angle of "linear programing" (L. P.).
    3. The level of each process and conditions under which a year-around hatching system might be able to be adopted were analyzed by using the basic theory of L. P. solution.
    Accordingly, the following conclusions were found.
    (1) The level of each process (Xi) is as follows:
    xi=Δi/Δ Here, Δ=, and Δi is the determinant in which Ii-row's values are replaced by N.
    (2) The conditions are as follows:
    The determinant Δ'j is possitive. Here, Δ'j is the determinant in which values of Rj-row are replaced by Ii respectively.
    In the foregoing, i indicates the hatching month so numbered in the Japanese style and Rij the remaining ratio of the i-month flock in the j-month.
  • 西山 久吉, 小川 清彦
    1961 年 32 巻 2 号 p. 89-98
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    雄鶏の副生殖器官排出液(透明液)は,脈管豊多体において生産されたリンパが,リンパ褶襞から排出されたものであり,また交尾器宮の勃起は,生産されたリンパの流入によつて起こることを,前に報告した.近年LAKEは,鶏の交尾器官の勃起が充血によつてひき起こされ,透明液も,充血した交尾器官をマッサージ法によつて強く圧迫する結果生ずるものであろうという意見を発表した.そこで本実験では,正常の雄鶏12羽および脈管豊多体を除去した雄鶏5羽のクロアカを開張して,電気刺激を与え,透明液が排出される部位を直接観察するとともに,脈管豊多体の機能を追求した.その結果は次のとおりである.
    1. 脈管豊多体のリンパ生産能力は相当高い.10回の電気刺激により,平均779mgの透明液を排出した.活力ある個体(16g以上の睾丸を有するもの)では,1240mgが排出された.
    2. 透明液の排出は,リンパ褶襞に限定され,交尾器官の勃起と時を同じくしていた.
    3. 脈管豊多体を除去した鶏では,電気刺激によつてクロアカが充血したが,透明液の排出も交尾器官の勃起も,起こらなかつた.
    4. クロアカ粘膜の各所に分泌細胞や杯細胞が認められた.しかしこれらの細胞からの分泌量はきわめて少なく,透明液の排出量に比べれば,無視し得る程度であつた.
    5. これらの結果から,雄鶏の交尾器官の勃起や透明液の排出は,単なる充血や交尾器の圧迫によつて起こるものではなく,脈管豊多体で生産されたリンパに起因する性ものであることが明らかとなつた.
  • 岡村 浩
    1961 年 32 巻 2 号 p. 99-103
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    電荷の異なるクロム錯塩で浸漬処理されたクロム処理皮粉について,各種塩溶液による溶脱量,ならびに溶脱液中のクロム錯イオンの組成を検討した.その結果,脱クロム現象は,クロム化合物とコラーゲンの親和力と,脱クロム剤の配位能力の差から説明されるものと推論した.また溶脱曲線を利用し,クロム革に吸着されたクロム塩の安定化状態を検討したところ,吸着クロムの安定化には3~7日間の老化が必要であり,アニオンクロム錯塩が吸着された場合,その安定化が延長されることを認めた。
  • I. ブルーチーズ熟成中における微生物群
    金内 稔郎, 吉岡 八洲男, 浜本 曲男
    1961 年 32 巻 2 号 p. 104-108
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ブルーチーズの微生物群の実態を把握するために,北海道(遠浅)産の製品について,熟成中の微生物群の推移を検討した.
    結果を要約すれば,次のとおりである.
    (1) チーズ中の細菌は,熟成期間中107~108/g程度の菌数を保持する.生物学的性状により,これらの細菌は4群に分けられた.そのうちで優勢なものは乳酸桿菌群である.
    (2) 乳酸菌スターターに由来すると考えられる乳酸連鎖球菌群は,熟成初期のうちに減少した.
    (3) 熟成初期に急激に増加する酵母も,チーズの優勢な微生物群である.これは熟成期間中107~108/gの菌数を保持し,生物学的性状によつて3群に分けられた.このうちで,乳糖発酵性の酵母が常に優勢であつた.
    (4) チーズの中心部と外側部とでは,菌数にも,微生物群の構成状況にも大差がない.
    (5) かびスターターとして接種されたかびは,熟成期間中107~108/gの菌数を保持した.
    (6) チーズの表面に出現するSlimeは,109~1010/gの細菌数,109~1010/gの酵母数,106~107/gのかび数を示したが,チーズの内部とは全く異なる菌相構成を示し,細菌では乳酸菌以外のミクロコッカス群(Micrococcaceae),ブレビバクテリア群(Brevibacteriaceae)が多く,酵母では乳糖非発酵性および産膜性のものが優勢であつた.
