日本畜産学会報
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34 巻, 4 号
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  • 津田 恒之
    1963 年 34 巻 4 号 p. 235-242
    発行日: 1963/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 和田 宏, 福島 滋
    1963 年 34 巻 4 号 p. 243-247
    発行日: 1963/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    大豆およびその産物,すなわち大豆油,大豆油粕,豆腐,豆腐粕,豆乳漿および味噌のエストロゼン力価を検定した.これらの材料をアルコールで抽出し,さらにエーテルでfractionateした.蒸発後,エーテル抽出物をオリーブ油溶液とし,体重がほぼ10gの未熟マウスの3日子宮重量反応によつて,力価を検定した.
    大豆,豆腐粕および味噌は,少量のエストロゼンを含んでいた.豆腐の中のエストロゼンは,それよりも少なかつた.大豆油,大豆油粕および豆乳漿には,エストロゼンが検知されなかつた.
  • 和田 宏
    1963 年 34 巻 4 号 p. 248-252
    発行日: 1963/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    荳科,十字科および禾本科を含む種々の植物のエストロゼン力価を検定した.補足的に,数種の蔬菜,野草,穀物およびその副産物についても検定した.これらの材料を,エタノールおよびエーテルで抽出し,その抽出物のエストロゼン力価を,未熟マウスの3日子宮重量反応を用いて検定した.
    検定した荳科植物では,レンゲ,ソラマメ,赤クローバー,アルファルファおよびバーズフット•トレフォィルにエストロゼン力価が検知されたが,これらのうちでは,レンゲの力価が最も高かつた.ある種の十字科植物においても,エストロゼン力価が見いだされた.
    植物の部分についていうと,花および頂生花(flowerhead)の部分にエストロゼンが多いように思われた.草の抽出物を酸処理しても,乾燥しても,ともにエストロゼン力価が低下した.
  • II. 菜種粕の特異作用に対する粕の処理法ならびに去勢の影響
    中谷 哲郎, 中村 亮八郎
    1963 年 34 巻 4 号 p. 253-262
    発行日: 1963/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    三種の処理法,すなわち熱水処理,熱アルコール処理およびオートクレーブ処理が,菜種粕の特異作用防止に対する効果を調べるために,各処理粕を10%配合した飼料を給与したシロネズミについて,おもに成長および甲状腺におよぼす影響を,無処理粕給与の場合と比較検討した.
    またハツカネズミでの予備試験により,菜種粕の特異作用の程度が,去勢によつて変化することが認められたので,これについても同時に調べた.
    三種の処理のうち,熱水処理のみが著しく有効で,特異成分は,大部分除去されたか,または不活性化されたものと推定された.すなわち,同じように10%配合しても、無処理粕に比べて,熱水処理粕の場合には,嗜好性および成長が良好で,甲状腺の肥大も見られず,その組織像もほとんど正常であつた.また肝および腎の肥大も認められなかつた,これに反して,熱アルコールおよびオートクレーブ処理は,おおむね無効であつた.
    なお,無処理粕を与えたシロネズミの雄では,甲状線は肥大したが,成長は阻害されなかつたのに対し,雌では,甲状腺のみならず成長に対する特異作用もあらわれ,性別による差があることが認められた.
    去勢した場合には,菜種粕の特異作用はあらわれ得ないものであろうと推定される結果を得た.このことから,性ホルモン投与による化学的去勢によつて,特異作用を軽減できるのではないかと考えられた.
  • III. シロネズミにおよぼす熱水処理液給与の影響
    中谷 哲郎, 中村 亮八郎
    1963 年 34 巻 4 号 p. 263-268
    発行日: 1963/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    菜種粕を熱水処理して得られた液(処理液と略す)をシロネズミに給与し,主として成長および甲状腺におよぼす影響について検討した.
    1. 無処理菜種粕10%および20%配合に相当する量の処理液を給与しても,嗜好性にはほとんど変化なく,成長はかえってよくなる傾向さえあった.
