この報告は,動物蛋白資源を急速に増産させるために実施しているブロィラーの育種に関する研究の一部である.
本実験は,1960年および1961年の2年間に,総計14回孵化した材料について実施した.供試鶏種はバントレス系(CV)およびマウントホウプ系白色コーニッシユ(CM),白色ロック(WR),ニユーハンプシャー(NH),横斑ロック(BP),白色レグホン(WL)および名古屋(NG)の6種である.これらを用いて,16種の組合せ交雑を行ない,その発育と飼料要求率とを,1週ごとに10週令まで測定して,次の結果を得た.
1. 純粋種における孵化時の体重(単位g)は,NHが43, WRが42, BPが39, CMおよびWLが38,NGが27の順である.1週令後からCMおよびWRが優位となつた.4週令以後,10週令まで,各鶏種は明白な発育差を示した.
2. 10週令における雌雄平均体重(単位g)は純粋種では,CMが1,635, WRが1,474, NHが1,129, BPが975, WLが948, NGが739の順である.交雑種では,上位の代表的組合せは,CV×WRが1,577, CV×NHが1,571, WR×NHが1,368, BP×NHが1,304,CV×BPが1,298, CV×WLが1,272であつた.
3. 10週令における体重の斉一性は,純粋種および交雑種ともに,変異係数にして10%内外であり,全鶏種を通じて,両鶏種群間に大差はみられなかつた.
4. 雌雄別の発育成績において,体重は,孵化時,雄がわずかに大きい程度であつたが,4週令後,急激にその差が増大し,10週令では,雄は雌よりも平均201g(18.6%)大きかつた.
5. 全鶏種を通じて,週別発育率は,第2週令において最高値を示し,全群の平均値で93.2%に達した.以後急激に下降し,10週令では,わずかに15.7%であつた.また2週令の増体率を組合せ別にみると,CV×NHが最も高く,119%に達した.各週の増体量は,週令の経過とともに増大し,1週令後21gであつたものが,10週令では平均160gとなつた.
6. BP×NH, WL×BPおよびNG×NHの組合せでは,両親の平均体重を上回る強いヘテロシスがみとめられた.CV×NH, WR×NHおよびNH×NGの3群においては,両親の中間(mid-parent)を上回るヘテロシスがみられた.従つてブロイラー生産に,前者のような強いヘテロシスを利用することは困難としても,後者のようなヘテロシスを利用することは有利であろう.
7. 伴性遺伝は,どの交雑群においても認められなかつた.しかし,WR×BP, WR×WL, BP×WLおよびNH×NGの相反交雑において,軽度の母体効果が認められた.
8. 飼料要求率は,各鶏種を通じて,週ごと,および各週積算値ともに,週令経過にしたがつて上昇した.10週令の要求率は,純粋種では,WRが2.93, NHが3.09,CMが3.25, BPおよびWLが3.58, NGが4.53の順であつた.交雑種では,WR×WLが2.76, NH×WRが2.79, CV×WRが2.80, CV×NHが2.85で,これらが上位の代表的組合せであつた.全群を通じて,交雑種は,純粋種よりも要求率が低く,きわめて有利であることがわかつた.
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