  • 金内 稔郎
    1961 年 32 巻 2 号 p. 109-113
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    オゾンを併発する紫外線殺菌灯を使用して,チーズにおける防黴効果と異常風味出現の状態を観察し,この結果に基ずいて,種々実験を行ない,適切な使用条件を知ろうとした.
    得られた結果は,次のとおりである.(1) 16h/day照射では,完全にカビ発生が防止されたが,チーズ表層部には脂肪分離現象がみられ,著しい変質風味が出現した.(2) 完全な防黴には,5~7h/day以上の照射を必要とするが,なお異質風味の出現は避けられなかった.(3) 風味変質は,殺菌灯の光線によつても,またオゾンによつても起こり,チーズ脂肪の酸化に最も関連性があるものと考えられた.(4) 変質風味の防止と防黴を同時に清足する適切な条件を見いだすことはできなかつた.
  • II. 放牧のばあい
    後藤 信男, 三浦 忠止, 江釣子 喜三, 丹野 祐一, 森 彰
    1961 年 32 巻 2 号 p. 114-118
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本実験は,牧草地に放牧した当才去勢羊を,濃厚飼料の無給与区と給与区の2つに分けたばあい,それぞれの区における卵胞ホルモンの効果を,骨の計測値を中心に検討するために行なわれた.
    測定は,主として頭骨と右後肢長骨について行ない,また右後肢の精肉量と脂肪量についても行なつた.結果は次のとおりである.
    1. 骨の重量は,両区とも,卵胞ホルモン処理群が対照群より大であったが,とくに濃厚飼料給与区においてその傾向が著しかつた.骨の大きさは,給与区において処理群が対照群より大であつたが,無給与区では大差がなかつた.
    2. 卵胞ホルモン処理によつて,右後肢の精肉量と脂肪量の増加が,給与区において認められたが,無給与区では別に認められなかつた.右後肢の全骨に対する精肉量と脂肪量の割台は,給与区では,処理群が対照群より大きかつたが,無給与区では,両群に差が認められなかつた.すなわち,当才の去勢羊に対する卵胞ホルモン処理は,右後肢に関する成績からみると,高栄養条件下で有効であるということができる.
    3. 卵胞ホルモンは,長骨の骨膜から新生される骨の内方成長を促し,骨壁を増厚させ,この増厚した部分に石灰分を沈着させるものと思われる.卵胞ホルモン処理によつて各長骨重が増大するのは,以上の理由によるものであろう.
  • 中谷 洋一, 五島 治郎
    1961 年 32 巻 2 号 p. 119-124
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    After fasting for 18, 24, 48 and 72 hours, blood glucose, lactic acid in the blood, liver glycogen, muscle glycogen, body temperature, and body weight were determined in singlecombed White Leghorn male chickens allowed to drink water ad libitum.
    Blood glucose decreased slowly during the first 48 hours, increased thereafter, and returned to almost normal level at 72 hours. The decrease at 24 hours was statistically significant (P<0.01).
    Liver glycogen decreased significantly at 18, 24, and 48 hours, but increased slowly thereafter. Muscle glycogen was not so much changed, showing a slight decrease at 24 hours. Lactic acid in the blood was influenced little by fasting throughout its entire duration. While fasting continued, the body temperature of the chicken decreased progressively in association with the decrease of body weight.
    Trichloroacetic-acid-extractable glycogen was found to be 74 and 39 per cent of the total glycogen of the liver and the muscle, respectively, in intact chickens. It was expected to be related to the characteristic change of carbohydrate observed in this experiment.
  • I. 乳腺発育反応が異なる2系統マウスの選抜および近親交配による育成
    吉田 元一
    1961 年 32 巻 2 号 p. 125-133
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    泌乳能力発現機構との関連において,未成熟期マウスの乳腺発育反応が,どの程度,遺伝的要因の支配を受けているかを調べ,さらに,乳腺発育反応が異なる2系統マウスを,選抜および近親交配によって育成することができるかを調べた.同時に,近交系マウスの変異という観点から,乳腺発育反応および他の量的形質についても,選抜および近親交配の効果を調べた.その結果は次のとおりである.
    1. 乳腺発育反応の広義のheritabilityは0.59であり,本形質は,かなり遺伝的要因の支配を受けるものと思われた.
    2. 選抜および近親交配の効果は,兄妹交配3代以降に現われ,乳腺発育反応が異なる2群のマウスを,選抜および近親交配によって分離することができた.
    3. 本形質の変異は,選抜および近親交配によって減少した.また選抜近交群.非選抜近交群および無作為交配群において,本形質の種々の変異を比較したところ,非選抜近交群の変異が一番大きく,選抜近交群では一番小さかった.これらの結果から,developmental stabilityは,近交系動物でも,変異の小さいものについて選抜を加えれば,保たれるのではないかと思われた.
    4. 乳腺発育反応にみられたのと同様の効果が,それと遺伝相関がある35日令体重においてもみられた.
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