    2. 処理液の給与によって,甲状腺は1.6~1.9倍に肥大し,実質性甲状腺腫のような組織像を呈した.肝,脾,腎および子宮は,重量を増した.このような臓器の重量増加には,無処理菜種粕を給与したシロネズミの場合と同じように,性別による顕著な差は見られなかった.
    3. 以上の結果から,処理液中には,甲状腺,肝,脾および腎を肥大させる成分が含まれるが,成長阻害成分は,ほとんど含まれていないものと推測した.
    4. 熱水処理粕をシロネズミに給与して得た前報1)の成績と,本実験の結果とから,菜種粕に含まれている特異成分は,成長阻害成分と,甲状腺その他の臓器を肥大させる成分とに,ほぼ大別されるという解釈が,可能であることを指摘した.
  • 田中 庸雄, 山根 哲夫, 西川 哲三郎
    1963 年 34 巻 4 号 p. 269-274
    発行日: 1963/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 飼料に含まれるとうもろこしを,おおむぎおよびはだかむぎ(むぎと総称する)で置き換えた場合,むぎの使用量が増加するにつれて,増体量は有意の差をもつて低下した.また飼料要求率は大となつた.
    2. とうもろこしとふすまを,むぎで置き換えて,等カロリ一価•等蛋白質含量とした育雛飼料では,増体量にも,飼料要求率にも差が認められなかつた.
    以上の二点から,むぎの飼料価値が劣るのは,エネルギー含量が少ないためであることがわかつた.
    3. 酵素剤を添加しても,むぎの飼料価値は向上しなかつた.
    4. むぎの殿粉の消化率は酵素剤の添加によつても,改善されなかつた.
  • VII 第一胃内容物のpHとアンモニア吸収
    吉田 条二, 中村 亮八郎
    1963 年 34 巻 4 号 p. 275-281
    発行日: 1963/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 麻酔して,横臥させた山羊において,第一胃内に,体重kg当たり1.3gの尿素を注入すると,第四胃およびそれ以下への第一胃内容物の移動はほとんどなく,主として第一胃から吸収されるアンモニアによって中毒死が起こった.これによって,第一胃の中毒関与が,きわめて大なることが確かめられた.
    第一胃内の尿素態窒素(UNと略す)の濃度が高いと,尿素も第一胃から吸収された.第一胃内のUNの減少,ならびに血中のUNの増加の一部は,この尿素吸収に由来するものと推定された.
    2) アンモニアの微量拡散分析において,試料にアルカリを加えないで,一定の条件下に定量されるアンモニア態窒素(ANと略す)の全ANに対する百分率を,ANの拡散率と呼ぶことにした.本実験においては,試料1ml, 27°C,1時間拡散を前記の一定の条件とした.
    この拡散率は,試料中の未解離ANが全ANに対して占める割合と,ほぼ比例的な関係にあるものと考察された.
    3) 尿素を第一胃に注入した山羊で,第一胃内のpHを酢酸で低下させたり,KOHで上昇させたりすると,第一胃静脈血中のAN濃度は,それぞれ顕著に減少または増加した.そこで,第一胃内のpHは,そのアンモニア吸収と密接な関係を有するものと認められた.
    また,その際,第一胃静脈血中のAN濃度の変化と,拡散率の変化とは,近似の傾向を示した.そこで,pHによって変化する吸収アンモニアは,内容物中の未解離分子に由来する可能性があると推定された.
    4) 尿素添加の第一胃内容液に,in vitroにおいて,糖蜜,蔗糖または葡葡糖を添加し,あるいはCO2を通気すると,pHの上昇は抑制され,拡散率も低下した.
    5) 以上の諸結果から,糖蜜の尿素中毒防止作用は,次のように推定された.すなわち,第一胃内で,尿素から1分子のCO2と2分子のNH3が生成され,その各1分子からNH4HCO3が生ずる.残りの1分子のNH3は遊離して,pHが上昇する.糖蜜からは,CO2や有機酸が生成され,これらが遊離のNH3を捕捉して,NH4HCO3や有機酸塩を作るので,pHの上昇が抑制され,さらにpHが低下する.その結果,第一胃内で生成された多量のアンモニアも,その吸収が著しくは増加せず,従って消化器全体としてのアンモニア吸収量も,あまり増加せず,中毒が防止される.
  • I. 反芻家畜消化管内から単離されたVeillonella alcalescensとそのコハク酸脱炭酸能
    扇元 敬司, 須藤 恒二
    1963 年 34 巻 4 号 p. 282-287
    発行日: 1963/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    第一胃内のプロピオン酸生成菌として知られている嫌気性球菌Veillonella alcalescensの単離を,改変ROGOSAの培地を用いて試みた.その結果,反芻家畜の第一胃内容物,人•緬羊•牛の唾液,牛の後部消化管の内容物,および馬の盲腸内容物から,この菌を単離することができた.また,菌数計測をも行ない,この菌が第一胃のみならず,消化管の各部位に広く分布していることを明らかにした.
    一方,プロピオン酸生成系の一つとして知られているコハク酸脱炭酸能は第一胃細菌区分および単離されたV. alcalescensでは,JOHNSおよびSIJPESTEIJN and ELSDENが得た結果とよく一致し,わが国の反芻家畜の第一胃内にも,かかる活性が存在することが認められた.
    しかしながら,培養菌の単位当たりの活性に,第一胃内のV. alcalescensの計測数を乗じて得た計算値は,実測値の1/1000以下である.このことから,第一胃細菌区分が示すコハク酸脱炭酸能に対して,V. alcalescensが行なう寄与は,僅少なものであろうと推論される.
    終始,鞭撻をいただいた藤田潯吉博士を始め,細菌第二研究室の諸兄,および材料採取に種々援助してくださつた三鷹屠場検査室の各位に深謝する.
  • II. ヨーグルト•カルチャーの凍結保存
    川島 拓司, 児玉 輝子, 前野 正久
    1963 年 34 巻 4 号 p. 288-294
    発行日: 1963/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    LactobacillusStreptocccus thermophilusからなるヨーグルト用混合カルチャーの凍結保存法を,H2.8の直交配列を用いた実験計画法によつて検討した.その結果,CaCO3を添加した滅菌還元脱脂乳に前培養したカルチャーを,10%滅菌還元脱脂乳で10倍に希釈し,-15°C前後の冷蔵庫に放置すると,ヨーグルトの製造において,L. bulgaricusS. thermophilusの理想的な菌数比1:1~2で,カルチャーの長期間保存ができることがわかつた.
  • VIII. コバルト含量
    今村 経明
    1963 年 34 巻 4 号 p. 295-299
    発行日: 1963/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    日本の牛乳の無機質に関する一連の研究において,第15番目の元素として,Coの定量を行なつた.試料は,1961年3月から2年間に採取した市乳120,合乳93および個体乳84例である.これらを500~550°Cで灰化して用いた.Coの定量には,簡便で回収率が安定しているニトロソR塩法を選んだ.
    その結果,灰分1g当たりのCo量μgは,市乳で0.0592±0.0196(市乳100g当たり0.0414),合乳で0.0687±0.0260(同,0.0461μg),個体乳で0.0595±0.0229(同,0.0417)であつた.これらの値は,諸外国の文献値より低く,また著者らが外国産の全粉乳において測定した値(0.1690)より著しく低かつた.これは飼料の影響で,わが国の草類のCo量が少ないことや,青草が欠乏する冬から初春にかけて利用されるいねわらに,水溶性Coが少ないことに原因するものと推察した.
    以上の値から計算すると,牛乳中でB12を構成するCoは,全Coの約1/4に当たる.
    脱脂粉乳のCo量(外国産が0.0423,国産が0.0519μg/灰1g)は,全脂粉乳より少なかつた.さらに,牛乳を全乳,脱脂乳,ホエー,バターミルクの各区分に分画して比較したところ,バターミルク部にCoが濃縮されることがわかつた.そこで,牛乳中のCoの一部が脂肪球に吸着されて存在し,遠心分離すれば,脂肪球とともにクリーム部に移行すると考えた.
    季節や地域によるCo量の差を観察したが有意差は認められなかつた.ただし初乳は,常乳の約3倍のCoを合んでいた.
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